パソコンを巡る気になる言葉日記

PCホビー目次へ戻る

 


■「、、、僕たちが生きている現在は、情報がほんの少し遅れて届くだけで不平等がうまれるからなんだ。」

スペイン(語?)の日刊紙「エル・パイス」の11月18日版に、Steve Wozniakへのインタビュー記事が掲載されたそうだ。Wozniak氏がもっとも関心のあることは、「インターネットがすべての人のものになること(裕福でも貧しくても)で、そしてASDLがもっとも恵まれない立場の人たちにも使えるようになることだ」とのべた、その理由が上の言葉である。

また、マイクロソフトの訴訟問題については、かれらは「個人の」コンピュータを作りたかったのであって、企業むけのコンピュータをつくろうとしたのではないということで、特に興味はないということだが、「けれどわかっていることは、ほかのビジネスだったら、すでに何人かは監獄行きにになってるだろうってことさ。」

appleはやはり「ライセンス」の問題が失敗だったとあらためて述べている。そして現在は伝えられているように、「1991年に、彼の息子のJesseがコンピュータと巡り会い、父親によだれをたらさんばかりに買って欲しいと頼み込んだきたそうで、Woz氏は息子と息子の学校の友達にレッスンをはじめ、、、これが後になってだんだん規模が大きくなり、Woz氏が巡回大学を主宰するまでになった、、、『僕はCatsの学校で授業をし、それら以外の子どもたちはここにやってくる。子ども達に授業をする先生達にも教えてるよ』と話し、Appleが創立されたあのガレージは現在、Woz先生による子供向けのコンピュータスクールになっている、、、」

Macお宝鑑定団(99/11/21)http://www.tcp-net.ad.jp/danbo/より


■「アップルは、お客さまに感動をもたらそうと努力していますが、もう少しで大切なものを失うところでした。」

Apple社のG4プロセッサの遅れに起因する「ダウングレード・値上げ」問題で、予約していたユーザに謝罪が行われたが、この問題に限らずApple社がユーザーに謝罪したのは初めてではないだろうか。

「この発表文の中でSteve Jobs氏は顧客に対して「アップルは、お客さまに感動をもたらそうと努力していますが、もう少しで大切なものを失うところでした。先週の発表により、お怒りや失望されているお客さまには本当に申し訳ないと思います」と謝罪するコメントを述べており「本日の発表によって、お客さまとの関係があるべき姿に戻ることを期待します。古くからある格言では、『良い会社でも失敗はあるが、優れた企業は失敗を改める』と言われています」と説明しています。」Macお宝鑑定団(99/10/19)http://www.tcp-net.ad.jp/danbo/より

まあ、「早期解決に向けた方が得策だとの判断が働いたと思われます」というのがビジネスとしてとしては正しい解釈だと思うが、「過去」を知る身としては、いったいだれのコトバだろうとわが耳(目?)を疑ったものだ。Wozniak氏の再評価はひょとして正しいのかもしれないなあ。

これを真似して「つかいにくいユーザーインターフェースと多くのバグを放置してもう少しで大切なものを失うところでした」といって反省ポーズをとるところが続出するかもしれない?


■「彼は大人になりとても魅惑的な人間に生まれ変わった」

「Steve Wozniak氏のオフィシャルページ「WOZ.ORG」で、ここの所「Pirates of Silicon Valley」に関する質問が増えてきているようで、それに対する回答が多く掲載されていました。この中でWozniak氏はSteve Jobs氏に関して「彼は大人になりとても魅惑的な人間に生まれ変わった」と評価しています。ところでWozniak氏ですが、最近Power Macintosh G3 (Blue and White)に続いて、さっそくPowerBook G3 series(Bronze keyboard)を手に入れたようで、WozCamで頻繁に登場してました。」

Mac お宝鑑定団 (99/7/12) http://www.tcp-net.ad.jp/danbo/より


「ユーモアをもって問題の解決に当たる人になりなさい。いつも新しい失敗をしでかす人になりなさい。創り出す人になりなさい。行動する者になりなさい。人を信じなさい、でも確認もしなさい。共有しなさい。その場にいなさい。正直に自分をさらけ出しなさい。頭をさげて質問する人になりなさい。寛大なひとになりなさい。」

エスター・ダイソン(Ester Dyson)「未来地球からのメール」集英社1998(吉岡訳)の表紙

インターネットの中は混乱状態や無政府状態にある。そのような世の中で、良い社会やコミュニティを築き、維持していくためには、結局上のような基本的な人間性がインターネットの中では、ますます、重要になるのだ、ということだ。

Release2.0というのが原題で、ソフトウエアの「改訂版」によく使われることばである。たぶん「現時点で最善をつくして未来を考える」、というような意味ではないかと思う。この表紙に小さくバナー形式で上のお言葉がデザインされている。「ちいさいことにくよくよするな」(Richard Carlson, Don't Sweat the Small Stuff...and it's all Small Stuff, Hodder & Stoughton, London)という本がベストセラーになっているそうだが、「処世訓」がしみじみ見直されているのだろうか。

本書の内容とは関係ないが、ソフトウエアはRelease1.0で発売され、しばらくしてRelease2.0が発売される。Release1.0での特徴がすっかり失われてRelease2.0では安定はしているが、重くなってしまったり、ということがある。


Apple IIの20周年

米国ダラスで今月初旬,John Romero氏の呼びかけで「Apple IIの20周年」を祝うパーティが開かれた。招かれたゲストには、AppleComputer創業者の1人,Steve Wozniak氏や、当時,Apple IIを使ってゲーム作品を創り出した人々であった。

「Homebrew Clubの人たちをつきうごかしていたのは,自力で立つ個人になるチャンスだ。自分の力で世界を変える,自分が主人になるという思いだった。良質でパワフルなツールを作ることで,小さな者が大きな者を負かすことのできる世界を作ろうとしていた。どれだけ金を持っているかは,さほど問題ではなかったこうした人々に,実際に人並みはずれた技術力,設計の力,マーケティングの能力があったとは思わない」

「学校で子供相手の授業を始めた。時を 経るにつれ,授業は規模も範囲も広がった。一度に複数のクラスを教え始め,上級者の子供も下級者の子供も教えるようになった」

[Steven Kent,MSNBC & ZDNet/USA]

http://www.zdnet.co.jp/news/9808/24/reunion.html 


二人のスティーブの過去

「スティーブ・ジョッブとボク(スティーブ・ウオズニアック)がまだ若くて一緒にぶらぶらしているころのことです。、、、何日か徹夜で、、、ボクは納期に合わせてボードを完成させ、スティーブに渡しました。彼はそれをもってアタリ社に行き、、、戻ってきた彼はボクに300ドルを手渡しました。『1000ドルもらえる約束じゃなかったっけ?』ときくと、『600ドルに値切られちゃったよ。でも、0よりはましだと思ってさ』と言いました。、、、何年もあとになって、ボクはかつてのアタリ社員から話を聞き、、、(アタリ社は)スティーブに(約束どうりきちんと)1000ドル支払っていたことを知りました。開発したのはボクなのに、彼は自分で700ドル取って、ボクに300ドル渡したんです。ボクが事実を知ったことにスティーブも気づき、もうそれっきりです。以来、僕らは親しいつきあいをやめました。」ギル・アメリオ、W・L・サイモン、アップル薄氷の500日、ソフトバンク、1998、p.325。


解題。あの噂はどうも本当だったようだ。この本を読むとマックの将来にちょっと悲観的になりますですね。「こんな」人が指揮しているアップル再建の道は険しい。すくなくとも現在のマックコミュニティーを意図的に破壊しない意志と方法をジョッブズは明らかにすべきだ。しかしまあ、「こんな」人や「あんな」人が牛耳っているコンピュータ業界というのはいったいなんなんだろうか。あるいは、数ヶ月おきに陳腐化していく新製品のいいわけや詐欺同然の汚い仕事を「あんな人やこんな人に」おしつけている人たちがいるということだろうか。


著者のアメリオ氏も辞任においこまれたのでどうしても見方がきびしくなるのかもしれない。しかし、アメリオ氏のアップル再建案はいちいちもっともであり、任期を全うしたらよかったのではないかと思う。実はわたしもアメリオ氏の待遇はあまりにも法外なものだという印象をもっていて、反感を持っていたのだが。


アップルの退潮はどうもマックのすぐれたユーザーインターフェースで優位にたちすぎていて、ウインドウズのマック化を甘く見ていたようだ。あんなつかいにくいシステムが売れるのがどうかしている、というような。その一方でマックの根本的問題は手つかずで、「よく落ちるシステム」を放置してしまった(ウィンドウズが落ちないという意味ではありません)。また、アップル一社ではとうてい供給できないパソコン需要を満たす政策を誤ってしまった。これらの点があまりにも無惨な失策であるために、むしろマイクロソフトは自社製品の劣る点をよく認識しており、その「率直さ」にむしろ「好感」を覚えるほどだ。MacOSの正常進化を祈るのみ。


夢みたいなチャンスじゃないか

「誰にでも放送局をつくれるわけじゃない。でも、インターネットならそれができる。岩手発全世界ができる。道具が変わればルールも変わるんだ。夢みたいなチャンスじゃないか。」MacFan7.15 1998 p.227和田昌樹氏の兄の言葉。

結局和田氏の兄はインターネットビジネスに挫折し亡くなられるのだが、このことばはインターネットに可能性を感じとった人々に共通する思いでもある。ちょうどパーソナルコンピュータが出現したときに直感した「未来」のように、それが実現しない故の夢なのか、それとも。


番外編「エジソンの本当の話」

エジソンの成功の秘訣として広く知られている「1パーセントのインスピレーションと99パーセントの努力」という言葉は、「誤って」あるいは一般に受け入れられやすい教育的で道徳的な「美談」として広まったもののようだ。実は、「1パーセントのインスピレーションがなければ99パーセントの努力は無駄だと(あの新聞記者に)言ったのに、新聞には1パーセントのインスピレーションの重要性ではなく、99パーセントの努力に焦点をあて、私を努力の人と美化し、私の成功の秘訣をまったく違うものにしてしまった。」(DIME、98年8月20日号、ある雑誌の広告文より)

解題。たしかエジソンはThink Differnt キャンペーンに登場しているので、この欄に。類似の話は結構あるようだ。たとえば、「そこに山があるからだ。」


温故知新

Q。PCはお母さんに買ってあげる気にならないと言っておられましたが、マッキントッシュについては?

A。マックはソフトウエアとの関連でこれまでのどのマシンよりもはるかに使いやすくなっています。・・・アプリケーションプログラムと人間との関わり方については、未来につながる大きな変化を先取りしています。・・・もちろん母にもすすめられます。

(中略)

A。なにもかもPCのやり方でしなくともよい、という企業が・・・業界に少なくとも一社はある、ということをマッキントッシュは見せてくれる。ほかと違ったものを提供する企業があることは、業界の健康のためによいことです。


A。マッキントッシュはとても面白くて・・・人間の気持ちにぴったりくる芸術的なコンピュータづくりのイメージを実現しています。それは、パーソナルコンピュータがどうあるべきかについてのアップル社の知識と、半導体技術の最新の成果との結晶です。マッキントッシュはきっと大傑作の一つとして、人々の記憶に残るものになるでしょう。

(大谷和利、温故知新:フルキじょっぶずヲタズネテ、アタラシキじょっぶずヲシル、MacFan、98/7/15。大谷氏は、パソコンワールド誌、1984年3月号でのビル・ゲイツ氏のインタビュー記事と運命的に再び出会った。)


「解題」A。は、だれあろうビル・ゲイツ氏で、14年前!の発言である。1984年はマッキントッシュが発売された年である。この年から雌伏11年、執念のWindows95が発売されたわけだ。上の発言をもじっていえば、「なにもマックと同じやりかたでやらなくても、わがMSは新しいパーソナルコンピュータを提案します」とか言ってほしかったなと。また、業界の健康を心配する前に、ソフトを使いよくして、ユーザーの健康を心配してね。ユーザーが病気になれば業界は健康ではいられない。自動車産業でさえ、ユーザーの安全を心配し始めている。徳大寺先生は、ユーザーが助かればその分車が一台売れる?!究極のブラックユーモアだと喝破しておられた。


「Windows99は(意外な動作が)とても面白くて(コンピュータは難解で高尚なものだという)人間の気持ちにぴったりくる(予期せぬ出来事がよく起こる)芸術的なコンピュータづくりのイメージを実現しています。それは、パーソナルコンピュータ(業界)がどうあるべきかについての我がMS社の知識と、半導体技術の最新の成果との結晶です。Windows99はきっと(MS社により多くの、またハードウエアの陳腐化を創作し半導体工業各社にも利益をもたらす)大傑作の一つとして、人々の記憶に残るものになるでしょう。」

ちなみに今日ではコンピュータに詳しいお母さんも数多く存在しているものと思われます。


歴史は繰り返す

「傲慢さ、顧客やパートナーを軽視する態度などは、いまだに彼の性格の中心をなしている。( 中略)Jobs氏が全く新しい(Macとは異なる)市場分野を求めて動き始めたことで、とても大きなマック・コミュニティを意味もなく破壊しようとしているのは恥ずべき行動と言わなければならない。」(訳文は一部変更、()内追加)M.Mazner、Inside Silicon Valley、次世代情報家電に賭けマックを捨てる覚悟のSteve Jobs、日経MAC、98/6


植民地

忸怩たる思い、とは今のマックユーザーのことであろう。「あれ、山根さん、まだマックつかっているの?」と言った者すらおる。G3G3とウキウキして書いたところでふと思ったのである。ウインドウズだろうがマックだろうが、わが祖国はいずれにせよアメリカの植民地となるだけの話じゃないか。侵略者のいずれかに荷担してどっちがいいかを論じるのは情けない限り。日本発の独自OSはどうしたんだと。」山根一眞、DIME 5/21,1998,p.50-51


美しき誤解

「マックとPC、両方の業界を知る人間として気になるのが、マック・ユーザー独特の「あばたもえくぼ」的な美しき誤解である。」松本吉彦氏、日経MAC、98年5月号P170


熱心

「ジョッブスが抱える一番の問題は、彼がマックを好きではない、ということなんだ。事実、会社の彼の机の上には、マックは置かれていない。まあ、お金儲けについては、彼はぼくよりずっと熱心ですから。」スティーブ・ウオズニアック インタビュー「アップルはもっとはやくソフト企業になるべきだった」ASAhiパソコンNo.220(1998/5/1)p.16-17.(訳文一部変更)Wozniak氏のホームページはhttp://www.waz.org/


 子供にコンピュータを与えようとしている親へ

柴田「そういったゲームは教育の役に立つこともあるんでしょうか?

Woz「それはないね。単なるエンタテインメントだよ。楽しむことも必要なんだよ。アメリカでは、今三つのFが重要と言われているんだ。Funと Family とFriendsだよ。」

柴田文彦氏「Apple ][の生みの親 Steve Wozniak独占インタビュー」、ASCII、1998年4月号(22,4,387-393) (Apple][を深く理解したインタビューアと設計者の対話がおもしろい。)


 偶然

「いや世界が勝手に変わったんだ。僕らはたまたまその変化のまっただなかにいただけなんだよ。ただ、それを僕が感じていたことはとても重要なことで、結果的に新しい価値を生み出すことができたんだよ。だから、半分は偶然なのさ。僕たちはたまたま早く登場して、コンピュータが変化していく方向を示したんだと思うよ。Apple ][の登場はたしかに早かったけれども、僕がやらななかったとしても、きっと誰かがいつかはああいうコンピュータを作ったろうと思うんだ。あの頃も今も、ぼくは一エンジニアにすぎないよ。それ以上の存在ではないんだよ。」スティーブ・ウオズニアック インタビュー、山川健一、MAC LIFE 1998,5 p.237


歴史的必然

「(Apple][が完成した)1976年は一人の力でコンピュータを作ることができた歴史的な瞬間であった、ということもできるでしょう」Steve Wozniak、アップルワールド、98年4月号。


PCホビー目次へ戻る