特集 〜平成13年度ご退職の先生方〜
 長年にわたり常磐短期大学の為にご尽力いただき、また同窓会活動にもご支援くださった、生活科学科教授古賀ノブ子先生、経営情報学科教授坂本徹朗先生、幼児教育学科教授平野馨先生、幼児教育学科助教授戸部照子先生、幼児教育学科専任講師堀江美波先生がご退職されました。先生方より卒業生へのお言葉を頂戴しておりますので、ここにご報告いたします。
古賀ノブ子先生   21世紀は共生の時代〜 

 見和のせせらぎを前に緑の自然林の上に聳え立つ時計台、四季折々の花々に恵まれた学び舎は、学ぶ側にも、教える側にもすばらしい環境です。昭和61年から16年間奉職させていただきましたことを感謝して居ります。
 
実学の精神に基づいた教育を受け、豊かな知性、広い視野を持ちさまざまな分野で活躍できる能力、資格を身につけた卒業生は21世紀の大きな力となることでしょう。女性を取り巻く状況はめざましく向上し、男女の差別は少なくなりました。まさに共生の時代になろうとして居ります。
早くも20世紀初頭に、女性の自立を説かれた創始者諸澤みよ先生は、教え子達にどのような夢を語られたのでしょうか。本部棟一階正面の先生の御尊顔は、「みわの会」の方々のご活躍に微笑んで居られるような気が致します。

坂本 徹朗先生
 私は、本年3月末で定年退職しました。平成2年4月に経営情報学科ができると共に着任し、12年間にわたり短大学生諸君に講義をしてまいりました。創設期は、好調であった就職がバブルの崩壊と共にだんだん落ち、最近は学生集めが難しくなってきていました。
 
ところが、昨年後半からまたソフトウェアの分野では人手不足になっています。ただし、従来の技術者が要求されているのではなく、「ウェブ・デザイナー」や「ユーザービリティ・コンサルタント」などで新しい技能職種が要望されています。
 
皆さんはこれからの社会を支えていく世代です。新しい職種のことも心に留めて少しずつ変身していかねばなりません。皆さんが経営情報学科で学んだこと、それから社会に出て身につけた経験は、それらの新しい職業でも必要な基本事項です。その編成を少し変えれば適応が可能だと確信しています。皆さんのご健勝をお祈りします。
平野 馨先生   〜無形の存在〜 

 十年間お世話になりました。十年一昔といいますが、この間に大学の建物を中心にした環境は随分とさまがわりをいたしました。久しぶりに来校されたかたは、皆、驚かれ、ご自分の過された時を思い出しながら、前にはこの建物の所は こんなだった、こんな木があったと今と比べられます。十年一昔は、十年たつと世の中の移り変りが激しいので、まるで以前と俤(おもかげ)が失われることをいうのですが、確かに物理的環境には同じことが言えると思います。―遺跡など保護されている所は例外として―
 しかし人間の心、心理学的環境は異なります。同期の人と会えば、隔たった空間時間を超えて当時に帰って打ち解けられ、心は物よりも柔軟で伸びやかな働きをします。心理の授業で繰り返した心の発達は、確かに生活人生を豊かにすること間違いのないことで、その中から「みわの会」のような伝統も生れてきます。

戸部 照子先生
 昭和43年幼児教育学科が創設された年、非常勤講師として採用され48年より専任に、通算34年間勤め、今年定年退職しました。当時キャンパスはA棟とB棟のみでL棟のあたりに体育用のトラックがありました。この間の学校の発展と変遷は私にとって驚きの連続でした。幼児教育学科の卒業生も5千人近くなり、職場では既に重職に就かれている方もあり喜ばしい限りです。4月より週一日非常勤で学校に出ております。
 長い間家庭を犠牲にしてきましたので、夫や近隣に住む娘共の力になってやりたいと思います。元来家事全般が好きで二人の娘の幼少期のスカートやセーターはほとんど手作り、調理も大好き、野菜も自家製で季節の漬物類等真夜中に作ってきました。現在250坪の菜園に11種類の果樹と40種類の野菜を植えています。4月以来午前中は家事と菜園の世話、午後は音楽会や展覧会など東京に出る事が多くなり生活の色合いが変化しました。これからは自然と文化を相手に楽しく暮らしたいと願っています。 
堀江 美波先生   〜時の流れのままに〜 

 春うららかな日々の続く今日この頃『みわの会』より、お手紙をいただきました。

 何よりも、生きがいでありました学生との日々。『暖かいご指導と寂しさ』という句に心をうたれて、ペンをとりました。
E棟に始まって、ついにQ棟にまで発展した常磐学園の日々を、共に走りぬけてきた授業の毎日、大らかな学園の気風に助けられてのこと、皆様に感謝申しあげます。 学生との対話、教授会のやりとり等、日々の中に、人づくりの喜びをいただいた毎日でした。また幼児教育学科の発表会では、たくさんの卒業生との楽しい交流の時間がありました。時の流れのままにすごした日々が、全ての卒業生の皆様の成長に立っていることと祈りつつ、ペンをおかせていただきます。