大学往来 

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99/05/09(日)対話・単位・Web110番

ここ数日、ちはるセンセイの日記は対話形式ですすめておられる。今日の「休日日記」http://member.nifty.ne.jp/printempo/ は、対話形式で論点が整理されていて非常にわかりやすかった。人の話を聞いて得た知識というのは、本などで勉強したものとはちょっとちがって、価値というか感情が込められていて、これが情報の取捨選択に非常に有効に機能しているという印象だ。(もちろんそれだけに誤って信じてしまうこともあるわけだが。)人との会話で得た知識や情報というのは印象に残る。うまく構成(演出)された対話形式の文書は実際の対話と同じ様な効果があるのかもしれない。講義という形態では、たぶん知識そのものはほとんど忘れられてしまい、価値的な感情が残されるような気もする。記憶の研究でなにかありそうだな。たぶんなにかを考えたり、文章を書いたりする場合には自分のなかで「対話」をしている。この過程を「演出して」あきらかにしたものと言えるのではないだろうか。

授業でも込み入った内容の時や、最後の「まとめ」につかうといいかもしれない。腹話術のマスコットのようなキャラクターを登場させて、キイポイントの質問をさせ、それに架空の超教授が答える。落語でいうとクマさん・はっつあんと大家の会話が相当するだろうか。講義という雰囲気ではなくなるかもしれないが。

最後の坂本先生のお話で「講義は1/3」というのは、たぶん「授業は自主的勉学のためにきっかけ」になるべし、ということを言われたかったものと推測できます。しかし、この話は、「1時間の学修を(回数未確認ですがたしか)30-45回行って」1単位という現行の「単位」の基準(大学設置基準)で、1時間の講義にたいし、予習と復習それぞれ1時間の学習を15回(半期)行って、これで3時間×15回で1単位と計算するという「習慣?」のことを(まったく記憶があいまいですが)「引用」されているようにも受け取れますね、とメーリングリストモードで。

また、「実習」・「実験」・「実技」については単位の基準が異なるために、時間割上は同じ時間の授業でも、「講義」・「演習」の単位数と「実習」・「実験」の単位数が異なっていることがその理由、という話を聞いたことがあります。この話に関連してよく話題になるのは、この規則をまっとうしたら一日3教科履修すると学生は3時間講義を受けて、6時間各自勉強で、あわせて9時間勉強が必要だということ。もしも授業を受けるだけとすると、この計算では卒業単位124単位の1/3しか満たしていないということになってしまいますなあ。

昨日報道されたWeb110番のURLは、http://www.web110.com/。非常に充実。「手口」や「防衛法」「被害にあった場合の対処法」などくわしい。「手口」はメーリングリスト加入者(無料)のみに配信。有料の対策サービスもあるようだ。見過ごしていたが日経ネットナビ99年5月号が「ネット護身術」の特集をやっていてそこでも取り上げられていた。ひととおり目を通して、ショッピングばかりでなくメール、有料サイト(特にアダルト系サイトは要注意)のリスクや危険性を知っておいた方がよいだろう。

本やで、

を買う。先の2冊は尊敬すべき両氏の教育問題についての発言を読みたくて購入。森嶋氏の本は3月に初版ですでに4刷。水上氏の本は新聞書評で見て。「病は友、電脳は杖」という言葉が帯に書かれている。


99/05/08(土)Web110番

今日のザ・スクープ(テレビ朝日、夜)をみていたら、国際的クレジットカード詐欺事件のかなりまとまったニュースがあった。昨年夏頃から世界各地でN-BILL、WEB-TELなどの会社名で19(米)ドル95セントの請求がだいたい3ヶ月おきにくるという被害が発生し始めていた。インターネットを利用していた被害者は「WEB110番」というボランティアのホームページに被害報告と相談をした(Webサイトは未確認なのでどんなページか確認していない。以前パソコン誌で話題になった赤いベレー帽のグループではないと思う)。

このホームページを主催する「名犬ヨッシー」さん、「夜警」さん(ヨッシーさんは実名で登場、夜警さんは人物特定しにくい形で登場。お互いに面識はないそうだ。それぞれフツーの会社員とのことだ。)ほかインターネット探偵団が活動開始。米国でも同じ被害を受けた人たちのホームページと連携し、インターネット詐欺師を追跡する。インターネット探偵団は各地のWEBサイトと協力し、追跡の結果KTという人物が浮かび上がってきた。

会社の住所は「私書箱」であったり、架空のオフィスであったりする。ちなみにKTの最初の会社名はNET FRAUD(ネット詐欺社)というふざけたものだった。事実を把握して動き出した米国FTC(連邦取引委員会)は99年1月KTを民事告発し、その後裁判所の指示にしたがわなかったということから5月始めに逮捕されたとのことだ。告発された被害総額は4300万ドル(やく50億円)にのぼる。番組のなかでは19ドル95セントを3回請求されるとして世界で71万人が被害を受けたのではないかと推測していた。

カード会社の対応でこれはコワイと思ったのは、

これだと「泣き寝入り」になってしまう可能性もけっこうありそうだ。特に今回のような19ドル95セントというような比較的低額の請求だと気が付かないこともありそうだ。米国の本などによくある価格付けでもあり、見逃すこともありそうだ。

カード番号の不正使用は次のような手口とのことだ。

今回の事件ではこれらすべてが利用されていた。インターネットをつかったことのない人も被害を受けている。この事件はインターネット詐欺を含んでいるいるが、「基本的にはクレジットカード詐欺事件である。番号発生プログラム」による不正使用や「カード情報の不正利用」は個人で防ぐことはできず、カードの決済方法そのものの「欠陥」なのでそのセキニンが問われるべきだろう。

最後にインターネット被害の弁護をしている紀藤正樹弁護士(オーム事件でよくテレビ出演していた人)は自衛ないし、対策として、

番組のなかで、会社のクレジットカードの使用者がN-BILL被害を受け、「つかいこみ」であやうく首になりそうになったが、Webページで事件の情報を提示して難を逃れた、という例も紹介されていた。このWebページは米国ミネアポリスのジョン・ファルナン?という被害者が真相究明のために開いたホームページを見たオーストラリア人が助かった。

この経過をみていて、インターネットや便利なシステムはもろい面もあるが、不正の告発にはインターネットそのものが重要な役割を果たしてもいる。結局「不正」に対抗するには、インターネットにより多くの人が関わることが重要だと感じた。

夕刊で中国大使館爆撃のニュース。なんの根拠もないのだが「誤爆」をよそおったものという感じがした。


99/05/07(金)「エネミー・オブ・アメリカ」・学校教育法第一条・情報公開法

午前中は昨夜からの作業の続きで、来週からの講義予定リストの修正、加筆。春セメスターは来週あたりから授業進展状況をWeb公開できそうだ。

夕方映画をみにいく。「エネミー・オブ・アメリカ」(enemy of the state)。テロや犯罪対策としての「盗聴法案」をめぐるアクション映画。ネットワークやハイテクを駆使する個人監視システムの怖さを描いた映画。偶然、盗聴法案推進グループの暗殺事件を録画したディスクを託され、追われることになる黒人弁護士と地下に潜伏している「情報屋」(もと情報関係の軍人、ジーンハックマン)が結局個人監視システムを逆に利用して「敵を」やっつけるという展開。最後のテロップが「国家には個人を監視する権利はない」。結局この情報局は灰色のまま存続することに。

ここに描かれているコンピュータ技術者はいずれも「薄汚く」、社会的に無責任な存在として描かれている。犯罪に手を貸したことについても「訓練かと思った」と述べさせている。これがナードなハイテク技術者に対する一般的な見方なのだろうと思わせる。以前みたコンピュータ・ナードのテロを描いた映画でも、「犯人」はMicroSoft社の会長そっくりにメイクされていた。一方、元軍人の情報屋は実戦を戦ってきた経歴から(超ハイテク技術者でもあるのだが)尊敬される元軍人として描かれている。これも一般的な価値観を表しているのだろう。

ストーリーの展開はマフィアとの戦いと秘密の情報局との戦いが錯綜しおもしろく娯楽映画としては十分合格。しかし、もっと本格的なサスペンス映画になる題材と思う。

きょうの東京新聞(夕刊、1面C版)コラム放射線には、池内了氏(名古屋大学・教授)の学校教育法第一条で規定されない「各種」学校卒業生の国立大学受験資格を認める運動を始められるとの言葉。「(国立大学では一校も受験資格を認めていない)この事実を知りつつ放置してきたことをひどく恥ずかしく思い、ようやく運動を始める決心をしました。「民族や人種によらず、時代を担う若者の学習への希望をかなえること」が、大学教員の原点であることにやっと目覚めたというわけです。」(公立大学の57%、私立大学の51%はすでに受験資格を認めている)

同紙・同面では、情報公開法午後に成立という記事。またずいぶんもったいぶったしくみをつくったものだ。「知る権利」はどこか別条項できちんと規定されているのだろうか。行政情報を「知る権利」は当然だが、それ以前に「開示すべき義務」が当然あると思うのだが。


99/05/06(木)授業再開

午前中知覚心理学の講義。しばらく「開眼手術後の視覚の形成過程」をストーリーにして、訓練段階にしたがって、関連する知覚心理学の話題を取り上げるという方式で話しを進めている。個別の話題ではどうしても全体的な見通しが得られにくいと感じているからである。「初めてみる世界」から「視覚の形成」というストーリーは普遍性のあるものだと思う。視覚のみでなく聴覚のばあいにも同じストーリーがあてはまる。

今日は色彩の弁別の経過の話。現在では異論もあるとのことだが、バーリンとケイの色彩語についての文化人類学的な研究と色彩弁別の形成過程の類似性は面白いと思う。関連して色覚型(色覚異常)と色覚理論について簡単な解説。色覚異常については社会的な問題もとりあげて話している。用語の無理解(たとえば「色盲」)が不要で無用な「制限」(入学制限、就業上の制限)をもたらしてきたこと。あるグループによる「運動」で制限が緩やかになってきていることなど。色覚理論はちょっと駆け足になったので来週もう一度補足する。

昼休み教員談話室で日経新聞をぱらぱら。教育関係の記事が意外に多い。教育改革や大学の問題について連載も最近始まったようだ。

英語の非常勤講師のPセンセイ、外国人講師Aセンセイと話す。Pセンセイはパソコンのトラブルで困っているということで、詳しいJセンセイを紹介。Aセンセイとは顔見知りになってカタコトで挨拶などしていた。今日はたぶん連休中はどうしていた、というような(英語に自信がないので推測するに)「会話」をした。Aセンセイにはいつも日本語で挨拶しているのだが、英語に堪能なセンセイ方が多いせいもあり、私も英語がわかると思われたようだ。最近は日本語で挨拶してくださるようになった。

午後から水戸市近郊の静峰公園へゼミの学生と出かけた。水戸駅から水郡線に乗り換えて25分ほどで瓜連(うりづら)という駅につく。そこからタクシーで10分もかからない距離にある公園である。八重桜の名所なのだが、残念ながら一昨日の嵐でほとんど桜は残っていなかった。しかし、さわやかな天気、新緑、ツツジの花の中で、草の上に「レジャーシート」を広げ、お弁当の海苔巻きなど食べる。だんごと柏餅もあったなあ。あるセンセイからいただいた奥久慈の地酒も少しだけ。まだ連休モードから脱していない。ここで聞いた話だが4年生のF君はいろいろな「秘密の日記」をつけているのだそうだ。単語カードのような「後悔帳」、「ふと日記(「ふと帳」といっていたかもしれない)」(ふとおもいついたことを書いておく、ほかにも何種類かあるらしい)を持ち歩いているのだが、絶対見せてくれないのだそうだ。見せてくれないと見たくなる。これがフツーの日記のもつ魅力なのだろう。しかし、公開することを前提にしたWeb日記や日記文学があることを考えると狭義の日記と呼ぶべきか。


99/05/03(月)私事都合

連休中はいろいろ家事をやっている。ベランダのプランターの手入れ。なんともチマチマしたものなのだが、これが冬になにもしていなかったものだから、土をふるったり培養土をまぜたりとけっこうたいへんだった。集合住宅では古い土の処分にも困る。ことしはバジルの種をまくつもり。明日は嵐になりそうとの予報なので明後日にするか。あと、スカイパーフェクトのアンテナケーブルと、ISDNルーターからの配線をほったらかしにしていたので、プラスチックの配線用のカバーをつけて目だたたないように配線した。ここ数日ホームセンターに買い物にでかける。普段の休日よりも混んでいる。「ガーデニング」関係の用品と売場が広くなったような気がする。こんなことでもやはりいつもとはちがった筋肉をつかっているようで、今日は体が痛い。

渋谷のオフはいい機会で向後センセイにご挨拶したかったのだが。渋谷ではコーヒーショップ・トップ(渋谷駅前店)がなつかしいが、ちょっとオフ向きではないか。オフといえば、もうだいぶ前のことだが、日経MIXというパソコン通信の頃にMac関係のオフに友人にさそわれて何度か参加したことがある。Mac関係のPDSの開発者の方とか、ライターの人とか、そうそうたるメンバーだった。


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