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法律行政学科ニュース【2019年~2016年】

2016年11月24日

インタビュー:民事法を学ぶことの意義について

一般企業への就職を希望する人が法律行政学科で民事法を学ぶことの意義について、日向野弘毅教授にお聞きしました。

――まずは民事法という法律がどのようなものか教えて下さい。

日向野:民事法とは、物を売ったり買ったりすることや、他人に損害を与えた場合の賠償など、人と人の間で起こる出来事について定めた法律の総称のことで、民事法という名前の法律があるわけではありません。

――民事法という名前の法律があるわけではないのですか。

日向野:そのとおりです。皆さんも裁判には大きく分けて、刑事裁判と民事裁判があるということをきいたことはありませんか。民事裁判とは、人と人との間のトラブルに関する裁判のことですが、民事裁判に関係する法律が民事法であるといえます。

日向野弘毅教授

――民事法と呼ばれる分野には、具体的にどういった法律があるのですか。

日向野:民事法と呼ばれる分野には、民法、商法、会社法、民事訴訟法、消費者契約法、製造物責任法などがあります。

――何か難しそうな名前の法律ばかりですね。

日向野:民法という法律は、人と人との間で起こることについて規定した最も基本的な法律で、民事法の中でも中心的な位置にあります。民法を大きく分けると、財産に関する規定と家族に関する規定とがあります。

――財産に関する規定って具体的にどんなことですか。

日向野:みなさんもスーパーやコンビニで買い物をしたことはありませんか。こういった買い物も実は民法上の売買契約といいます。またアパートの部屋を借りることは、民法上の賃貸借契約といいます。

――民法って、意外と身近な法律なんですね。

日向野:商法や会社法は、簡単にいえばビジネスに関する法律です。企業を経営する人だけでなく、企業で働こうと思う人にとっては、民法とともに必要となる法律であるといえます。

――企業で働く人にとって、法律の知識は必要だということですね。

日向野:小売業で働く人にとっては、消費者契約法の知識がとても役に立ちます。たとえば、故障している中古のパソコンを、「このパソコンに不具合はありません」と言って売った場合、消費者契約法でいう「不実告知」にあたり、買主は契約を取り消すことができます。

――法律に反する売り方はダメということですね。

日向野:飲食サービス業では、意外にも、製造物責任法が関わってきます。レストランなどではよく、「鉄板が熱いのでお気を付けください」と言って料理が運ばれてきますが、もしこれを言わないと、製造物責任法でいう「指示・警告上の欠陥」にあたり、お客がやけどを負った場合、損害賠償を請求されるおそれがあります。

――ああ、その言葉私もレストランで言われたことあります。それって製造物責任法に基づくものだったんですね。もし私がファミレスでアルバイトするとき、「鉄板が熱いのでお気を付けください」といわずにお客さんがやけどをしたら、私も製造物責任法違反ということになるんですね。

日向野:そのとおりです。民事法って意外に身近な法律であり、また企業で働く人にとって必要となる法律だということです。今回御話したものは、一例にすぎませんが、民事法の知識は司法書士、行政書士などの法律専門職への就職を考えているひとだけでなく、民間企業就職者にとってもなくてはならないものです。

――法律を知らないために、後から損害賠償されるなんて絶対イヤですよね。そうならないためにも、民事法をしっかり勉強した上で企業で働きたいと思います。今日は有難うございました。