大学往来 

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2000/06/30(金)予算

NHKの朝番組で「地方の大学」についての小特集があった。国立大学(たしか高知大学)と四国のある私立大学が取り上げられていた。この国立大学の場合、予算は現在だいたい80億円くらいで、このうち授業料収入が20数億円、寄付金が1億円ということだ。今後この「収入」では不足する部分に「予算」がつくかどうかは、「特色ある大学」として判断(だれの?)されるかどうかによる、ということだ。現状を維持するためには相当分の予算確保が必要になる。

詳しい実態は私などにはよくわからないのだが、私立大学においては「公的な補助」(私学助成など)は予算の1/3程度を占めるようだ。この割合でさえ、補助をうけるためにはいろいろな条件がつくようである。公的な資金であるから当然なのだが、補助を受けるための基準は、いろいろな「圧力」になることも容易である。

最悪のばあい大学の生き残り策は「予算獲得」ということになり、(だれが判断するのか不明だが)「特色のある大学」という条件をクリアーしようとして結果的に各地に「特色のない大学」が産出される可能性がある。(特色をだそうとするが、どの大学も似たようなことを考えるため、あるいは「望ましい」改革を推進する大学になるために。)ちょうど公共事業の「ばらまき」行政が陥っているような。

たとえば、この国立大学では県内の4大学(国・公立)で単位の互換性をすすめて互いの大学で講義を受けることができるように準備を進めているという。いろいろこのような新しい試みがあって、大学の「活性化」や「開かれた大学」のためにはもちろん良い変化であるとは思うのだ、どうもこれは単に補助をうけるための基準をクリアーしようとしているようにも見える。

一方私立大学のほうは、「営業活動」が報じられていた。この大学では各地方で「保護者」会を開き、職員が出張して、小宴会の席で学生のスナップ写真やいろいろな資料を用意して保護者の方に大学での様子を知らせ、個人的なつながりや、「顧客満足度」を高めようとしているようだ。

この番組を見ていて、あらためて、なぜ国立大学は2/3にものぼる予算を「取り上げられて」しまったのだろうか、と疑問に思う。学問的に正しい大学が、「政治的に正しく」存続し、できることなら社会から支持され要請されることを願っているのだが。


2000/06/29(木)文献複写サービス

午前中知覚心理学。視覚関係の障害例の話の最後で認知的障害(失認)の話。この講義ではオーソドックスな知覚心理学の進め方ではなく、知覚の「臨床心理学」をストーリーとして関連する伝統的な知覚心理学の内容をおりまぜて話すというスタイルをとっている。これは私のつたない講義の経験によって形成されてきたものである。この方向は(入門であれ基礎であれ)間違っていないものと信じているが、最新「流行の」研究トピックや「伝統的な」話題についても関心が深まるような形で紹介できれば理想的であると思う。これらは私への宿題である。

午後から卒論相談1名。イエローカードの諸君はどうしているだろう。そろそろレッドカードだなあ。続いてゼミ。テキスト購読のあと、昨年度の卒論紹介。

休み時間に教員談話室で図書館やコンピュータ設備の話題。図書館関係で「蔵書」の話になり、いわゆるドキュメント・デリバリー・サービスの話をした。大学間の情報格差を小さくする情報サービスであると思う。利用料金面の問題はあるのかもしれなし、教員側の意識変革も必要かもしれない。話が進むことをせつに希望する。


2000/06/28(水)レポート

午後から行動適応学。行動特性と病気リスクの関係の研究例の紹介。かなり大規模な「疫学」的な調査である。卒論や修論では規模の点で実施するのは難しい研究例だ。これらの基本問題をさぐる基礎的な取り組みは可能だろう。大学院もそろそろ終盤である。この講義は例年レポートで評価している。短いレポートを課して長さの制限をもうけている。このことを知らせると学生諸君はほっとするようだが、短いレポートという条件をつけられると、良い評価を得るのは実は難しいと思うのである。

つづいて某委員会。資源は一定でしかも小さい。これをこまぎれに分散するのははたして有効なことなのかと思う。

午前中は自宅近所の歯科医院へ。先生の腕が手際よくて信頼できるし、歯科技師は美人である。治療場所は右上奥でシンクロしているが、某先生のように笑気ガス・トリップも「?!?!」もなし。


2000/06/27(火)懸案

午前中大学院の研究法はSPSSの「マニュアル本」を利用して因子分析のオプション類の説明。ほとんどのオプションのスクリーンショットが掲載されているので便利である。自分でつくればよいのだが、このようなマニュアル本の存在意義については以前は疑問におもっていたのだが、説明につかう資料としては意外に便利であることがわかった。でもどうせなら徹底的にすべてのオプションを網羅してあるとよいなあと思う。

午後から学部の研究法。いわゆる「対応のあるデータの平均値の比較」の話。プリント(ごく簡単な数式や図がはいる関係で手書きした配布資料と、それらをOHPにしたものを準備して説明した。配付資料にはところどころ空白部分がいれてあり、そこへキイワードを書き込むようにすこし工夫したもの。OHPでの説明を聞きながら、空白部分のノートをとる。不完全ではあるがプログラム学習形式を取り入れる。しかし、学生諸君の表情はいまいちなっとくできない、という感じであった。パソコンを利用して、講義(説明)と自習・復習用のプログラム学習形式をミックスさせたコースパケットをいいかげんそろそろ開発すべきと自戒。

つづいて大学院の特別研究。調査項目の検討など。

午後からパソコン2台納入された。DellのLシリーズというミニタワー型の「バリュー」パソコン。本体のみで基本的な価格はなんと7万円ほど。HDDの容量アップとLANを追加したが、それでも10万円ほど。新旧とりまぜて小実験室のパソコンは7セットになったので、秋セメスターの実験実習はかなり効率よく実施できそうだ。


2000/06/26(月)銀塩写真の生きる道?

便利だとは思っていたが、いかんせん高すぎる(時間がもかかりすぎる)PhotoCDにかわって、コダックとフジカラーがあたらしいサービスを始めるようだ。PhotoCDは数種類の解像度のファイルを書き込んでいたが、新しいサービスでは、銀塩写真のネガをスキャンしてインデックスと1500*1000ピクセル程度のjpegファイル一種類として、CD-Rに書き込むサービスである(フイルム一本で700円、中一日程度)。これならたまっているフィルムをディジタル化することができそうである。

もちろんフィルムスキャナーで自分でもできるが、時間と手間を考えるとむしろ安価ではないかと思う。ただし、いまのところ「同時プリント」と「同時に」申し込んでくださいなどと、利用意欲を失わせる制限があるようだ。プリントは不要なのでCDを申し込みたいのである。まあいろいろなニーズがあるものとは思うが、センスがちょっと?だなあ。現像済みのネガを受け付けてくれるようになれば、私などでも100本くらいの需要はあるのだが。独立系のラボに期待すべきか。

http://www.zdnet.co.jp/macwire/0006/24/c_yakata.html

http://www.kodak.co.jp/picturecd/index.shtml

http://www.fujicolorservice.co.jp/fdi/cdr/cdr.html

午後からの実験実習は前期最後のグループになった。はやいもので来週で一サイクル完了だ。TAに指摘されたのだが、学期の終わりの方のグループになるほど、それまでの経験から資料が追加されたり、説明の仕方も変化している。同じテーマでの実習なので、できれば各グループで同じようにするのがよいことはわかっているのだが。今週のグループはだいぶ実験レポートを書くことにも慣れてきたのか、必要な事項についていろいろ質問が出たのは良いことであった。


2000/06/25(日)選挙制度

投票率に左右されない選挙方式を考えられないものだろうか。オーストラリアの制度は罰則(主に罰金、もちろん正当な理由があるばあいは除かれる)を伴う「義務投票制」という点に特徴があるが、それ以外にもオーストラリアの制度では、候補者に順位をつけてその順位が選挙結果に反映されるという。候補者単独で第一位の票を過半数獲得したばあいにはその候補者が当選する。過半数に達しないばあいには下位候補の獲得票を順位が反映されるように上位候補者に分配していく、というような方式のようだ。各投票者の一票は「民意」に比例した得票になるように工夫されたものだろう。

このような方式を改良して「選出したい人」と「選出したくない人」(一種の落選運動)の意志を表明できるような換算方式を考えるのも有意義ではないかと思う。投票行動の解釈としてよく言われる「よりましな選択」とか「批判票」の意味を明確にできるだろう。

小選挙区が狭すぎて、議員数があまりにも多すぎるようにも思う。また、現在の小選挙区制では、かならずしも多数の「民意」を反映しない候補者が当選するというような現象も生ずることになった。この問題をさけるにはともかく「過半数」を得るまで決選投票を行うか、オーストラリア方式を入れることがよいのではないだろうか(「過半数」あるいは「多数決」というのは「最後の手段」なのだが)。

小選挙区で「民意」を反映する方法を空想してみた。各代表はあらかじめ「公約」を掲げるわけだが、当選者は各候補の獲得票数の割合に応じて、落選候補者の公約も実現しなければならないものとする、というのはどうだろうか。ともかく無駄になる票をいかに少なくするか、という観点から選挙制度を考え直すことが必要であると思う。

相矛盾する公約もあるだろうが、そこはコモンセンスをもって解決あるいは妥協すればよいだろう。それこそ政治というものだろう。まあともかく「勝った・負けた」の世界ではなく「多様な」選挙区市民の代表であるということを意識できるような制度が実現されるべきだろうと思う。とくに過半数さえ獲得していない「代表」が多くなることになればこれは深刻な問題だ。

私自身は最近の選挙ではどうも「選択の余地」がなく、権利意識というよりは義務感から消極的に投票に行っているのだが、このような制度になればもう少し積極的に投票できるようになると思うのだが。


2000/6/24(土)公共サービス

教育テレビのサイエンス・アイという番組で高知県中村市(?)のバスの予約サービスの話題がとりあげられていた。公共交通としてのバスは非常に貴重なものなのだが、サービス時間や本数の問題でじり貧傾向にある。中村市では市民ニーズを分析し、バス停の位置を再検討し(利用者の多い病院等の近くに変更するなど)、利用者は電話で「予約」する。センターではパソコンで(もっとおおがかりなシステムかもしれないが)直ちにバスの運行経路を「予約」状況に「適応」させ、バス停到着予定時間を推定して利用者に知らせる。もちろん該当のバスには無線で経路と予約状況が連絡される。情報化技術によって公共交通が本来の役割を果たすことができ、住民サービスも非常に向上しているように見えた。(ただし、このようなシステムが経営的に成り立つには適正な人口規模条件が存在するようで、多すぎても、少なすぎてもいまのところはうまくいかないということだった。)

大学前を通過するバス・サービスと比べてえらいちがいだ。ここではまだ「非インテリジェント」な運行方式に頼っていて、「はやいものがち」とばかりに2社がほとんど同じ時間に通過している。

大学自体も公共サービスとちょっと似たところがあるのだが、大学でのインテリジェント化されたサービスというのはどのようなものだろうか。


2000/6/22(木)迷信行動的解決

昨日のSPSSの問題だが、どうも「データエディタ」になにか問題がありそうだ。相関行列から因子分析するばあい、あらかじめ指定された変数名を入力しなければならないようになっている(ROWTYPE_とVARNAME_。オンラインマニュアルではこのように書いてあるが、エディタ上では小文字で表示される点もこまかい点だが不親切。)。実習データではこの綴りに間違いがあって、これを、エディター上で修正しても、エディター上では変更されるように見える。しかし、この修正が(計算処理過程に)反映されない、という感じだ。それで、いったんこれらの変数定義を行ごと「消去」して、あらためて変数を定義し直すとうまくいく。

たしかに各変数のローデータを分析するのが一般的であるから、相関行列から出発するというのは「演習」などでしか利用しないとは思うのだが、ちょっとわかりにくい指定方法だなあ。

午前中の知覚心理学は視知覚関係の障害例として弱視の問題と視野の話。時間調節を誤りすこし早めに終了した。この次の話題の認知障害事例の配布資料も用意していたのだが、こちらの方は来週に。

卒論相談は3名。発表の仕方はまずいものだったが、テーマ自体は問題ない。プレゼンテーションの練習をするべき。つづいてゼミの発表だが、「説明」するには図表やなにかを用意してわかりやすくする工夫が必要であると思う。


2000/6/21(水)再現性

昨日の研究法でSPSSをつかって相関行列から因子分析を実行する手順でエラーがでていた。今日いろいろ書式を変えて調べたのだが、自宅で入力したデータではどうも再現しない(正確には一度だけ「再現」できたのだが、肝心の諸条件がはっきりしない)。

Visorのホットシンクの問題のほうはどうも再現性ありだ。Handspring社へ問い合わせのメールをだしたところ早速返事がきたのだが、古いPalmDeskTopを削除してからインストールしてみるようにとのことだが、USB経由ではやはりホットシンクできない。赤外線ポート経由では可。赤外線ポートを使うのはほとんど初めてのことなのだが、ケーブルがないというのはたしかにすっきりするものだ。

なんとなくケーブルがつながっていないと頼りない感じがしていたのだが、無線LANはさらに広い範囲で使えるようなので、やはり便利なのかもしれないなあと。


2000/6/20(火)フリーウエア

午前中大学院の研究法でSPSSの実習。学生の習熟度もさまざまなようなので今日はソフトウエアのインストールの仕方などということまでやってから、マトリックスデータから因子分析する方法の実習。入力の指定方法の間違いと、データ入力の誤りも見つかる。データ入力にはエラーはつきものだ。チェックの習慣をつけよう。ウィンドウズの基本的な使い方は各自練習しておこう。

午後から学部の研究法。こちらは平均値の比較でt検定の実習。用語の理解がまだまだというところか。まあこれは演習を重ねて慣れなければいけない、という面もある。

つづいて大学院の特別研究。調査方法では「因果」関係を明らかにすることは難しいと思う。相関的研究でも重要な点は明らかにできると思う。それよりも、「内的要因」を任意に仮定して人間の行動を「説明」していくことになんら疑問を感じていないように推察されるところが気になる。「どうなっているか」を知ることがまずは必要なのではないだろうか。

VisorはどういうわけかUSBクレードル経由でデータシンクロ(Visor-PowerBook99(OS9.0.4))ができなくなってしまった。しかたないので赤外線ポートを試してみたらこちらは問題なくシンクロできる(が、時間がややかかる)。USB関係のドライバーに問題ありか。新しいインターフェースはPCMCIAカードにしろ、USBにしろどうもいつまでたっても信頼感がいまいちだなあ。

VisorにPOBox inline版というPalm OS用の入力支援プログラムをインストールした。これはローマ字グラフティで文字を入力すると前方一致検索形式で「候補」の単語がつぎつぎ提示される。候補は日本語として意味のある言葉が「辞書」から選択されて出てくるので、VisorのようなPDAでは非常に効率よく入力できる手書き入力方式であると思う。これがフリーウエアというところがすごいのだが、いずれ有料化されるのかもしれない。作者の方はソニー関係者のようだが、他のプラットフォームでも開発がすすんでいるようだ。


2000/6/19(月)バックアップ

先週来の病み上がりのため午後から登校し、実験実習1と2。なんとかインストラクション。TA のおかげで実験とデータの整理は先週やっておいてくれたので助かった。実験はプログラムに組んであるし、TAは必ずしも必要ないと昨年までは思っていたのだが、今回ばかりはTAのバックアップシステムが非常に有効であることを実感した。実験・実習に穴を空けなくてすむし、学生もTAの方がいろいろ質問しやすいこともあると思う。

ちょっと込み入った部分の説明のために今日は資料を一枚追加した。しかし、資料を用意すると、かえって説明が省略される傾向になることに気づいた。

朝我孫子で人身事故ということで、列車またまた大幅な遅れ。常磐線のダイヤ回復には1〜2時間を要し、しかも途中の特急列車を運休にしてしまうので大変な混雑となる。昨年退職されたI先生と同じ列車に乗り合わせて、話しをしながら。多少気はまぎれる。


2000/6/17(土)Visor

朝宅配便でVisorが届く。handspring社の日本進出はまだ当分先のことと思っていたが、日本語版が16日から発売ということで。vis-a-visというweb商店に注文した。翌日の今日到着。送料がかかるが交通費と時間を考えると高くはない。しかし秋葉原の店で集団心理状態的熱気を味わうことができないのがちょっと残念ではある。

visorのSpringboard拡張モヂュールは、まだオプション類はそれほどそろっているわけではないが、いろいろおもしろいものがでそうな予感。「拡張スロット」に弱いのはやっぱり「マイコン」幻想なのだろうか。PalmプラットフォームではWorkPad c3を使って来たが、データの移行も問題なくできた。

R大学はビル君のなにに名誉を与えようとしたのだろう。


2000/6/15(木)プログラム「言語」

やや回復してきたように感ずるが、知覚心理学・卒論相談・ゼミを休講。

院生のJさんからプログラム「言語」の相談のメール。プログラムを作ろうという学生は少ないのだが、いざどれを薦めるかとなるとなかなか決定的なアドバイスができない。

どんなプログラムを作るのかにもよるのだが、ネットワーク上での調査やデモのようなプログラムではJAVA系統がよいのだろう。ただWindowsに依存しているかぎりは正確な時間制御は望めないのだからVisual Basicでもなんでもお好きなものでと、これでは相談にはなりませんなあ。

私は実験プログラム作成用にはDelphi3.1を愛用している。数年前に実習用のプログラムを新しく作り直し始めたことがきっかけなのだが、同じ分野の方が使われていて解説書などを出されていたという偶然もあった。しろうとにも使いやすいし、コンパイルは早い(と思う)し、完全な実行ファイルができるという点も良いと思う。しかし、旧ボーランド社はどうなるのだろうか、という心配が全くないわけではない。まあそのときにはオープンになってさらによいものになるのではないか、と楽観している。


2000/6/14(水)「再会」

歴史的瞬間。私のなかの半島分断の記憶は、たぶん偽記憶だと思うのだが子供の頃川の土手に寝ころんで見上げた青空の中に光る双頭のロッキードP38をよく見たような記憶である。子供の頃は日本海側の地方で育ったので、夜になるとラジオは国内の放送局よりも半島からの放送を明瞭に受信することができた。意味は全く分からなかったが。実は「すぐそこ」で緊張状態が続いていたのだが、遠くの紛争というふうにしか感じていなかったのである。


2000/6/13(火)またまた病院

ここのところ体調不良でこの日誌も○ヤ状態がつづいている。ちょっと長引くので今日は早退して(休講の連絡があらかじめできず申し訳ない)病院に寄って帰宅した。今日は先月行った病院とは別の自宅にごく近い病院で、午後だったせいかすぐに診察してくれた。熱がすこしあるということでいろいろ薬をもらう。このところ「病気」についてのホームズとラーエの理論に適合しそうな状態だなあと思う。こちらも医薬分業なのだが、病院前の薬局では本人の確認、症状の再確認をするなど再チェック体制がとられているようだ。薬の飲み方についても、薬のデジタル?写真付きのカラープリントされた説明書がつけられていた。しかし、薬の写真は二錠(二カプセル、二包)単位で掲載されていて、二つ飲むのかとちょっと思ったが、そうすると処方日数分に不足する。あらためて薬袋もみると各一つずつと書いてある。説明書が見やすいだけに、このあたりはソフトを改良すると良いのではないかと思う。

でも処方を待っている間、パソコンに不慣れな方だろうかカウンターの奥で(入力のエラーやなにかのたび)、おおげさに「さけぶ」のは信憑性を台無しにするのでやめてほしいものだと思った。


2000/6/9(金)Successful Intelligence

「知能革命(Successful Intelligence)」(R.J.Sternberg)が届いたので読み始めた。一般向けとはいえ、タイトルはもうすこし考えてほしいものだとおもう。これでは「脳○革命」みたいではないか。翻訳者は某有名教授が名を連ねているのだが。ちょうど研究室に来た学生が表紙を見て「IQだとほんの一部の能力という感じがするけど、Successful Intelligenceが低いと言われたらこっちのほうが怖いですねえ」といって帰っていった。IQに対しても「発明」されたころにはそのように怖れられたのだろう。実践的・創造的な「知能」が人生での成功をよく予測するというような内容のようだ。

朝から風雨強い。


2000/6/8(木)カッコウ

午前中の知覚心理学は新生児・乳幼児心理物理学の諸研究の紹介。内容的には「固い」話なのだが、実験風景のOHPなど写真資料がかわいい被験者なので「救われる」。

午後から卒論相談。今日は2名。つづいてゼミ。今回のテキストはいろいろ心理学的にもおもしろい話題をあつかった本なのだが、生理学的な内容がベースになっているので学生にとってはやりにくいテキストになってしまったか。しかし古くからの基本的な心理学のテーマに新しい解釈が加えられている。興味を引くタイトルからむしろ古風な研究テーマに目が向くのではないかと期待して。

今日は昼過ぎカッコウの鳴き声が聞こえた。ここ数年聞き逃していたのだが、水戸ではだいたい5月末から6月上旬に渡っていくようだ。その年はじめて鳴き声を聞いた日をメモしていたのだが、ほとんど同じ日だったりして驚いたことがある。


2000/6/7(水)教育実習校訪問

午前中教育実習校(中学)への「見回り」訪問。水戸市郊外のちょっと昔風の雰囲気の残る小規模な中学校である。校長先生と学生のOさんに面会。校長先生は私と同年輩の様だった。最近は教育実習で通常授業の進度に影響するというようなことで実習校も探しにくくなっているという話も聞いていたのだが、小規模校ということを意識しておられていろいろ学校外の交流を心がけているということで、むしろ「外部の」若い教生を歓迎してくださっている様子で安心した。新免許では実習期間が4週間になるが、2週間ではすこし慣れたころには実習が終了してしまうということでむしろ良いことではないかと言われ、新免許にも理解を示されていた。あとは最近の中学生の様子とかいろいろお話をうかがった。バスの便が少ないところだったのでタクシーで。今日は中学訪問ということで運転手さんのおまごさんの話や、子供のころと今の学校教育の違いについて行き帰りまたいろいろ話す。

大学にもどり午後から行動適応学。このあと、一つ委員会があったのだが、疲れてしまい欠席させてもらった。


2000/6/6(火)複数指導教員制

午前中の大学院の方法論はテキスト例題の行列の固有値と固有ベクトルの式の展開で、一応「理論」の説明は終了。次回からはSPSSで例題を演習。

心理学研究法は「平均値の差の検定」の2回目。「母集団についての仮定」、「平均値の差の標本分布」、「標準化」の多段階の説明がやっかい。もっとすっきり説明する方法はないのかと毎年思うのだが、結局順を追って説明するしかないだろう。ことしはコンピュータ実習を増やして、なんとか計算結果と「理論」の対応がつくように理解できるようになればよいと思う。

つづいて大学院の特別研究。大学院では複数の指導教員制がとられているのは良いのだが、学生は別々に相談しているようなので、どうも流れがよくつかめない。学生にとっては必要なコメントを獲得するためには、短時間で自分のテーマの進行具合を説明しなければならない。そのようなトレーニングの機会になっていれば良いのだが。


2000/6/5(月)初歩

午後から実験実習。今週はデータ処理とインストラクション。2年生の方は前回グループと若干データの傾向が異なるが、付加した実験条件は効いていると思われる。レポートの取り組みにはかなり個人差があるように感ずる。続いて3年生の方は手続きは単純なのだが、刺激の構成がやや複雑なので今週からハンドアウトを用意した。かなり説明しやすくなったが、前回までのグループにもこの資料を用意しておけばよかったと反省。これまで提出分の3年生のレポートは「個人差」拡大傾向顕著。

空き時間に明日の心理学研究法の準備。予備知識を考慮すると、進度の調節が難しい。最近でた統計の本(佐伯氏・松原氏の「実践としての統計学」)をぱらぱら見たのだが、なかなかこの本のように「心理統計」を「評論」できるようなところまでもっていけない。


2000/6/4(日)洞察

昨日、学生時代にいろいろご指導をいただいたM先生に久しぶりでお会いすることができた。帰り道久しぶりに近況などお話した。学生時代とは話題が少し異なってそれぞれの大学の様子とかいろいろ。M先生が新しく移られた大学で担当されている授業で、学生に与える課題として、私がもうずいぶん前に書いた論文が使われているという話をされた。あまり元気のない様子にすこしは励ましてやろうとお考えになったのか、思いがけなく、すこしうれしくなった。M先生は実に人の様子に敏感な方で、学生時代にも節目節目で思いがけなく、的確で含蓄ある言葉をかけていただいたことを思い出していた。私は学生の様子などちょっと変だなあと思うことがあっても、その理由を推測できず(あるいはまったく見当違いだろうと思い)、このような言葉をかけることができないでいる。


2000/6/3(土)

この大学の発足当初から移籍されて新しい大学作りに尽力されたS教授がお亡くなりになった。きょうはお通夜であった。私も学生の頃先生の講義を一つだけだが、履修したことがある。


2000/6/2(金)The insider

ひさしぶりに映画を見に行った。アルパチーノ出演のインサイダー。実話をもとにしたものらしい。3時間ちかいものだが、中だるみ感などまったくない。企業の内部告発を巡るテレビ報道の危うさ。類似の「事件」はかなりの数あるのだろうなあと思ってしまった。映画の中では「個人の責任」にうったえることでいくつかの危機が回避されるシーンがあって、これが、「救い」を与えてくれたのだが。

自由の国アメリカは自由を封じる術にもたけているおそろしい国でもあるなあと思う。その一方で個人の尊厳と自由のために戦う勇敢な人々もいる。


2000/6/1(木)入試問題・遠隔授業

午前中知覚心理学。きょうはソニックガイドと知覚の発達についての研究の話をした。発表されてからだいぶ時間も経過しているが、あいかわらず知覚心理学の分野に限らず非常に大きなトピックだと思う。

午後から卒論相談3名。そろそろイエローカードの二人の準備は進展しているのだろうか。

つづいてゼミ。今日の当番はテキストの中の肝心のジョークがうまく説明できず(この部分の翻訳が良くないのかもしれないが)、話がいまいち見えない発表だった。再度来週。

昼休みに談話室で雑談。予備校の大学入試問題作成論議のニュースが話題になる。たしかに、高校側から見た場合には、高校の授業内容をよく把握した上で作られる入試問題が歓迎されるだろうし、アウトソーシングとしては合理的なのかもしれない。また、私立大学に勤務する者にとっては入試問題の作成を予備校に依頼するというセンスはとうてい理解することはできなかったのであるが、センター入試に参加すると、それに伴う事務作業が結構大きな負担となり、これを負担しきれないというような事情があるのではないか、と話す人もあった。

しかし、私立大学は「校風」に合う(あるいは校風を育むような)入試制度を考案していかなければならないのではないかと思う。

大学関係のニュースではもう一つ遠隔教育について、いわゆるスクーリングを必要としない「オンライン大学」を認める方向に動きそうだ(東京新聞6/1)。「教員が学生の求めに応じて指導を行う体制」が必要条件とされるそうだが、現在の大規模な大学と比較するとむしろオンラインの方がきめ細かな「指導」ができる可能性さえあるなあ、と思う。ただし、かなりの人的資源が必要となると思う。


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