日本基礎心理学会第18回大会(聖心女子大学・99/10/10)

推移的推論データは選択理論により説明できるか。

伊田政司

常磐大学・人間科学部

e-mail: ida@tokiwa.ac.jp

発表キイワード:推移的推論、線形序列学習、選択理論

発表要旨:ヒト以外の動物(サル、ラット、ハト)においても推移的推論を行うことが示されている。これらのデータには、学習時の正答率において系列位置効果が、推移的推論テスト時の正答率あるいは反応時間において象徴的距離効果が共通して見られる。同様の手続きで行われたヒトの幼児および成人の実験結果もこれらと類似した特徴を示すことが知られている。推移的推論の成立について、Wynne(1997)はハトの実験データについて、Luceの選択理論と連合学習の理論を組み合わせたモデルにより、これらのデータの特徴をよく説明できることを示した。本研究では成人のヒトのデータ(ida,1996)をもちいてLuceの選択理論により同様の分析を行った。正答率について、学習時の成績から推移的推論課題における成績を予測したところ、象徴的距離効果の順序関係については観測データとよい一致を示したが、観測値は予測値を下回る傾向を示すことがわかった。これらの相違の生ずる要因を考察した。

 

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