大学往来 

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99/5/29(日)修士課程

昨年度修士課程を修了してI県立の看護短大に赴任されたGさんから「赴任の挨拶」のメールがあった。Gさんのメールの内容とは関係ないが、大学院のことについてすこし書いてみよう。

本学の大学院は社会人入学の方が半数以上で、発足当時は私と同年輩の方もおられた。最近ではさすがに私の年を上回る学生はいない。発足して数年後に社会人入学枠が設けられた。社会人学生は看護系の方が多く、修了後看護系の大学や短大で教鞭をとられている方も多い。それが一つの契機になり、私の講義の一つは「健康心理学」に関わる話題を多く取り上げ、結果として多少「芸域」を広げることができたように思う。

「研究法」の内容は主に心理統計と因子分析である。こちらの大学院は人間科学という「広領域」なので、学生の出身学部もさまざまだ。それでこの科目は本当に基礎からやっている。学生の専攻はさまざまだが、各領域で研究手法として多変量解析手法が多用されているようだ。学生は「必要性」を認識しているので、学部とは違って、多少込み入った講義も可能だ。しかし、「実用」も考慮して電算実習をかなり取り入れて「かたち」から入っている。私はときどきリーダーを引き受ける程度で、直接修論の指導を担当していないので「気楽」な立場なのだが、ときどき締め切り間際になって統計手法や分析方法を聞きにくる学生がある。その時点ではどうしようもないこともあり、ちょっと困ることもある。

先日、大学院の指導でセクハラが認定された判決がでたばかりだ。こちらの大学ではメンター(指導教授)制をとっていて、必要なばあいリーダー(研究指導)を設けるようになっているので、これまでの大学院に較べるとオープンになっている。それでもやはり「指導教授」には研究上の方針やその他のことで「腹ふくるる思い」をしている様子を窺うこともある。他方、大学院では(学部でもあてはまるかもしれない)時として、第三者から見ると「アカハラ」に近い関係を教員・学生双方がそれが熱心な「指導」であると思いこんでいるような例があることもあり、やっかいだ。


99/5/28(土)「キャンパスはもうインターネット・第9回法政大学編」(日経ネットナビ99年7月号)

今月号は1880年創立の法政大学(http://www.hosei.ac.jp)。大学の基本理念は「自由と自主」の精神、「自由と進歩」ある学風をめざす。

文系総合大学から情報系・国際系総合大学へと転身をはかるマンモス大学である。情報ネットワークへのとりくみは熱心な印象で、大規模校としては恵まれたパソコン環境といえる。ただし、在来学部では情報教育が必修化されていないようだ。学部間の情報「格差」が今後問題になりそうだ。

大学の提供する情報サービスがどの程度かは不明(記事では教育学術研究データベースの記載のみ、図書館情報、教務情報などについてはふれられていない)。しかし大学自体は情報化を一つの方向とみているようなので、「インテリジェントタワー」完成後は一挙に” wired university”になるのかもしれない。

老舗の総合大学は学生数が多いので、パソコンやインターネットのリテラシー教育はなかなかたいへんだろう。ノートパソコンを貸し出して利用できるようにしている「パソコン・カフェテリア」はなかなかいいアイデアだと思う。どの程度の設備・規模で対応しているのだろうか。利用状況、学生の声、問題点などぜひ知りたいものだ。

今後の大学では現代的な「読み書きそろばん」として情報リテラシーが重要になっていくものと思われる。各大学では、情報リテラシーのカリキュラムどのように実施しているのだろうか。


99/05/28(金)通信傍受法案

組織犯罪対策関連法案が委員会可決された。「対象犯罪」に公務員の組織的犯罪(憲法違反・法律違反)を加えるべきだと思った。また、事件に関係ない盗聴情報の漏洩や濫用に対する厳しい刑事責任が必要だ。恒常的な盗聴行為も合法化される様になるのだろうか。犯罪を行おうというような組織は別の通信方法をつかうようになるだけ?電子メールは「ロボット」が監視するようになって暗号などで通信するとそれだけで疑われるようになるかもしれない。


99/05/27(木)カリキュラム

午前中知覚心理学。きょうは北大伊福部センセイの「盲人歩行」の研究をとりあげた。工学がご専門だが、この論文は心理学的な研究でもある。授業のあと別の科目だが、学生2名が実験実習のレポートについて質問に来た。一人は「再提出」にした学生で、もう一人はA-の学生。レポートでタイセツなのは方法と結果だと話す。「考察」はなにを書けばよいのかわからないということなので、「対話方式」のノウハウを話しておいた。しらない人に実習した実験のハナシをするつもりで「対話」してみると良いと思う。「なんでこんな実験するの?」、「どんな意味があるの?」。「どうやってやったの?」。書くべき項目が自ずと明らかになると思う。各レポートはテーマはちがうけど、同じ要領でいける。

来年度より一部カリキュラムの改正の作業が行われている。昼休みにカリキュラム改訂の担当教員と同席したので感想をのべた。まだまだ「教える側の論理」(悪く言えば教員の「趣味」)で科目がならんでいますなあ。もうセンセイ方も頭をきりかえて並べかえアソビはいい加減にやめたらどうかなどと嫌みをいったのだが、通じただろうか。「ディベート」も科目として設置されるようなので、愚一記さんの日記で知ったディベートのサイトを紹介しておいた。http://www.asia-net.co.jp/squad/aboutdebate/

午後から卒論とゼミ。卒論は3名出席だが、テーマは煮詰まっているが最初のきっかけをつかめないでいる感じだ。ゼミは心理測定法のテキストできょうは知能の測定について。

午前の講義中はすごい嵐だった。夕刻は風もやみ美しい夕焼け。


99/05/26(水)「ベンキョウの動機」

昼休み午後からのK会議の打ち合わせ。K会議で予定外の書類が配布されてあわてて回収。会議後すぐに議事録をつくってフロッピーを事務方へ。今日はちょっと睡眠不足で疲れたが、夕刻から両学部合同の懇親会に出席した。参加者がちょっと少なかったが、新任の方の歓迎会、非常勤の方の慰労をかねている。新任の方の半数は若手の教員で、私がこちらに赴任してきた頃の年代だ。設立時とはかなり人も変わった。時間の流れも感ずる。

「クローズアップ現代」は何人かのセンセイが見ておられて、ひとしきりその話題になる。私は「学力低下」というよりはむしろ「高進学率」と、その変化に対応していない高等教育体系に問題があるではないかと思う。朝日の夕刊一面は「予備校系調査」として「大学新入生の学力低下深刻」という記事。「予備校系」というところが面白い。大学の「補習ビジネス」にエイギョーをかけるつもりなのだろうか。

しかし、「競争のためにベンキョウする」という「動機」がなくなるのはむしろ良いことではないだろうかとも思う。この先の段階で、競争の道具でないガクモンが現れそうな気もするが、妄想にすぎないか。競争がないからベンキョウしない、ということではなんとももったいない。

このところ、教育関係の類似記事が急に出始めた印象がある。なにか背後に動きがあるのだろうか。大学のビッグバン近しか。

帰りの車中で国際部のLセンセイと一緒になった。電算教育担当の方なので、ノートパソコン授業のコトや、情報教育のことを話しながら帰る。


99/05/25(火)「学力」・「推薦入試枠」

午後から研究法(学部)、つづいて大学院の研究法。学部は「心理検査」の構成、信頼性と妥当性、「診断」のリスクと社会的コストの話をする。「心理テスト」や心理検査の原理を理解して、「おあそび」としての「心理判定」との違いを認識してほしいものと思う。大学院のほうは相関係数のベクトル表現の話。あまり得意でない話をするのは疲れる。つづいて行動適応学。今日は受講生3名の研究テーマを聞く。

顔見知りになったTA(?)のBさん(英国人)が廊下で学生となにかコミュニケーションをとっておられた。ほとんどノンバーバルコミュニケーションの様だったが、コミュニケーションをとろうとする態度にはちょっと心うたれるものがあった。

昨日の「サイバー研修会」の「教材」は「NHKのクローズアップ現代」で大学生の学力低下問題を扱ったものだ。いつの時代でも「学力低下」は言われて来ているように感じているが、この番組を見るとかなり深刻だ。「一流」と目されるような大学でも半数程度の教員が「学力低下」を感じているという調査が報告されていた。とくに理系の大学では「つみあげ」科目が多いので、いろいろな対策がとられ始めている。文系学部の例は取り上げられていなかったが、「語学」科目では同様の問題があるものと思われる。文系学部ではこの方面の対策がおくれているのではないか、と思う。いま某大学では新学部の準備をしているが、科目の構成(カリキュラム)のみでなく講義や授業の具体的な展開方法を検討しておくべきではないかと思う。これは新学部のみの問題ではない。ともかく単なる「学力低下」であればベンキョウすれば良いハナシなので、それほど心配はないのだが、、。

夕刻、帰宅時、電車が30分ばかり遅れていた。電車への投石で窓ガラスが割れる事件のための遅れとの構内アナウンスだった。夜聞いたラジオのニュースでは東海とさわ付近で鉄製のボルトが投げつけられて乗客二人が軽いけがをおったとのことだった。

また、文部省関係のニュースで(主に私立大学の)入学試験での「推薦入試による合格者の(定員に対する)割合」に制限が設けられていた(行政指導)。それが、現行(定員の)30%から50%へ拡大され、短期大学では従来50%という制限が廃止されたとのことだ。一方、すでに「定員確保」のために推薦入試による合格者が50%を超えている大学もあり、それらの大学にはデータの公表を求めるとのことだ。現状を追認した「あとおい」行政。「大学制度」は意外と早く変わるのかもしれない。


99/05/24(月)社会的促進

午前中実験実習1の前回グループのデータを再検討。刺激の組み合わせに問題があるのかもしれない。今回のグループは同じ条件で行い、結果をみて修正するかどうか検討することに。実験実習1はマッカロー効果の実験で「順応」時間が比較的ながく、実験中単調になる。実験中学生の様子を見ていて、最初の実験課題としてはちょっと厳しいものかもしれないと思う。この単調な時間をなんとか「明るく」のりきろうと、おかしな話を提供して努力してくれた学生があった。

実験実習2はカテゴリー弁別の実験。こちらは前回グループ同様各自のペースで進行するのと、試行毎に判断を求められ、フィードバックが直後に行われるために「単調さ」はさけることができる課題だ。実験は時間内に予定通り終了した。実験後ごく簡単な説明をして、データの処理方法などは来週に。

昼食時B教授がにこにこしながら話しかけてこられた。「うちもさっそく食器洗い機を注文した」とのこと。B教授のおたくでは、皿洗いがキョージュの担当とのことだ。小型のものを注文されたらしい。性能的には問題ないと思うが、もしかして「おちがわるいぞ」ということになったらどうしようと思ったので、「食器洗い機に入れる前に、ざっと洗った方がよいですよ」。「なんだ手間は同じか」と言っておられたが、「予洗」はごくカンタンでいいので「断然ラクチンですよ」と答えたおいたのだが。Z印の食洗機の性能やいかに。ちなみに我が家のはS電気の「後付可能なビルトイン・タイプ」の食洗機。

朝、大学でメールをみたところ、「サイバー研修会」の案内。夜9時半からのテレビ番組の情報。


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