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ソフトウエア

ポケットワードとポケットエクセル(簡易版)

(△)Windows95との連係はあまりよろしくない。WindowsCE単独ではいろいろと制約がでてくる。WindowsCEはWindows95と連係して利用されることを想定しているようである。それなのにWindows95との整合性はそれほど高くない。

(X)CEに内蔵されているポケットワードとワード98は直接ファイルの互換性がない。テキストファイルまたはリッチテキストファイルか、パソコン経由での変換が必要である。パソコンとの接続はシリアル接続ケーブルが付属している。一番簡単なのはメモリーカード(ATA FLUSH)であろう。 このような、ちぐはぐしたところが気になる。まあMSに一貫性をもとめるのはX屋で○○を求めるようなものか(^^;)。

(△)ポケットワードは余計な飾りのないワープロとして使いやすくなっている。ただし、文章の途中に入力する場合、画面書き換えのため応答が遅く、画面を更新しているのが見えてしまうのは改良すべきである。 (X)英語版では備えられていた英語のスペルチェッカーがはずされているのは残念。(多分このサイズのコンピュータは文書の作成とメールが主な用途であるので、文書作成支援ソフトの充実が必要である。いまのままだとワープロ専用機のほうが便利ということになりかねない。一般的なワープロの機能は非常に限定されているので(はがきに絵をいれたいとか、年賀状でカラー文字をグラデーションで表示するとか、そういうことを期待している人にはまったくむかないものである。)

(△)表示フォントはMSゴシックとMSPゴシックのみであり、読みやすさや文字そのものの美しさは考えられていない。なぜいまだにこんなつたないフォントが使われるのだろうか。これらの付属フォントはマックでいえば漢字トーク2のころの品質だ。

(△)ポケットエクセルも古いビジカルクにもどったようで表計算機能のみで、グラフ表示もできないので、もっぱらデータ入力用途か。

(△)ポケットアウトルックもサブセット版で、メモ機能が省略されており、各タスクやスケジュールのなかにメモを記入するようになっている。

(△)漢字変換はまあまあの水準である。しかし、フルサイズに近いキイボードをわざわざ選択したユーザーは文章の作成が主な目的であろうから、漢字変換には不満がでるかもしれない。

インターネット・メール関連

(○)電子メールには便利に使える。33.6kbsのモデムが内蔵されており、制限はあるがWWWブラウザーもあらかじめ用意されている。メールソフトはMSのメールソフトとNECのものが組み込まれているが、複数のアカウントを登録できること等NEC独自のもののほうが便利である。ただし、先代のモバイルギアからひきつがれたものであるためか、ユーザーインタフェースがまだまだ。もっと簡単に洗練されたものにできるはずだ。

(X)ネットワーク設定は簡単なのだが、ダイアルアップ接続のところで、記入すると接続できないような欄がわざわざ設けてあったりして、説明もなく「いったいなにを考えているんだ」。最近では通信関係のフォーラムや雑誌(日経モバイルVol.2)などで情報が得られるようになったので問題は少なくなっているとは思うが、なんという不親切だろう。また、接続先の設定のところでは「自宅」、「勤務先」などという分類があるのだが、これが「直通か外線0発信か」という区別のようで、誤解をまねくものだ。もっと適切なことばを選びましょう。

(X)ワードやエクセルのファイルをインターネットメールでながす「親切」な人も多いとおもわれるのでファイルビューアーを提供すべきだろう。後発の日立のWinCEではワードとエクセルのビューアーが添付されるようである。

 ハードウエア

(◎)キイ間隔は16.5ミリが確保され、タッチタイプのできるキイボード。タイプの音がうるさくないように考えられている。電車のなかでもこれなら気にせずつかうことができる。これは先代のモバイルギアよりはるかに良くなっている。

(△)液晶画面の品質はノートパソコンのTFT液晶と比較して劣る。明るい電車内では反射してみにくい。バックライトを点灯すれば良好。夜の電車内のように比較的暗いところではバックライトなしでも快適である。

(△)電源はモバイルの非常に重要な要素である。カタログ性能は8時間(通信3.5時間)だから、4時間程度は大丈夫かと思われる。電池はリチウムイオンである。ACアダプターは小型軽量でモバイル用途に配慮されている。しかし、充電に5時間もかかる。モノクロモデルでは単3乾電池2本でつかえるのが魅力的であるが、液晶品質とのかねあいで迷うところ。

(△)パッケージデザイン 外装デザインはもうちょっとなんとかならんかという印象である。全体的に緻密な印象に欠ける。画面を開いた使用中の状態では落ち着いた印象で無駄のない良いデザインである。外装デザイン・サイズ・重さの点はモノクロモデルのR300のほうが優れている。

(X)ポインティングのペンの収納についてのセンスは最悪である。ディスプレイを開くとペンがとり出しにくく、デザインとしてなっていない。これにはHP620LXのような工夫を望みたい。昨日(4/8)の新聞報道ではソニーもWinCEのライセンス契約をしたということなので最近とみにマーケティングにおいてはさえているIt's a Sonyなものがでるかも?

 

 まとめ

 

以上の点から、システムとしてはまことに未熟、将来性も不明確といわなければならない。このため、WinCEはだれにでもすすめられるものではないが、見やすい画面と使い易いキイボードでテキスト入力するというモバイルギア本来の用途では実用上合格点をつけることができる。(しかし、このような機能を徹底的にすぐれたものにしようというような意気込みを感じさせるレベルにはない。)

 

あとがき

(それにしてもNECのモビオというWin95サブノートはWinCEのR500よりもむしろ小さいが、横幅はそれほど違わない。それなのに、モビオのキイボードはなぜあんなに無神経なものが取り付けられているのだろうか。いわゆるDOS/Vの日本語106キイボードもどうしてあのような使いにくい規格ができてしまったのだろうか。リブレットやモビオがR500程度のキイボードをそなえていればWinCEのでるまくはなかっただろう。

PDA分野ででおくれたMSや独自技術を出せないでいるNECなどコンピュータメーカーがこの市場に参入したというのがWinCEの実体だろうが、ユーザー側にたたないシステムは生き残ることは困難になるだろう。米国ではWinCE2.0はPalmPilotに完敗している。日本ではサイズを大きくして、てのひらPDAとは別のジャンルでニーズを探っているというところだろう。

複雑なシステムを簡単につかえるようなユーザーインターフェーの開発もマッキントッシュとそれに不完全な形で追随したウィンドウズ95とともにおわってしまうのだろうか。複雑なシステムではこれ以上普及はのぞめないということで、単機能で簡単につかえるシステムへの転換点にあるのだろう。 使い勝手のよいマックは現代的なOSとしてはちょっと古くなってしまった。従来のパソコンの形態はマッキントッシュのユーザーインターフェイスを結局超えることなく消えていくのだろうか。 現在は、むしろハードウエアにソフトウエアが立ち遅れている状況にある。強力なハードウエアを本当にいかすことのできるシステムは現れないのだろうか。パソコンという形態はむしろ特殊な利用形態になりつつあるのかもしれないが、「情報処理」システムの全体を継ぎ目なくスムーズに利用できる技術はトロンの中にしかないのだろうか? 

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