大学往来 

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2000/3/10(金)「外注」

研究費「不正」流用問題は東大でもあったそうだ。産学共同を推進している有名研究室ということだ(東京新聞のメディアウオッチ欄「サンデー毎日」)。「告発」があったのだろうか。

昨日のA大学のニュースはヤフーのネットニュース(毎日と時事通信系)のほうが(紙媒体の)東京新聞・朝日新聞よりもむしろくわしくのっていた。ネットのニュースでは学生が大学に「相談」したという表現になっていた。

大学関係の記事では、入試問題の「外注」ビジネスが大きく扱われていた(これもインターネットニュースの方がはやく掲載していた)。ある「有名」予備校が大学の入試問題作成を引き受けるという発表をした(実はすでに引き受けていた?のか反応を伺う目的なのかはよく分からない。または学力試験に変わる画期的な選抜方法を開発したのかもしれない??)

冗談みたいな話しだが、しかし、事情は異なるものの、昔「共通一時試験」が始まったときの国立大学も「独自の問題作成」を放棄したという点では同じではないかと思う。しかし実際には「外注」の必要な大学では入試そのものが意味のないものになってくるのではないかとも思う。

試験監督などをしていて入試の度に思うことは、学力については、高校の通常の成績を信頼すればよいのではないかということなのだが、内申書に由来する問題などが中学・高校ではいろいろあるようだし、結局ペーパーテストでやるのが「公平」でスッキリするなあという思いに至る。他に良い方法がないという消極的な理由なのだが。

「補習授業ビジネス」といい、大学教育の「空洞化」はどこに由来するものなのだろうか。専門的教育の必要のある代表のような医学部でさえ、米国では専門的な教育は学部を卒業してからという制度になっているようだし、日本でも中等教育・高等教育制度はあらためるべき時期なのだろう。

入試の合否発表の時期を迎えた。不合格だった人にはつらい時期だ。合否発表も今日風に通常の掲示板のほかに大学Webサイトでも合格発表するところがでてきているということだ(広島大、熊本大)。セキュリティの心配もあるがどのような対策がとられているのだろうか。


2000/3/9(木)すれちがい

大学院生が奨学金(アルバイト料?)を「ピンハネ」されたとして、教授に抗議したら「学位」をもちだされて「脅された」と大学に訴えた事件の記事があった。先頃Webサイト上に書かれたものと類似している。ちょっと長くなるが、東京新聞と朝日新聞の記事から得た概略は次のようなものだ。

東京新聞(3/8A地方中央版)の見出しは「A大大学院奨学金流用問題:「学生も了承していた」:副学長『問題なし』と見解」というものだった。

記者会見した副学長は「大学院生に支払われるべきアルバイト料や奨学金の一部が、実際の使途とは違う研究室の維持・運営費に充てられていたことは認めた」が「研究環境を維持するためにはやむを得なかった。学生も当たり前のことと考えており、了承していた」とのことで「問題はない」との見解をしめしたという。A大では調査委員会を設け教授らから事情を聞いているということだが、会見では「現在までに明確な不正行為は判明していない」との見解。ある研究室関係者は「学生も了承していたと思うが、夏頃に教授とトラブルがあった」と話しているそうだ。

朝日新聞(3/8)の社会面は小さい扱いで、「科技庁研究費 不正に請求:A大教授」という見出しで、「研究費の一部を架空のアルバイト料名目で不正に請求するなどしていたことが判明した」、「不正に受け取った総額は300万円に上ると見られる」という事実関係を述べる記事だった。同紙のA地方紙面では「A大教授の研究費不正請求:「使い道を追求」副学長会見 私的流用は告発も」という見出しで、副学長は「もし私的に流用していたとなれば、警察への告発も考える」と述べ、「不足した研究費を補ったというなら、まだ理解できる」と話している。

記事からは教員・院生双方とも慣習的に行われていたことを承知しているという印象を受ける。「問題なし」「不正はなかった」という発言の意味は、この種のことは「やむを得ざる慣習」となっていて、(私的な流用でなければ)「不正」を問えないという見解を示したということなのだろうか。

大学院生は授業料をはらっている「学生」であり、かつ「(アルバイト)研究者」でもあるという両義的な立場におかれていることが、このような「慣習」を受け入れざるを得ない一因になっているのだろう。しかし、不適切なたとえではあるが、政治献金が発覚したときの釈明に使われる「政治献金は私的には流用していない、政治のためにつかった」という発言と変わらないもののように思える。


2000/3/8(水)会議の時間

いくつかの大学関係の日記で国立大学の教授会が非常に長時間にわたり、6時間にわたることもあるということを知った。大学によっても運営の方法はかなり違うのだろうが、私の所属する学部では各種「委員会」で基本的な案を練って教授会ではその案を審議し決定するということが多く、大体1時間半くらい、長くても2時間には収まっている。ただし委員会によってはその事前準備に非常に時間と労力を要するものもあるし、理事会・法人関係の会議は別に行われているので、大学全体で運営のために要する会議を合わせると相当な時間になることはたしかだ。

たしか教授会への出席は「服務規程」に明記されているのではなかったかなあ。

今日は午後から委員会。今日の委員会では学生サービスに関わる問題で、いろんな見方があるものだと思った。会議後、議事録の校正。その後、実験・実習室の改造関係の打ち合わせ。限られた資源なのでなかなか難しい。

夕方ホワイトボックスのお世話を少しした。ドライバー類の組み込みが面倒なマザーボードなので再インストールが大変になると思い、「HD革命バックアップ」というのでパーティションを分割してバックアップを作っておいた。機能は明確でメニュー等もわかりやすく、使いやすいソフトである。でもバックアップはパーティションは別だが、ハード的には同じドライブ内にあるのでコケルときは一緒のような?


2000/3/7(火)議事録・共同型商品開発モデル

午前中会議議事録の下書きを事務方へ渡した。メールでおくれると良いのだが個人情報等も含まれるため安全性を考えてメディアで手渡ししている。心配しすぎかもしれない。昨年あたりから事務方はノートパソコンが普及してきたのでメディアはフロッピーからフラッシュメモリーカードへ。これの校正が終わればこの役から解放される。議事録の文章はきまり文句やお役所調でぎこちないものである。これまでの経過でちょっと奇妙な表現も継続して使われている。それでも、後になって事情を確認することが必要になることがあると、議事録がほぼ唯一の資料となる。

今日は登校されている先生がたも少ないためK学部のN先生おすすめの仕出し弁当屋さん(「大洗」)の「日替わり弁当」を頼んで、昼食。手作り弁当という感じでうまかった。500円。

日経新聞(3/5)に連載「デジタルエコノミー(第2部・会社と私)」、「商品改革 消費者が手腕」という記事があった。商品開発に生産者と消費者が協同してあたる「共同型商品開発モデル」が注目されているということだ。このような動きに重要な役割を果たしているのはもちろんインターネットである。特に「ネットで発言力を増」した情報豊かなユーザーグループの存在は企業側にも影響力をもちつつあるようだ。

いろいろアイデアコンテストも行われているようで、応募してみると面白いのではないかと思う。記事では「カレーをメンにかけてたべたい」というアイデアで優勝した例が紹介されている。東洋水産「インドメン」で6日発売だそうだ。カップ麺の類はあまりおすすめはしないが。

ソニースタイルドットコムジャパンは「インターネットで消費者とコミュニケーションしながら、家電商品を開発する仕組みを年内につくる」ということだ。ソフトウエアはこのようなシステムによくなじむものだと思うものだが、いっこう改善されていないように思えるシステムもあるなあ。

(先日あるデジカメメーカーからユーザー懇談会の案内が来ていた。(抽選のようだが)出席すると8500円の謝礼があるとのことだ。お手軽なベーターテスターみたいでもあるが、これもユーザーの声を聞こうということだろう。)

余計なことかもしれないが、「就職対策」テーマとしてはこのあたりの話題は面白いのではないかと思う。


2000/3/6(月)iMode

やっとiMode端末を入手。地元系カメラ店が大手カメラ店に吸収合併されて新規に開店したばかりの店で購入。勘違い電話連絡があったり、不慣れな支払い処理など、事務関係のオペレーション大混乱だった。イライラしてしまったのだが、店員君は大学をでたばかりという感じの若い人で、同年齢の学生のことがついつい思い浮んでしまい、物わかりの良いおじさんを演じてしまった。

N502iというモデルに「機種変更」したのだが、携帯端末のユーザーインターフェースは大いに改良の余地ありという印象だ。これから、さらにいろいろな機能が加えられるようになると、使いやすい標準的なユーザーインターフェースを定めないと機種変更のたびに面倒なことになるなあと思う。

インターネットを通じた教務関係の連絡が試みられている大学も増えてきているが、携帯のメールを使えば現実的なものになるかもしれないと思う。ただしまだまだ基本料金など高すぎだなあ。比較的長いレポートなどの添削にはやはりパソコンでのメールがないと無理だ。

昼食にはいった店で、隣の席の二人連れの品の良いご婦人同士の会話。「大学の先生はねえ、ちょっと極端なのよ、Aさんのご主人は大学の先生で○○の研究をしているらしいんだけど、夜中にゲームソフトを買いにいったりするらしいのよ、趣味と実益が一致しているということなんだろうけど、あれでいいのかなあって」。おもわず聞き耳ダンボ状態になってしまった。うちの大学のことではありませんので、ねんのため。


2000/3/5(日)学童保育

今日のTBS「噂の!東京マガジン」は船橋市の学童保育の公営化の問題を取り上げていた。現市長の公約により学童保育が公営化されたということであるが、「公営化」にともなって、現在運営されている保育所で働いていた人たちに「資格試験」が行われ半数ほどが新年度から「資格」を失うという問題だ。その試験問題がいかにも公務員試験の「一般教養問題」で肝心の学童保育の知識を問うものではないこと、10万人もの署名に対して「全ての人がただしく目的を理解した上での署名ではない」というような対応をする市や市の福祉関係の責任者。「公約」は形式的には果たされたことになるのかもしれないが肝心なのはその中身だ。

市が放置してきた学童保育を支えてきた人たちをまったくないがしろにする「公営化」という印象である。私立のままでもつづけられるが「資格者」や条件を満たさない施設では補助金がおりないので存続できないでしょう、とか、しょせんはカギっ子対策だ、などと現状を知らず、また恫喝まがいの発言をする福祉責任者というのはいったいなんなのだろう。

この種の番組でCNNなどと違うなあと思うのは、時として責任者がきちんとインタビューに答えないということである。今回、市長はインタビューに答えていない。

学校の先生以外のいろいろな人たちと接することは児童にとっても有益であると思われる。しかし、新しい制度のもとでは学童保育所でも「先生」みたいな人がいて、放課後にまた第二の学校へ行くようなものになってしまうことにもなりかねない。

公営的サービスのあり方がいまのようなお役所的なものであるかぎりは、児童にとってあまり魅力なく行きたくもない形骸化した学童保育所が残ってしまうことになるのではないだろうか。ことサービスについては、以前から私の気にいっていることばに、「郵便より宅急便、(旧)国鉄より私鉄、国立より私立」というのがある。お役所は公僕であることをわきまえて市民の本当のニーズを把握できなかったことに思いをいたし、援助こそすれ、すくなくとも邪魔をするべきではないなあ。

テレビ番組では行政の問題を取り上げるのはなかなかむずかしい面もあるし、いろいろ制約も多いと思うが、この番組はお役所仕事の矛盾やおかしさをテーマにして、その矛盾のなかにある事情を明らかにして「苦渋の選択」の背景を解説するおもしろい番組である。

今回はお役所の「苦渋の選択」の中身があまりにもお粗末であり、というかほとんど考えないで、お役所的に「処理」した結果のようだ。これでは船橋市民の怒りはちょっとおさまらないだろう。船橋ばかりでなく全国的に学童保育の公営化の問題はあるということなので、各地で類似の問題が今後もちあがることは確実だ。

3/3は大学の回線増強工事のため午後いっぱいサーバーが停止するというメールが来ていたのを思い出したが、昼間外出していたので分からなかった。学内から外部のサーバーへアクセスするのに非常に時間がかかり、学期中の授業のある時間帯はほとんど使いものにならなかったのだが、どの程度改善されただろか。もし学外へのアクセスに問題がなくなればこのサイトを外部のサーバーに置くことも考えてみよう。いちいち「このサイトの意見は私の個人的な意見であり、大学の公式見解ではありません」というのをいれるのも煩わしいし。

また、ちかぢかiModeに加入する予定なのでiMode対応版にするかなあ(といっても、携帯でわざわざ読みに来る人はいないだろうなあ)。

ローカルには大成功しているiModeであるが今後国際規格との整合性の問題が生じないかが懸念材料だ。


2000/3/4(土)校則

APのニュースによると、大統領候補の選挙が行われている米国で、ブッシュ候補は保守票の獲得のために「保守的」な大学(Bob Jones University)で演説をしたということだ。この大学は黒人学生を受け入れているにもかかわらず、なんと人種間の交際を禁止する「校則」が存在していて、ブッシュ候補がこの大学の価値観に共感していると発言していたことから批判が高まり、ブッシュ氏は釈明をせまられ、大学もやっとこの「校則」を廃止したということだ。この校則は同大学の設立趣旨としてのある宗教的立場に由来しているものらしい。また、黒人学生を受けいるようになったのは、減税措置を失うという理由からのようだ。

CNNでときどき大統領候補選の様子を見ているのだが、ブッシュ候補の優勢は揺るがないということらしいが、いいわけばかりしているようで、どうもブッシュ氏の印象は芳しくない。

日本では特定価値観をもつ有権者の支持をうったえるために政治家が訪れる大学というのはあるのだろうか。日本では選挙期間は禁止されているのだったのかな?


2000/3/3(金)耳の日

今日は「桃の節句」だが、耳の日でもあるらしい。耳の日にちなんでだろうか、昨晩のラジオのニュースで郷里の聾学校でだれかに電話をかけてほしいというような緊急時の依頼のための文章が書かれた手帳が配られるというニュースを聞いた。

丁度先月来iModeの「機種変更」端末を探しているところなのだが、ケイタイのメールは聴覚障害のコミュニケーション支援環境になることにあらためて気づいた。

「文字通信」に関連して、WorkPadに接続して「手書き文字や絵」をとりこんでメールで通信できるデクリオというデジタイザーがある。その用途につては、いまいちピンとこなかったのだが、手書きの文字や絵をそのまま簡単にメールとして送信できるようなので、携帯できるファックスとしてコミュニケーション支援につかうことができると思った。デクリオ自体は少し前に発売になっているが、今週のDimeにわかりやすい紹介記事がある。

若い人は10キイ入力方式も苦にしないようだが、キイボード世代のおじさんにとっての理想的な携帯端末というのは、WorkPad程度の解像度と小型のキイボードを備えたスタイルだと思う。

故郷の聾学校は写真部の活動で良く知られている。写真雑誌「CAPA」のフォトコンテストに毎月のように入選作品が掲載されていて、故郷の風景がよく登場してなつかしく見ている。記憶の片隅にある街角や自然の景色が写されている写真を見るとき、親しみの感情が先にわいてきて、あとからその場所が分かったりすることもある。

Dime今週号の書評欄は「と学会」の「とんでも本 女の世界」が取り上げられていた。いろいろな「とんでも本」を批判したシリーズがすでに出版されているようだ。書評氏によると「とんでも本」批判の次のターゲットは精神分析関係の「とんでも本」に向けられるだろうとのことだ。

アップデートの申し込みでファックストラブルに悩まされたAMOS 4.0(日本語対応版)が届いた。日本語のチュートリアルが付属され、ごく基本的な使用法は一応説明してある。レファレンスは英語版。


2000/3/2(木)委員会

国家公安委員会関係の記事で東京新聞は委員名とその待遇を一面に掲載していた。待遇は「次官」以上で、公務員の中では最高高額に近いそうだ。処分を下すためには処分を受けるものよりも高い地位が必要だというような考え方なのであろうか。委員のなかには大学院のころ授業を受けたことのある先生の名もあって驚いた。それにしてもなんで国家公安委員会の委員なのかは知る由もない。この種の委員会がいったいいくつあるのだろうか。

「委員」というのは誰かに選出されたり、推薦されたりしている人である。誰が推薦したのか、どのように選出されたのか、おおやけの委員会であればだれがどのような意見をのべ、どのようにして結論が得られたのかは公開されなければならないだろう。

社会的影響力の大きさは異なるものの、大学における委員会組織にも類似した構造が潜んでいるのかもしれない。大学の「委員会」にも予定調和・よきにはからえ体質が潜み、顕在化するすきをいつもねらっているのではないかと思う。


2000/3/1(水)年度末

午後から学年末の重要な会議。B方式入試と編入学試験を残して本年度もいよいよ終了である。つづいて新学期の準備の会議。

昼休み実験実習関係の打ち合わせ連絡会。一部教室の改造とイントラネット関係の案件について。事務方の説明でネット関係はあと2年持ち越しになることになった。しかし、無線技術などの技術変化がありそうなので遅延はむしろ良い方向に働くかもしれない。予算の関係で一挙に実施できず学内のユニット毎に執行していくようだが、技術動向の変化もあるし、全体設計をしっかりしておかないと完成時に学内システムとしてちぐはぐなものになるオソレもあるなあ。

体育館で関係高校の卒業式が行われていた。「仰げば尊し」の斉唱があるのだそうだ。いまどき奇特なことではある。

夕刻から3年間嘱託助手をお願いしていたU君の学生主催の送別会に出席。U君は引き続き職員に採用になったのでその御祝いもかねて。ある学生がホームページ良く読んでいますよ、と声をかけてくれた。 また2年生のBさんJさんが近寄ってきて「先生ラルフローレンで決めてるそうですね」と意外な発言。私の外見・実態からおよそかけはなれた印象だと思う。ラルフローレンは高校生がよく買っているアウトレット店のチノパンツとポロシャツ、(ジャンパーもか)だけです。そういえば学生のころからずーとチノパンツでかわりばえせず。



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