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2000/08/04(金)ストックホルムの景色

今回はカメラ(APSシステム)で撮影して富士カラーのFDIサービス(ネガからJPEGファイルをつくって、CD-Rに書き込むサービス)を利用してみた。前にも書いたが、同時プリントと「同時」でないと受け付けていないのが難点。画像ファイルは1600*900程度の一種類が書き込まれている。(小さい画像をクリックするとやや大きな画像が見られますが、大きさは1/3程度に縮小しています。)

学会の様子。左は「カテゴリー弁別」のシンポジウム。右はポスターセッションの様子。

中央駅から学会会場にいく電車の中からみた市民ホール。ここでノーベル賞受賞パーティが開かれる。右は市民ホールから海側を見た景色。

街の景色。左は学会会場行きの列車の窓から。中は泊まったホテルに近いコンサートホール前の広場にたつ朝市。右はストックホルムの「官庁」街付近の景色。

ディナー・クルーズは夕方(というか夜)の7時に出航(最初の写真のように日はまだ高い)。この写真は真ん中あたりで、日没だが、空はまだまだ明るい。一巡りして戻ってきたのは10時ごろだったが、やっと暗くなった。

昨夜はM先生を交えてゼミの小コンパ。久しぶりに、大学近くの「鮨健」で。


2000/08/03(木)ストックホルム

初めての北欧である。簡素で清潔な印象。森と湖(河?)のなかに白い窓枠がくっきりと目立つおとぎ話の中に現れるような家が点在する。色白で髪の色は灰色がかった銀色、瞳の色は青や灰色というのが典型的な北欧の人たちという印象だが、町で働いている人々は多様だった。

北欧といえば福祉国家というイメージが強い。福祉国家をささえているのは高い税金でもある。消費税は25%で、そのほかの税金をあわせると所得の半分ちかくに上るらしい。日本の税金もかなり高いのであるが、いまの日本では消費税をいくら上げてもスウェーデンのような福祉国家にはなり得ないだろうなあ、と感じてしまう。きびしい冬に準備しなければならない生活の仕方が背景にあるのだろうか。

ほとんど買い物もしなかったので物価はよくわからなかったが、学会会場では、コーヒーはだいたい17スウェーデン・クローネ(1クローネだいたい12円くらいなので、200円くらい)、昼食のメニューは軽食(サンドイッチ)で400円くらい、暖かい料理だと800円から1500円くらいというところだった。市内の比較的高級なホテルのレストランでの夕食は3人で12000円くらいであった(ただし、お酒はとらなかった。かわりにミネラルウオーターを頼んだが、発泡性のものが多かった。水はとてもおいしかったが、かなり硬度が高く、わたしにはおなかにずしんとくる)。プラザホテルという一番古い高級ホテル(ノーベル賞受賞者はここに宿泊するらしい)では、スモーカスボード式の昼食でこれくらい。

食べ物は魚料理が豊富でやや塩味が強い感じがする他は「日本人」的な味覚にも会うものだと思う。ニューヨークなどではスウェーデン料理が「健康によい」食事としてちょっとしたブームになっているのだそうだ。

ノーベル賞の受賞パーティが開かれるという市民ホールで学会主催のレセプションが開かれていて、私たちは2日目に出席。もっと古い建物かと思っていたが意外に新しい建物だ。

ストックホルムはいくつかの島の上にある。三日目の夜は、湾内をめぐる3時間ほどのディナークルーズに出かけた。夕方7時に出航する。日はまだ高い。一回りして10時頃に戻ってくるのだが、やっと日没。町は暗くなるが空はまだ明るさが残っている。高緯度の地方に特有のもので、日本では味わうことのできない「夏」である。

ヨーロッパでもそうらしいのだが、犬をつれて電車に乗れることも日本とは異なる。二日目の朝学会会場に向かう電車で犬をつれた客を見かけてうらやましくみていた。夕方のかえりの電車でなんと同じ犬とそのご主人さまに再会した。町でもいぬをつれて歩いている人を多く見かける。犬はだいたい日本よりも行儀がよいように思う。夏休みのシーズンでもあるせいか、電車もゆったりしていた。

短い滞在ではあったが、今回おどろいたのは入出国の手続きの簡単なことである。入国の際個別にパスポートを確認し、入国スタンプを押すのは変わらない。しかし、出国には特別な出国ゲートのようなものはなく、搭乗ゲートでパスポートと搭乗券を確認するだけで、出国スタンプもなしである。


2000/08/02(水)発表の形式・総会の今後

きょうは午前中に会議があり登校。集中講義でおいでのM先生に久しぶりでお会いする。

今日は学会での発表形式について感じたことを。

発表形式ではパソコンのプレゼンテーションはむしろまだ少数派だった。OHPが一番多く、パソコン、スライドの順だった。設備のせいなのか準備が悪いのかパソコンのプレゼンテーションはこまかなトラブルが目立ち、まだまだリスクがあるなあと思った。パソコンではたしかに動画による実験刺激のデモンストレーション等は非常に効果的ではあったが、私の見た範囲ではどうも情報過多という印象でかえってわかりにくい発表になっているようにも感じた。

OHPでは英国人P先生のように感動的にシンプルで無駄のない明瞭なものもあったが、全般的には背景に懲りすぎたり(パワーポイントからの出力)、プレゼンテーションの「教科書」では悪い例としてあげられるようなものもかなり多かった。OHPの交換の不手際はたしかに気になるものだ。

まあこれらは趣味の問題にすぎないかもしれない。また、英語の聞き取りに慣れていないために視覚情報が余計に気になるという面もあるのだろう。

ポスターについては「説明のための資料なのだから書きすぎるな、less is more」という学会からのガイドラインがあったのだが、それでも読んでわかってもらおうというスタイルのものが多いように感じた。

私もA4サイズのプリンターの出力を台紙にはってポスターを作っていった。持ち運びには便利なのだが、見栄えは大判プリンターの出力のものがすっきりしている。国内でもポスター形式が多くなってきたので、そろそろ大判のプリンターを教材作成室に入れるように働きかけてみよう。

国際心理学会はおそらく心理学関係の学会大会としては最大規模のものと思われる。(米国心理学会総会というのがあればこちらが最大かもしれない。)このような総会的な学会は今後どのように変化するだろうか。情報交換や研究動向はある程度文献やネット情報で知ることができる。いろいろなメーリングリストでは議論も可能だ。専門学会の大会とは異なる役割や機能が見いだされないと、わざわざ世界中から移動して集まることの意義は薄れてくることになるのかもしれない。

しかし、いろいろな国からきている人たちを見ていると世界は広いとも思うし、おなじようなことに興味をもっている人たちが少なくとも数十人くらいは必ずいるのだ、というようなことを実感できることはおおきな励みになるものでもある。


2000/08/01(月)学会

先週は国際心理学会に出席。今年はストックホルムであった。これまでに出席したことのある大会では、米国、開催国、ドイツ、日本などが参加数の上位国であったと記憶しているが、今年は開催地が北欧であるにもかかわらず日本が第一位ということだった。

昼成田をたち、ロンドン経由でストックホルムに到着したのは夜中で、雨が降っていた。かなり寒い。ストックホルムはこのところ雨模様が続いていたという。天候は学会後半は回復して、北欧の短い夏の一端と、高緯度の地域に特有の長い夕方を楽しむことができた。日の出はだいたい4時ごろで、夕方から日はなかなか沈まず日没はなんと午後10時ごろである。

空港から市内のホテルに向かうタクシーのなかでエールフランスのコンコルドの事故を知る。ロンドン・ヒースロー空港では英国航空のコンコルドの姿もあった。

会場は市の中央部から鉄道で南に二駅目のストックホルム・メッセ(会議場)。参加登録をすませ、聞きたいシンポジウムや発表をいくつか聞く。

学会では、基調講演、招待講演、シンポジウム、口頭発表、ポスター形式の発表が行われる。ポスター会場は日本人の研究発表が多く、日本の学会かと思うほどのコーナーもあった。日本で顔見知りに先生方もお見かけし、発表も聞きにいった。

国際心理学会は心理学関係では最大規模の学会であるため、非常に多くの参加者と発表がある。しかし、これだけの発表があっても聞くことのできる発表というのは限られる。また、「専門」と関連した発表というのは意外に少ないものだ(学会にはさまざまに分化した「専門学会」が別にある)。

日本人のプレゼンスはポスター発表の数の上では非常に目立つものだった。その質も高いものが多くあり、特定テーマでシンポジウムにまとめることのできるものがいくつもあったように思う。プログラムの編成は大会委員会の裁量ではあるが、やはりシンポジウムや招待講演が目立つものなので、研究努力と参加人員に見合った組織的努力が必要ではないかとも思った。今回聞いたシンポジウムのうち、日本人の「若手」研究者が関わっているものが二つあって、すばらしいもので、学ぶところも多かった。

私自身は会期の最終日のポスターセッションで発表をした。午前中の「責任在席時間」はかなりひまで、お隣さん(日本人)の研究発表を聞いたりしていた。午後の時間では立ち止まってポスターを読んでいったり、ハンドアウトを持っていくヒト、質問をしてくれるヒトが現れてくる。用意していたハンドアウトがちょうどなくなったところで撤収時間がせまる。

ポスターセッションは多くの発表を見ることができ、直接その研究者と話しができるという点では良い方法であると思う。ポスターセッションのやり方は学会によって異なり、今回のように責任在席時間しか決められていないこともある。また、ポスターセッションではどうしても各発表の関係が希薄になりがちなことと、発表を「公」にするという意味を確保するためにセクション毎に発表者同士でのディスカッションの時間が設けられることもある。数多い発表をどのようにしていくかというのはいろいろ工夫が必要だと思う。また、電子化はかなり進んでいるが、大会の記録として古いアブストラクト形式の書籍のみというのはちょっともったいない感じである。

次回以降追記予定です。今回はふつうのカメラでいくつかスナップしてきたので、現像があがったらいくつか掲載します。今回はフジカラーのCD-Rサービスを利用。


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