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インフォメーション【2020年3月~2017年4月】

2020年3月20日 総合

卒業生に贈る言葉(学長メッセージ)

春の兆しが、この見和キャンパスのそこここに見られます。旅立ちにふさわしい季節が到来しました。

2019年度卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。心よりお祝い申し上げます。これまで卒業生の皆さんを永年に亘って支援してこられたご家族や保護者の皆様にも、心よりお慶び申し上げます。また、これまで卒業生の皆さんの指導にあたってきた教職員の方々にも、厚く御礼申し上げます。

本来ならば、卒業式という形で、全学を挙げて、皆さんの新しい門出をお祝いしたいと考えていました。ご家族の皆様におかれましても、皆さんの晴れ姿を観ることを、さぞ楽しみにされていたことでしょう。しかしながら、国内外における新型コロナウイルス感染の収束時期が不透明な中、感染拡大防止、ならびに卒業生およびご家族の皆様の安全を第一に考慮した結果、式典を取り止め、学科ごとに学位記を授与する形で皆さんを送り出す、という苦渋の決断に至りました。 卒業生の皆さんのこれまでの頑張りと成長を讃える大切な機会を提供できないことは本当に残念ですが、未曽有の事態でもあり、事情をご賢察の上、何卒、ご理解いただきますようお願いいたします。

さて、皆さんはいったい、どのような夢と期待を抱いてこの大学の門をくぐったのでしょうか。その夢は叶ったのでしょうか。それとも、日々の学びの中で変容してきたのでしょうか。長いと思った学生生活、きっと瞬く間に過ぎ去ったと感じている人が多いことでしょう。この見和キャンパスで、皆さんは、学問の研鑚を積み、幅広い教養と多くの知識や技術を習得して、大きく成長されました。また、部活動や課外活動を通じて、様々な人たちと出会い、友情を育み、よき思い出をたくさん作られたものと信じています。これらを糧にして、それぞれの新たな人生に踏み出し、力強く歩んでいって欲しいと心から願っています。

これから大きく社会へ飛び立とうとしている皆さんに、私が卒業式でお話ししたかったことを、孟子の言葉を借りてお伝えしたいと思います。孟子は孔子と並び称される中国の儒学者ですが、彼は、「至誠天に通ず」という言葉で、「何事も誠意をもって臨めば、必ず道が開かれる」と説いています。皆さんが晴れて社会人となり、自分の仕事を持ち、新たな成長を感じながら、充実した毎日を過ごしていただきたいことは言うまでもありません。しかし、長い人生の中、時にはどんなに頑張っても認めてもらえず、悔しい思いをすることもあるでしょう。そんな時は、辛く苦しく、投げ出したくなるかもしれません。しかし、それでも諦めることなく、自分の未来を信じて努力する者にチャンスは必ず与えられます。誠意を持って事にあたれば、好結果がもたらされるということを思い出していただきたいと思います。

この「至誠天に通ず」という考え方は、皆さんが、在学中に幾度も耳にしたであろう、「実学を重んじ、真摯な態度を身につけた人間を育てる」という本学の建学の精神にも通じるものがあります。私たち教職員は、皆さんが、「実学」という「問題解決型の実践的な学問」を修得すると同時に、「何事にも偽りなく、ひたむきであること」の大切さを学んでもらうよう、教育に力を注いできました。ですから、この建学の精神の下で学んだ皆さんには、高等教育を受けた者の責任として、これまで学んだ知識を使って、真摯な姿勢で、社会・地域の発展のために活躍することが期待されている、ということを覚えておいてください。

皆さんは、これから、本学の卒業生として、社会という新しい海原に船出してゆきます。本学は、一生涯、皆さんの母校という港であり続けます。いつでも気軽に寄港して、同窓会活動や、生涯学習の場として、これからも母校を積極的に活用してください。教職員一同、皆さんを暖かくお迎えすることを楽しみにしています。同時に、皆さんも、卒業後は、茨城県内外で広く活躍されている本学のOBやOGを訪ね、同窓生としての絆を深めてくださることを願っています。

結びに、この学舎を巣立ちゆく皆さんの前途に幸多からんことを、心から祈念します。

2020年3月20日

常磐大学・常磐短期大学 学長
富田 敬子