大学往来 

■大学往来インデックス  ■index_hobby


2000/1/31(月)プレゼンテーション

実験実習の最後の週は各グループ毎に実習課題についての発表をするようにしている。担当教員もほとんど出席して、2年生と3年生それぞれ5グループなのでかなり長時間におよぶ。今回は2年生の方では説明用のOHPもわかりやすく工夫されたものもあって、全体としては要領よくこなしていた。3年生のほうは課題が難しいせいもあるのだろうが、これがもし就職の面接だとしたらまず不合格になるだろうという印象のものだった。プレゼンテーションのスキルは社会において非常に重要だと思うのだが、大学でもあまりトレーニングが行われていないのではないだろうか。実習や卒論の発表はこの絶好の機会なので、授業に取り入れているのだが、その方面の意識はまだまだというところだ。

先週終了した3年生の合同の実験実習課題のレポートが今日あがってきた。発表会のためまだ全部は目を通していないのだが、こちらは工夫のあとの見られるレポートも散見される。

試験のことについて聞かれても答えるわけにはいきません。授業でやった範囲としか言えません。


2000/1/30(日)試験問題

今週実施の定期試験の問題をつくる。どのくらい講義内容が理解されたのかということで、本当の授業評価でもある。いまのところ講義が終わると定期試験を行い、成績評価をしなければならない。一定時間の講義を行い、各自の達成度を評価する方法が採られている。これは、個人別の達成度を把握することは難しいために、最後に試験によってそれを確認しようとしている。

評価というのは50メートル競走のようなもので、一定時間で区切ればどうしても到達度に個人差が現れる。もし講義中に個人個人の学習状態の把握ができていれば、到達度についての試験は不要だ。また、学期(時間)の制約もなくなり、ほぼ全員が該当講義の目標に到達できるようなPSI(個人別学習支援コース)講義援助システムを準備できれば、と思うのであるが。

できるだけ試験自体が学習の機会になるような試験問題をつくりたいと思っているのだが、科目によってはどうしてもつきなみなものになってしまう。


2000/1/29(土)日記の「効用」

昨日あげた宮本常一氏の伝記の中に、学問上の「パトロン」であった渋沢敬三(渋沢栄一氏の孫)氏のアドバイスがある。

「大事なことは主流にならぬことだ。傍流でよく状況を見ていくことだ。舞台で主役を務めていると、多くのものを見落としてしまう。その見落とされたなかにこそ大切なものがある。それを見つけていくことだ」

どのような状況で言われた言葉なのかはわからないが、アカデミックな履歴をもたない「型破りな」宮本氏に、むしろおおきな可能性を感じておられたのだろう。

また、「日記」の記録も残されている。「手習いは坂に車をおす如し、油断をすれば後へ戻るぞ」という自戒のことばと、「日誌の改革と作文」というメモがあったそうだ。

一、日記は人をして反省せしむ好材料として又、作文を上達せしむ上に置いて大なる効果あり。

一、日記は生活を規律正しからしめる上に置いて又、其の人の心を整理する上に有りて大なる効あり。

一、日記の改革とは何ぞ。曰く成るべく一日の行為記事を委しく認め又、感想文、小品文を加えて思想を豊富に文章上達を計るにあり。

右につきて、

一、成るべく形式に囚われざる事

一、自由に開放的なる事

一、其の日の事はその日に認むべき事

Web日記は社会的な「圧力」によって、ともかく書くという意味では有用だ。しかし、実名系は「自由に解放的なる事」というかなり大事な点が難しい。


2000/1/28(金)テキスト

NHK教育テレビの各種の「講座」にはときどき非常に興味を覚えるものに出会うことがある。といってもテレビ番組そのものはほとんど見ず、テキストを買って読むことが多い。例外は学生のころ見た野田春彦氏の生命の起源についての分子生物学の内容の講座であった。専攻していた領域とはかけ離れてはいたし、内容を良く理解できたかは疑わしいのだが、その味わい深い話し方や興味深い話題を「見て」楽しんでいた。

いま放送中の人間講座「佐野眞一 宮本常一が見た日本」のテキストも非常に面白く読んでいる。面白くという表現は不適当なのだが。「アカデミック」な世界と「距離」をおいた民俗学者宮本常一の伝記である。同じく、福井勝義氏の「東アフリカ・色と模様の世界」はカテゴリー知覚の問題に関連していてこれまた非常に興味深いものだ。

30分間の番組で、12回のシリーズだが、もし講義であれば1時間という感じになるだろうか。これらのテキストを見て感ずるのであるが、大学の講義もこのような内容濃く一時間で12回にして、これと、基本的な基礎知識の「講座」とがセットになっていると理想的だろうなあと思う。


2000/1/27(木)試験

午前中知覚心理学特講の定期試験。試験でも遅刻ゼロの経験は初めてだった。午後から採点を終え、最後のゼミ。これで発表の当番は一巡した。一般論だが全体に調査不足で、具体性が今一歩という印象だ。

「daigaku」のメーリングリストで授業評価の話題。http://kogolab.edu.toyama-u.ac.jp/chiharu/cyber/はやくからこの問題に自主的に取り組んでおられる方も多い。授業評価についてはこれらのとりくみを読んで考えをまとめようと思う。

「ガクモンは多数決ではきまらない」というある先生の言葉には真実があるし、教育においては「民主主義」も大切だ。 学生は「お客様」という面もあるし、「見習い職人」という面もある。すべてが見習い職人である必要もないし、単なるお客様でもつまらない。


2000/1/26(水)メール4題

午後から会議が一つ。帰りの車内はいつもの議事録書き。この係りは3月までで解放される予定。やっぱりVaio C-1XEは熱い。これはひとつクレームのメールでも書くべきか。

クレームといえば某書店から弁明のメールがきた。メールで、あらかじめ納期を連絡すれば良いのでは?いつになるのかわからない、というのが一番困るのだから。

(書いてから気が付いたのだが、某書店ではWeb書店業務が開始されても人員は増えず、しかもWeb書店と通常業務で事務処理決済の仕方がちがっていて、単に仕事が増えてしまった、というような状況があるのかもしれないなあと、物わかりの良いおじさんモードで。本来パソコンは仕事の負担を軽減する力があると思うのだが、情報の流れがうまくいかない現状ではかえってこれが負担を増しているのかもしれない。あるいはパソコン恐怖症のおじさんが担当しているのかなあ?)

今日は見知らぬ方からホームページを読んだということでメールをいただいた。ある尊敬すべき先生がおられる研究室の卒業生という方から。大学を卒業してしばらくしてふたたび勉学意欲に目覚めておられる様子だ。卒業は「出発」であるということが、卒業式でよく言われる。自ら出発出来る人は幸せであると思う。

研究発表の申し込みをしていた学会から「受理」の手紙がきた。こちらはS・メール(snale male)。s-mailって英和辞典にものっているが、日本語ではうまい区別がない。「普通郵便」と訳されていた。e-mailの訳は「電子メール」らしい。メールが来た、というとe-mailで、手紙が来たというとだいたい郵便だ、とまあ区別はつくか。電子郵便というのはまずいし。

まあ実質的には不受理というのはほとんどないとは思うが、期間が前期の最後のころなので、なにかと忙しい時期にあたる。春休みには準備を完了しておかなければ。


2000/1/25(火)デジタルデータの流れ

今年度から某Web書店を利用している。「個人研究費」で決済できるというふれこみで、注文は簡単だし、発注リストが残るので非常に便利である。しかし、「入荷済み」表示になってからなかなか届けてくれない。メールを出してみたところ、返事はなかったのだが、先日一挙に「入荷済み」表示になっていた本が届けられてきた。といっても18冊なのだが。「会員」登録するときも同じ調子だったなあ。これってやっぱり「クレーム」しないと動かない体質になっている徴候?

そして「個研」で買った図書は図書館情報センターに登録しなければならない。「(図書)登録カード」に書誌事項などを記載して登録手続きをとる。図書館ではこれをまたコンピュータに入力している(と推測される)。せっかくデジタルデータになっているというのに。某書店に要請すれば必要なフォームのデジタルデータを添付してくれるのでは?

とまあこれは一例だが、学内外の情報システムはまだまだちぐはぐしたところが目立つ。


2000/1/24(月)カラーコピー

午後から最後の実験実習。最後の課題は2年、3年とも集団実験である。私は3年生の方の担当でひさしぶりに3年生全員集合である。課題は因子分析。衣装の好みを対象にした。複雑な結果になることは予想してはいたのだが、やはりというべきか因子数が多く、しかも「寄与率」も0.5程度と、実習課題としてはやや不適当なデータとなってしまった。

因子分析についてはもう少し時間をかけてやっておきたいのだが、方法的に難しいところがあって学部の課題としては取り上げてこなかった。卒論などでも使う学生もあるだろうし、まとまった話を聞く機会もほとんどないかもしれないので、研究法のなかでとりあげてみようか、と思うのであるが、限られた時間の中でわかりやすく説明できるか心配で躊躇しているのである。私が学生の頃は大学院の授業で半期分のテーマだった。今日は因子分析の適用例と結果の見方の説明しかできなかった。資料を多く準備し、あとで読んで理解の助けになることを期待。

得られた因子分析の結果を「解釈」するために刺激写真が必要だ。それで、使った刺激の「サムネイル」ファイルのカラーコピーを依頼したのだが、コストの問題で学生配布資料はカラーコピー禁止ということだった。白黒のコピーを配布したのだが、やはりどんな刺激だったのかわかりにくい。学生の希望があったので、先週の実験でつかったパワーポイントのファイルを実験室のパソコンにコピーして閲覧できるようにしておいた。

配付資料もデジタルデータですますことができれば教員としては便利だと思う(ただし学生にとっては紙に印刷された資料の方が便利かもしれない)。しかしこれはパソコンをいつでも使える環境があるかどうかによる。インクジェットプリンターで出力すれば時間はかかるが、間に合ったかもしれないと、後から気づいた。

朝、教員談話室で昨日の日経新聞を見たところ、一橋大学・学長が授業評価について書いておられた。ともかく現状を変えようということは痛いほどよく分かるのだが「授業」の「何を」変えようとしているのかについては抽象的な議論のように感ずる。

現在のところ半数近くの大学でなんらかの「授業評価」が行われているとのことだ。その効果はどんなものなのだろう。授業評価をおこなったことでなにがどのように変化しうるのか。

脈絡ないが、これを書いているパソコンSony Vaio C1XEはこの時期は「ホカロン」状態なのだが、この熱の発生の仕方はやっぱり「仕様」の域をこえた「欠陥」ではないだろうか。(C1XEのマニュアル本のなかで開発者は温度自体はC1と変わらないのだが、マグネシウムボディのため熱く感ずる。低温やけどや熱暴走の心配はない、とのコメントをしている1/25)

水戸の地元百貨店「伊勢甚」の前に長蛇の列。どうも地元出身の「武双山」が優勝したのでそのセールらしい。バスに乗り合わせた老婦人がなんの行列だか分からないまま、乗客に「なんの行列だ?なんでならんでるんだ?」と聞きながらとりあえずデパート前のバス停で降りていったのはおかしかった。


2000/1/23(日)FD雑感

授業評価はなんのために行われるか。昨日の本「授業を変えれば、、、」のなかに授業評価を実施している大学を取材した部分がある。これらの先進校での授業評価の一般的な見解は「学生の意見を聞くための一つの方法」というものであると思う。本学でもK学部が授業評価を始めた時に感じたことは「もっと良い方法はないのだろうか」ということであった。それはどうしても事後評価は「管理」を連想し、授業改善そのものにどのように結びつくのか、という点のイメージがわかなかったからだ。授業を評価する、という場合、その対象は様々だ。なんのために行うのか、という問題が必ずしも明らかでなかったので、私の同僚の間でも受け止め方もさまざまであった。

私自身は授業を「より良く」(あるいはよりマシなものに)するための資料にしたいと思っているので、マークシート方式の評定点よりも、特に自由記述欄に書いてくれたコメントはいろいろ参考になると感じている。

FD(教授能力開発?)は、事後のアンケートによる「授業評価」の問題だけではない。「授業評価さえとりいれれば」ということが全てではないように思う。

夜4年生のTさんからメールで、こちらで修正して返送したエクセルのファイルが開けないという。TさんはWindowsで私の方はMacのエクセルなのでファイルの互換性の問題だろうか。前回は大丈夫だったのだが。そういえば、送られてきたファイル名に空白があったのがいけなかったのだろうか。一応ファイル名を変更して再送信。(今度は大丈夫だった1/24)


2000/1/22(土)授業評価結果の比較

琉球大学の道田さんのWeb日記(読書と日々の記録)に「授業を変えれば大学は変わる」という本(安岡・滝本・三田・香取・生駒著、プレジデント社1999)が紹介されていた。さっそく買ってぱらぱら読んでみた。この本は東海大学でのFD(大学改革?)の経過の記録が描かれている。その中に東海大学での「授業評価結果」が掲載されていた。科目別、職種別、年齢別に整理した授業評価データがあった。アンケートをとったものの比較の対象がなくどのように解釈したものか模索中だったので、わたりに船ということで私の結果と比較検討してみよう。(このようにアンケート内容そのものも異なり、また諸条件差を無視して比較してしまおうというところがこの種の調査の危険性を端的に表してもいる。しかしここはあくまでも類似した調査と比較してみようということで。)

アンケート項目は12問でおのおの5段階のマークシート方式である。私が借用しているK学部のアンケートと項目数は大体同じだが、東海大のものには「総合評価」の項目と教師が独自のアンケートを実施できるように4項目分の空欄が準備されている点が異なる(自由記述欄はもうけられていないようだ)。

東海大学は大規模校であるが、授業評価は教員のおよそ80%が参加して行われている。「義務」ではない。結果も年度毎にまとめられて「公刊」されてもいる。ここでは同書で公表されている結果((1)科目別比較、(2)職位別比較、(3)年齢別比較)との比較を試みた。

(1)最初に科目群別の比較(下図)である。ちょっと読みにくいかもしれないが、横軸の「一般」は一般教育科目、「外」は外国語科目、「専基礎」は専門・基礎科目、「専門」は専門科目を指している。右側の3項目「研究法」、「知覚」、「大学院」が私自身の結果である。私のデータは「参加度」の自己評定値を除いた10項目の評価値を平均したものを学生個々人の総合評価値とした。1が最低、5が最高である。

縦軸は総合評価値で1から5段階の「評価」値である(たぶん東海大のアンケートの「総合評価」への回答を平均した値)。データの傾向は外国語の評価が高く、専門科目は一般教育科目よりもむしろ低く、さらに専門科目の中でも基礎的な科目が低くなっている。

私の結果では研究法、知覚心理学はどちらも「専門科目」に相当するが、研究法の方が基礎的な内容であるのか似た傾向を示している。ただ、「評価値」はやや高い。

(2)次に職位別の比較をしてみよう(下図)。東海大学では「職位」の順に評価値が低下している。わたしの評価値は研究法が「教授なみ」、知覚心理学は「非常勤講師」をうわまわっている。平均すると講師〜助教授あたりということになる。

(3)最後に年齢別の比較である(下図)。東海大では職種がだいたい年齢に対応しているものと思われるので、「やはり」教員の年齢とともに評価は低下している。研究法は60歳代、知覚は40歳代、平均すると50歳代というところか。私の実年齢は40代の最後半です。

このような調査結果にはもちろん比較の意味はないのだが、いろいろ考えさせられるデータでもある。

東海大の結果で、ちょっと気になるのは専門科目群での評価値が低いことだろう。これにはいろいろなことを想像してしまう。あくまでも想像だ。東海大学では一般教育担当者には非常勤比率が高いのかもしれないし、年齢層が若いのかもしれない。これらは上のデータの「クロス集計表」がないので分からない。

もしかすると「時代にあった」教科内容にするためには「専門的な」しばりのすくない「一般教育科目」のほうがむしろ適しているのかもしれない。

専門科目での評価値低下の要因として思いつくものは、

選択科目と必修科目、受講者数による集計データをみたい。また可能なら出席率・成績評定の分布との関係も見てみたいところだ。

ちなみに道田さんもご自身の担当科目の「評価」結果を公表しておられる。平均値で4点以上ということで、これは分布を想像するとかなりの高評価値である。また、「琉大の共通教育科目全体でみると、過去4年間の総合評価の平均値は3.80。これは東海大学の平均値とも一致する」ということであった。平均的な値への「回帰」や「どちらでもない」反応をしがちになる可能性を考慮しても評価値はそれほどきまぐれには変動しないものなのかもしれない。

「授業を変えれば、、、」についてはまだ読み終えていないので「授業評価」の問題は再度。


2000/1/20(木)休講

今日は大学の関係高校の入試で、高校の教室が足り無くなり、大学の教室も利用するということで急遽休講措置ということになってしまった。これまで女子校だったが、来年度から共学になるということで(?)予想を超える受験者数になった模様だ。

自宅でSさんの卒論を読んで修正・変更・追加部分を書き込む。昼食をとりに外出し、本屋によってDelphi関係の本を買った。Delphi関係の解説本はCQ出版から数冊出版されている岡本先生のものがある。心理学関係の内容をあつかっているものもあって良いのだが、ソース部分の活字が加齢眼には読みにくいのが「難点」。

これら以外にもDelphiの入門書はいろいろでているのだが、その特徴からどうしても図が多くなりページ数がかさむ。下の本は比較的ハンディによくまとまっている印象を受けたので購入した。また、関数群も多岐にわたるのでレファレンス本も手放せない。「Help」がわかりやすければよいのであるが(ひょっとしてHelpファイルで良いものがなにかあるのかもしれない)。

昨日、卒業生がボランティアでやっている「よろず相談室」のホームページ事務局長のSさんよりメール。大学院進学についての相談があって、公開できる部分が送られてきた。しばらく開店休業状態だったので、さっそくアップロードしておいた。いまの所、私のページにリンクする形にしてページを「提供」しているが、大学でも卒業生にもサーバーを解放して使えるようなれば「生涯教育」の一貫としても良いと思う。



■大学往来インデックス