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99/08/15(日)日曜カメラマン・不正入学・気象の用語

東京に出向いた帰りの電車の中で、かわいい犬をつれたご婦人の隣の席になった。途中で一眼レフ(EOS-5にCanonのLシリーズのズームレンズ)で「武装」した若い日曜?カメラマンが近づいてきて、無言でモータードライブを回す。どうも犬を撮影している様子だ。お若いの、もし趣味で写真を撮っているのなら町中で不作法に撮らず、フィールドを決めてそこに通うのがよいのではないか。無言でバシャバシャ写真をとって、会釈もせずではカメラマンとしての基本を身につけていないのではないかと思うし、できあがった写真もそのようなモノになるだろう。基本的には町中で見知らぬ人を撮るのはマナーに反するのではないかと思う。「写真をとらせてください」との一言があれば、もっと楽しい写真がとれるだろうに。

最近ライカを肩にした中年紳士(かなり若い人も多いが)と、古い金属性の一眼レフカメラをもった若い女性をよく見かける。私も写真を趣味にしているので、ライカや古い機械にはそれなりの魅力を感ずるのであるが、全自動のカメラが実際には便利だなあと思い、いまいち「流行」にはまれないでいる(ライツ・ミノルタの現代版がでれば買うかもしれない)。

今日の大学関係の新聞記事は不正入学事件(朝日)。T法科大学では職員が成績表を改竄して卒業させていた事件が以前にあったようだが、今度は不正入学が明るみになった模様だ。野球部希望者を対象に職員が入試得点の改竄を行ったらしい。学長は事実は確認できないというコメントを出している。教員は事態を把握していなかったのだろうか。

「弱い熱帯低気圧」という言い方はちょっと誤解を招くものではないかと思う。気象用語には定義があるのだろうが「弱い小型の台風」とか「台風並の熱帯低気圧」と表現すれば、われわれもそれなりに対応するのではないかと思った。香港では熱帯低気圧が発生するとテレビなどではその発達段階に応じた警戒値が数値で表示されている。

明日は大学のサーバは一日停止する。Y2K問題の対策のためだそうだ。


99/08/14(土)「研究テーマをどのようにしてみつけるのか」

ちょっと季節はずれかもしれないのだが、もしかしたら卒論の研究テーマに困っている4年生もいるかもしれない。今年は後期から3年生も卒論研究を始める予定にしているので、3年生諸君にも参考になるかもしれない。

私が言っても説得力に欠けると思うので、先日よんだ「続・大学教授」の桜井センセイのコトバをお借りしよう(桜井邦朋著 続大学教授 地人書館1992)。なにかと「権威」に頼るのはチェンチェイの悪癖。ある講義で学生から表題のような質問があって、その答えとしてご自身の経験から、

「そうした方法があるのなら私の方が知りたいくらいだ」「「論文の書き方」、、などを見ても研究論文は生まれはしない」

との前置きで、

「他人の研究論文や著書、総合論文などを読んでいたときにでてきたいろいろな疑問をひとつずつ、自分にわかるまで、あるいは、納得いくまで突きつめてみることが、結局は、自分の研究テーマを見つけることにつながる、、、自分の心に生じた疑問や勉強してわからなかったことを解きほぐして理解することが、研究の第一歩なのである。」

「、、、自分の心に生じた疑問といっても、これらのほとんどはすでに解答が与えられているのだから、それがわかったからといって研究論文になるわけではない。いってみれば、先人のしたことの追体験に終わることが大抵の場合なのである。このような経験のくり返しから、ときに研究に値するテーマが見つかり、それを追求することで研究論文にまでいきつくのである。」

論文の質については、

「私のアメリカの友人たちも、自分たちの書く研究論文がすべて質の高いものであるとは考えていない。」「彼らもときには質のよい論文も作る」

数多く論文を書くのは「生き残り」のために仕方がないことだという。

この本は「研究者」を主な読者としているので、卒論には当てはまらないかもしれないが、すべての論文がすばらしいものではないこと、また、「テーマの見つけかた」など存在しないということが分かっただけでもちょっとは気楽になるのでは?え、ますますそれではどうやっていいのか分からないって?

「いろいろ研究テーマになりそうなものがでてきても、大部分は研究論文にまでなるテーマとはならない」ことはきびしい事実だが、卒論にはいくぶん「自由研究」的な要素があると思うので「自分の心に生じた疑問や勉強してわからなかったことを解きほぐして理解すること」を目的にして実験をしてみれば良いのではないかと思う。また、「追体験」もその過程で多くを学ぶことができるので卒論として可であると思う。

また、こんなことも書いてあります。実は、これはキョウジュ向けにかかれたきびしいおしかりなんです。

「研究といったからといって、何も誰にも解けないような難しい問題をやれと言うのではない。こんな難問は、世にいう天才たちに委せておいて、私たちは自分の能力でやれる範囲のことを研究したらよいのである。大きなことが誰にでもできるわけはない。だから、私たちにはたとえ小さい問題でもよいから研究してみるのがよい。」

だいぶ気が楽になったでしょう?(わたしも)


99/08/13(金)お盆やすみ・学校基本調査記事

お盆休みを実感した。近所のビル工事現場の「工事予定表」によると昨日より15日まで工事予定なし。昼食を「知味斎」という中華料理店に出かけたが、手頃でバラエティも楽しめるいつもの「昼食メニュー」が今日から15日まではない、ということだ。

このところ郷里にも出かけることが少なくなった。25周年の高校の同窓会以来毎年はがきが来るのだが、出席していない。来年が30周年ということで盛大にやりたいという案内が来ていた。当時の先生方もお呼びするということなので、来年は出席してみようかと思う。

今日の学校関係の記事は昨年度実施の「学校基本調査(速報)」について(朝日)。「不登校」の記事で、97年度までは「学校嫌い」として調査していたが、今回より「不登校(30日以上の欠席)」という項目で調査したところ、小・中学校でおよそ13万人で、前回調査よりもおよそ20パーセント増加した。小学校では295人に一人、中学では43人に一人。

実数は大きいが平均値による錯誤か意外に少ない感じもする。あるいは、この種の調査では各学校でかならずしも正確に回答しないことも考えられる。

大学・短大などへの進学率は49.1%(大学生の数はおよそ245万人)。大学院生はおよそ19万人で10年まえの2.2倍。

大学の不登校の調査数値はないようだが、最近では進路変更や再受験などによる不登校も増えている印象だ。私の所属する専攻は学生数は40名前後であるが、学籍はあるが不登校という学生は例年1〜2名である。


99/08/12(木)実験プログラム

Sさんの実験プログラムを昨日から作り始めたが、基本部分は完成した。あとは細かい点を付加・修正していく。実験プログラムは最後のツメと実際にやってみて修正しなければならないことが多いので結構時間がかかるのだが、必要な機能を後で付加したり修正するのは楽になっているので助かる。

RealBasic(Mac)をつかうかDelphi3.1(Windows95/98)をつかうか考えたが、二週間程度の期限があるので、比較的慣れているDelphiでやることにした。前期に準備した実験プログラム以来、新しい実験プログラムを作っていなかったので最初とまどったが、次第に思い出してきた。

野党の抵抗。「フェアープレイは時期尚早」だからもっと批判と抵抗を。


99/08/11(水)「続・大学教授」

以前よんだことのある「大学教授」(桜井邦朋著)の続編「続大学教授」(地人書館1992)を本やで見かけた。続編のあることに気がつかなかった。購入して読む。怖い本である。この本をもとにして「キョウジュ汚染度テスト」をつくったら何パーセントになるだろうかと不安になった。92年当時よりもさらに現状は厳しくなっているように思う。しかし、希望の本でもある。

もう一冊 購入したのは辻三郎(編)感性の科学、サイエンス社1996。情報科学・心理学・工学・芸術の「学際」的研究。


99/08/10(火)伝えたいこと

午前中と午後1名ずつ卒論相談。Hさんの実験は私も初めてなのでいろいろ変更が多いがめげずにガンばってね。Sさんの実験はだいたい固まったので、プログラム作成開始だ。

夕刻より夏期セッションでおいでの増山先生と短期大学部のIセンセイの3人で会食。地元の魚をだす小料理屋。大学時代の話や共通の恩師の先生の話で、いっとき20年のタイムトリップ。いやいや懐かしむばかりではなくなんとか次の世代にこの先生方のおやりになった(やっておられる)ことを伝達しなければと、先駆者の努力と困難について思う。

大学院の受験資格を大卒以外にも解放するとの新聞報道。大学「改革」も急ピッチだ。問題山積なのは事実だが、それにしても、この急展開の背景はなんだろう。


99/08/09(月)偏差値

夏期セッション(集中講義)がいくつかあり非常勤のセンセイ方が数名おられる。大教室で講義しておられるセンセイがビデオの調子がよくないと談話室窓口にクレーマー状態だったが、担当部署がはっきりせず(実ははっきりしているらしいのだが)窓口も困っていた。

午前中登校し図書館で文献をいくつか探してコピー。雑誌をぱらぱらみていたら「数学セミナー」に大学生の学力(数学)についての記事があった(戸瀬信之・西村和雄 大学生の数学力調査 数学セミナー99・8月号)。著者はこの問題の話題提供者のようだ。私も何点とれるかこころもとないのであるが、まあかなり基本的な問題25題(小学校から高校2年程度)の結果である。データをみるとたしかに学力の歪みは相当のもののように感じられる。

ある(「一流の」私立大学)経済学部の例では、多様な入試機会を取り入れたあとでは、学力差が「多様」になり、このため従来数学は必修だったが、ついていけない学生が出てきたために、選択にした。選択にしたところ「難しい」科目は履修者が減ってしまい、全体的な学力低下が顕著になってきた。

これは「学部」がそのような入試制度を決め、入試制度ばかりを「改革」して、それに対応した学部カリキュラムを「改革」していない点で「自業自得」「自己責任」だ。あんな一流大学でさえも「偏差値」を気にして(母集団の違いを無視した受験雑誌や週刊誌の偏差値ランキングを気にして、つまり、数学を得意とする集団の中では文系の数学受験者の偏差値は相対的には低くなるので、数学を入試に入れると偏差値が「低下」する)、学部に必須の数学をはずしてしまった顛末なのだ、ということである。まあ偏差値は上がったが「実力」は下がったということでよい警鐘ではある。本学はどうだろう。

午後から卒論の相談に約束していたHさんが現れるが、あまり的確なアドバイスできず。内定をもらったということだ。希望の職種だったようで良かった。

休み前に発注していたプリンター・デジカメなどが納入されていた。



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