大学往来 

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2000/5/19(金)例題・進路

大学院の研究法の因子分析のデータ例としていくつか探してみた。方法の性質から多数のデータが必要になるのだが、演習用の小さいデータだとあまり面白みがないし、実際のデータだと(あまりきれいに分解できないので)最初の演習用としては適さない、というようなジレンマ状態。いくつかSPSSでやってみる。テキストに載っている例題用のデータでもSPSSのごく標準的な解法では計算できないものもあった。それでも、ことしは例題のパソコン演習を多くしてみようと思っている。

卒業生からメール。卒業生は他の大学院、特に心理学以外の大学院に行く学生も少数だがいる。いずれも「他分野」の勉強もしなければならずいろいろ苦労があるものだ。しかし、いろいろな意味で道ははるかに広がるものと信じている。


2000/5/18(木)「見れる」講義

午前中知覚心理学。前回中断した顔・目を見ることを忌避する行動についての研究の話を終える。前期は視覚の形成過程を軸にして種々関連する話題を話しているが、すこし戻って色彩の知覚の話をする。光源の話とか、分光特性の話とか心理物理学的な知識がやはり必要なのだが、聴衆の「反応」が鈍くなることを感ずる。そして、聞いている学生とそうでない学生の反応がきれいに分かれる。3割くらいの学生はきちんと聞いているのだが、こうなると私も学生を十分「見れなく」なり、一方向的な話になってきたなあと感じ、今日は早めに切り上げた。今日はカラーOHPを多数用意したのだが。このような、必要だけれども「堅い」話題をどのようにプレゼンテーションするかは、私にとっての課題である。

午後から卒論相談とゼミ。間に院生U君の修論の話を聞く。ゼミは今年の試みで、卒論紹介、テキスト演習、心理関連資格問題に関する演習を盛り込む計画なのだが、今日は30分ずつで3本立て。時間的にはちょっと問題だが、変化があって、悪いことばかりでもないなあと感ずる。

夕方談話室でF教授が「専門を否定」する内容の話をされた。私も多少関連する分野なので以前から考えていたことなのだが、改めてよく考えてみなければいけないと思う。


2000/5/17(水)個人差

明日の授業の準備でカラーのOHPを依頼した。色彩についての単元のため何枚かはカラー資料を用意していたのだが、院生のKさんに聞いた「色彩検定」関係のテキストにはわかりやすいカラー写真や資料が多数掲載されているので、これらの図版を利用することにした。正確な色再現は印刷でもなかなか難しいし、OHPでも同様だが、モノクロの資料にくらべればはるかにわかりやすいと思う。

同じ仕事をしていても人によって大変違うものだなあ、ということを感ずることがある。水戸駅から大学への行き帰りに利用するI交通の運転手Kさん(知り合いではなくて、運転席のところに名札が貼ってある)の便に乗る機会が何度かあった。運転手によってさまざまなのだが、Kさんは乗り降りの案内、注意などをいつもきちんとされる。うるさくならないところが立派なところだと思う。

通勤につかっているひたち号では日本食堂?の社内販売のワゴンが回ってくるのだが、これも売り子さんによってずいぶん違う。人により売り口上が違うので「会社の方針」に従っているのではないようだ。私が感心しているのは単に「サンドイッチはいかが」ではなく「つくりたてのサンドイッチはいかがでしょうか」と声をかけながら売っている人と、単に「ビールに。。。」ではなく「ヨーク冷えたビールはいかがでしょうか」という人だ。この口上はたぶん個人的な発案によるのだろう。ちょっとしたことなのだが、売り上げもだいぶ違うのではないかと思う。


2000/5/16(火)修論相談

午前中、大学院の研究法は因子分析の「因子」についての基本的な説明。午後からの学部の研究法は電算教室でSPSSをつかってχ二乗検定の演習。SPSSはバージョン10で、データエディタに多少の変更があって、まあ改良?といえるのかなあ。電算教室K311は初めて使うが、他の教室より余裕があるように感じた。来週もう一度電算実習とする。

つづいて大学院の特殊研究は、修論研究の話を聞く。おもしろいテーマなのだが、まだ具体的なアドバイスはできず。各自メンター(指導教員)との相談もあるだろうから、方法的な問題以外はあまり横から口を挟まない方が良いような気もしているのである。

修論の話の中で、修論テーマには直接は関係ないのだが、人間の行動を説明するのに遠い過去の出来事、しかもかなり不確かなものを持ち出そうとするのはどうしてだろう、という話になった。私もデータを持ち合わせないのだが、解釈と事実は区別されているのだろうか。「しろうと理論としての心理学理論」というテーマが冗談でなく成立しそうだ。


2000/5/15(月)新入生歓迎会

午前中実験実習2のプログラムを修正。今週のグループから条件を追加変更する。午後から実験実習1。3サイクル目になるが、実験実習1は順調。実験実習2はやや苦戦というところだ。

夕刻から専攻の新入生歓迎会に出席。一年生は私は担当科目がないのでほとんど初対面である。2年生からは担当科目がいくつかあって、2年生の学生が何人か話しかけてくれたが名前を思い出せず。まだ顔と名前が一致しない状態なので、パーティの時は名札があると話しやすいのだがと思う。

卒業生からメール2通。ある用件で連絡をとるのになんと一週間以上を要した例があったそうだ。結局連絡がとれて、まあだからどうしたということはないのだが、共同研究もこの調子ではなかなかはかどらないのではないかなあ、とひとごとながら気になった。共同研究ではインターネットの恩恵を受ける面が大きいと思うのだが。

ホームページを見たということで2回生の卒業生からメールがあってなつかしい。

大学にも、とくに事務・管理的な仕事には「IT技術」の波が押し寄せることだろうが、事務的な仕事ばかりでなく、教育や研究面ではどのような「IT技術」が可能だろうか。


2000/5/13(土)「なんでも実験」

午前中のNHKの教育テレビ「なんでも実験(室?)」をときどき見ている。どこでも手に入る材料で科学的な実験を工夫するというような内容で、たぶん小学生か中学生向けの番組だろうか。きょうは振動が描くアートというテーマで、振り子を利用してリサージュ曲線を書くというものだった(再放送)。多摩地区に科学とアートをテーマにした展示館があるということで、そこの方も出演されていた。このような科学おもちゃはかなり前からあるもので、新しいものではないが、この番組では手作りの「装置」でいろいろ工夫をこらせそうな余地が残されている点が良いなあと思う。

ちょっと趣味的と非難されるかもしれないが、心理学とアートという話題も古くからあると思う(たとえば実験美学など)。講義のときにも関連する話題として取り上げてきている。この番組を見ていて、「心理学とアート」という話題も組織的な単元として構成できるかなあなどと思う。


2000/5/11(木)顔

午前中の知覚心理学では、視覚の形成過程のつづきで、複雑な事物の知覚。顔・表情の知覚的訓練過程の研究の話と、知覚心理学の内容としてはやや特殊であるが、顔や特に目を見ることを避ける行動発達障害についての事例研究の紹介。関連して毎年とりあげている話題であるが、日本で言う「白い目」、米国的には「南部の目」について、目というものはある条件では怖いものでもあることを話す。講義をしていると非常に多数の目に出会うわけで、私はいまでも緊張するものだし、もし、これが「白い目」になるという状況になったら怖いだろうなあと思う。「生態学的」には二つの目で見据えられるというのは危険な状況でもあると思う。というような話をした。

授業ではなるべくリラックスして、広い範囲(といっても50名ほど)学生の顔を見るようにしているが、逆効果になる可能性もあるかなあ?ときどき、完全に眠ってしまっている学生がいることがある。私はどのような表情で彼らを見ているのだろうか。

最近は顔や表情についての研究が心理学以外にもさまざまな分野から行われているので、話題としてはおもしろい。

午後から卒論相談とゼミ。卒論はそれぞれいろいろ考えている様子をうかがうことができるが、より具体的にする作業が必要。


2000/5/10(水)卒論

昼休みの時間にある委員会の連絡会。この委員をやるのは初めてである。たしかに大学「公務」については「公私」をはっきりさせておくべきだろう。

午後から大学院の授業。素朴なものではあるが卒論研究を例にして研究テーマの所在について話した。「洗練」された研究とはいえないので、問題点も指摘しやすいだろうし、これらをとっかかりにしていろいろ話題がふくらむことを期待している。

不調だったDellは結局今日システムを入れ替えた。ドライバーが付属していないものもあったが、Dellのサイトからダウンロード。便利になったものだと実感。しかし、「HDバックアップ革命」でパーティションを分けようとしたのだが、いきなりエラーがでる。ホワイトボックスでは何の問題もなかったのだが。


2000/5/9(火)メールで失礼?

だれかがメールをつかえない(つかっていない)ということを理由にして連絡をおっくうがってはいけませんよ。連絡手段はいくらもあるのだから。

「昔」は「電話で失礼します」なんて言ったものだが、これは現代的には別の意味であてはまる。「電話で(そちらの事情を知らず、わりこんでしまってすみません)失礼します」。

一方メールでは「メールで失礼します」というのはあまり聞かないような気がする。メールはたしかに便利なものなので、つかっていない人を「非難」したくなる気持ちは私にもあることは事実なのだが。

障害の一つはキイボードで、もう一つは端末やソフトの加齢対応が不十分なのだと思う。特に携帯関係のメールボード類は情報デバイドされたおじさんたちにも最適のものだと思うのだが、いかんせん加齢対策がまったくほどこされていない。

午前中、大学院の「人間科学方法論」。今日は因子分析の説明の準備でごく基本的なベクトルの計算の説明をした。授業で使っているテキストをお書きになったY先生についての話をした。私が学生のころ、一度Y先生の講演を聞いたことがあって、その時スーツのすそからワイシャツがべろんとでている姿もいっこう気にされる様子もなく、式の説明や展開をされていた姿を思い出したのである。今日ではワイシャツはこのようにすそを出して着るようになったもののようである。

Y先生はある本に「なぜこのような研究をはじめたのか」ということを書かれていた。これを読んだときに、なるほど学問をなした人には、確固たる学問の原点があるものだ、ということに思いを深くし、自分はどうだろうか、と考えたのである。もちろん、学問のきっかけは偶然ということも多いし、人により多様であるし、「業績」もそのようなこととはあまり関係がないかもしれない。しかし、Y先生の話にはなぜかこころ打たれるものがあって、毎年話しているのである。

午後から学部の「研究法」で、χ二乗検定の演習。

つづいて大学院の「特別研究」。修論関係のデータ処理の問題など。


2000/5/8(月)実験実習

先週来不調のDell v333cのシステムを新規インストールしようと思ったのだが、正常に立ち上がる。だれかがなおしてくれたのだろうか?

今回のトラブルはプリンターの不調という形で始まった。先週の段階では、プリンタードライバーを削除し、プリンタポートに接続するSPSSの古いバージョンのハードウエアキイを取り外した。

今日ドライバー類を確認したところ増設したSCSI関係に不要のドライバーが入っていてアラートが出ているが正常に立ち上がる。これを削除して、プリンターケーブルを交換し、新しいプリンタードライバーをインストールした。正常に動いているようなのでしばらくこれで様子見。

午後から実験実習。今週は実験についてのインストラクション。カテゴリー弁別の実験では今週のグループのほうがテストの正答率高いようだ。付加した条件の効果か。しかし、反応時間はあまり分化していない模様。

実験実習2の課題は実習課題としてはちょっと無理があるかなあと反省している。

夕刻はげしい雷雨。短時間であがり、草木と土の甘い香りが立ちこめる。このところ月曜日は3週つづけて雷雨だ。


2000/5/7(日)ことしの連休

今年の連休はほとんど近所で過ごした。普段あまり歩かない道を歩いてみたりしたが、数年の間に街の様子というのはずいぶん変わるものだと思った。以前からある店など、近くにあるのに一度も入ったことはないのだけれど、ちょっと気になる店(だいたい食べ物屋)もいくつか(再)発見した。

夕方高校の同窓会の案内の電話があった。前回からはやくも5年が経って、今年は(というか初めて)出席してみようかなあと思う。

今日は明日の実験実習のプログラムの小さな修正作業のみ。


2000/5/2(火)待ち時間

先週ひさしぶりに病院にいった。連休前のせいかかなり混んでいて、2時間近く待ち、診察そのものはそれこそ5分ほどだっただろうか。医薬分業ということらしいのだが、近くの薬局も込み合っていた。それほど大きくない規模の総合病院なのだが、待ち合いの椅子の数さえ不足気味で、病院なのにちょっと変だなあと思う。健康保険のため負担はほとんどなかったのだが、保険診療のためにこのような余裕のない病院経営になっている面もあるのだろうか。

子供の泣き声は病院ではあまり気にならず、なんだか懐かしいような不思議な感情を受けた。

学校は病院ではないが、病院モデルというのも有り(必要?)、かもしれないなあなどと思ったりした。待ち時間は解消しなければならないが。


2000/5/1(月)一週間ぶりの更新

先週は体調をくずしてしまい、週のはじめはなんとか休まずにやっていたのだが、木曜日の講義ほかを休講にしてしまった。今年は時間割りがかわったこともあるのだが、予想外の影響を受けたようだ。日記の更新も一週間ぶりということになってしまった。

今日は実験実習の第二グループのサイクルへ。実習1のほうは、先日のフォーラムでヒントを得た条件を加えたところ、正式な集計はまだだが、かなり効果ある模様だ。なぜか、はすこし考えてみなければならない。

実習2のほうはプログラム変更できず前回のグループと同一条件で行った。

ことし学部が新設になったのだが、そのせいかキャンパス内の学生数が非常に増えたような印象を受ける。新しい大学の宿命でもあるのだが、これでともかく常時「建築中」の状態からは解放されるか。


2000/4/24(月)実習課題・課題

午後から実験実習。2年生、3年生とも先週の実験についてのインストラクション。最初のグループなので、2年生は今回が初めてのリポート課題ということになる。最初のテーマとしては手続きなどちょっと複雑だったかもしれないが、「仮説」のはっきりしたテーマなので課題自体は理解しやすいかと思う。これに対して3年生の方の課題は、実験実習の「定番」課題を二つ組み合わせたものなので、やや特殊なものになってしまったかもしれない。実験課題を選択するときに、担当者の側はオーソドックスなものだと面白みに欠けるかなあ、などと考えがちなのだが、受ける側は一回限りだということに気をつけるべきかと反省。次のグループから「定番」コースへもどすかもしれない。

実験データの整理を待っている間 院生TAと雑談。

先生がたはいろいろ授業とかお忙しいようだけど、いつ研究や勉強されるんですか?こんど演習の発表があるのですが先生が学生のころにもありましたか?楽しかったですか?なんでそんなつらいことをつづけているんですか?

学生諸君はよく観察している。これらの問いは「大学」の抱えている問題や悩みでもある。

夕刻から雷雨。


2000/4/22(土)基礎心理学フォーラム

午後から基礎心理学会のフォーラムを聴きにいく(東大(本郷)。関西学院の中島さん(知覚学習の話)と、法政大の原田さん(過程分離法)、東大の佐藤さん(仮想現実感)が話題提供された。中島さんの話は私も興味のある分野なのでいろいろ勉強になった。実験実習の課題にしているカテゴリー弁別の実験演習にさっそくとりいれてやってみようと思う。佐藤さんの話は実験心理学の矮小な面(実験心理学の悪い面)をのりこえようとするおもしろい話だった。「専門外」の人も興味深く聞ける話題を取り上げられ、資料もわかりやすくサービス精神旺盛に話された。

発表形式は原田さんがノートパソコンで、他のお二人は OHPでのプレゼンテーション。いずれもよくまとまったわかりやすい講演だった。しかし「サービス精神」というのは、私などが授業などで下手にまねをすると、いいかげんな印象のみ残る危険性もあるなあとも思った。

これらの話を聞いて、私自身の研究の方向についても、ある種の光明を得ることができた思いもあった。


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