大学往来 

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99/09/19(日)「広く浅く」・「いってはいけない」

米国の大学では博士候補生になる試験Qualified Examがあることは聞いて知っていたが、「毎日の記録」さん9月17日 を読んで意外だったのは、この内容が「試験の目的は、その分野で研究者としてやっていくための基礎的な知識があるか どうかを試すこと、、、広く浅い知識を身につけて いるかどうかが試される、、、大学によっては、candidateに なるまでは、研究することを要求されない場合もあるらしい」という。「毎日の記録」さんが知っている範囲では、という限定付きではあるが、たぶん「毎日の記録」さんは「理系」の方と推察されるので、いっそう、これは本当に意外だった。「広く浅く」といってもそのレベルは高いのだろうが。

(日本の大学院の)現状のもんだい点としては「大学院生としての研究は、半ば、 指導教官の業務代行的な部分がある」という面が私としては気になっている。「学び方」や「育て方」は多様であるので一概には否定できないものかもしれないのだが。今後「近代化」が必要な部分ではないかと。

「ややこしい問題」として、いくつかの日記では外国人留学生についてはダブルスタンダードが存在しているということが書かれてあった。大学間で基準もかなり異なるようにも思う。D論の「内申書」化のおそれを指摘された方もあった。

「あんな人達にも人格があるのか」。「人権」に関する「失言」は「政治家」としては絶対にやってはいけないことだ。本人に面と向かって言えないことは言ってはいけないと思う。

昨日高速道路をドライブ中に左斜め前方を走るワンボックス・ワゴン車のタイヤがパンクするのを目撃。幸いワゴン車は直進し、運転手は車を路肩によせる手際のよさを見せて何事もなかったのだが、乾いた破裂音とともにゴムタイヤが飛びちるのを見たのは初めてだった。


99/09/18(土)五浦海岸・磯原・平潟

今日は北茨城の五浦(いづら)・磯原方面へ半日のドライブ。縁あって勤務先は水戸市なのだが、こちらの方面は初めてである。柏インターから常磐道を2時間ほど走り到着。写真などで見ていて、ぜひ一度訪ねてみたいと思っていた場所だ。

五浦には岡倉天心記念美術館やアトリエ跡などが残されている。有名なのは、海を見るためにつくられたといわれているこの「六角堂」である(現在は茨城大学の研究施設になっている)。 小さな岬の突端につくられた風流なものである。波の音や風の音を聞いたのだろうか。曇り模様だったが、空と海はその分表情豊かだった。

岡倉天心という人については名前以外ほとんどなにも知らないのだが、展示などから察するに、「西洋」(ボストン)に暮らして、日本文化や東洋文化にアイデンティティを見いだした人のように感じた。太平洋のむこうは米国である、と説明文に書かれていた。

記念美術館は六角堂の近くにある。比較的新しく立派な設備である。オフシーズンではあったが訪れる人も多い。大学職員のUさんの家族の方が働いていて、すごく似ていると聞いていたので、似た人をさがす。声はかけなかったが、たぶんあの人がそうだろう。

磯原・平潟の小さい漁港も風情がある。山と海にはさまれた小さい漁港はどこも雰囲気がよく似ている。「あんこう鍋」が名物ということなので冬になったらまた来てみたい。冬の海もなかなかの景色だろうなあと思う。

はるかに見えるいわき原発がちょっと不安な印象を与える風景。


99/09/17 (金)定額制

「電子書籍コンソーシアム」が電子配信の「書籍」のモニターを募集している。http://www.ebj.gr.jp/

しかしいろいろ条件付き。申し込み用紙が郵送というのもなんだかなあ。

NTTの準定額制(ISDN)が始まるようだ。一日1時間くらい使う場合は恩恵あるようだが、それ以上だとあまり関係ない。定額制を要望しているユーザー層にはほとんどメリットがないと思う。東京・大阪の一部地域で実験的に行われる月1万円の定額サービスでは一日2時間程度の利用者でもほとんどメリットがないのではないか。NTTを徹底批判していたPC Waveがなつかしい。ユーザーの立場からは安ければ安いほど良いのだが、プロバイダー込みで月5千円でも本格普及は難しいと思う。


99/09/16(木)続・時間刑

昨日の話題についていくつかコメントしていただいた。ひとつは大学院の年限について博士課程を終えるのに5年間というのは「世界的にも例がない」と書いたのであるが、これについては 「毎日の記録」のまあくんさんから、米国の大学院でもだいたい5年間だ、という指摘があった。私が参考にした本は米国の大学でも教えておられた方がお書きになったものだったので、語句どおり受け取ったものですが、原文はこんな文です。

(日本の)「現行の大学院制度は、前期二年の修士課程と、その上に後期3年の博士課程と、合わせて五年を必要最低限の在学期間としていますが、これはまったく非常識極まりない長期間で、世界にその例がありません。」

たぶん、まあくんさんがコメントされているように「優秀な人は3年で学位が取れる」ような制度になっている、ということを念頭に置いてお書きになったものかなあと、いまでは推測しています。現行制度でははやく課題を仕上げた人もそうでない人もとにかく5年間は在籍しなければいけない、という意味でお書きになったものでしょうか。

著者は宇沢弘文氏(経済学)で「ゆたかな国をつくる」(岩波書店)という本です。ここでは大学院は(学部卒業後)3年を目安にして博士論文を仕上げるのが適当ではないかと述べられています(2年間を最低在学期間として)。

「ノッティング・ヒルの恋人」を見に行った。平日の午後にもかかわらずかなりの人気。


99/09/15(水)到達度試験・省令改正

近くのデパートがやたら混んでいる。今日はインテリア売場で偶然みつけた「ポロン・クッション(ワコール製)」という椅子用のクッションを買った。勉強用にはクッションのない椅子を使っていた。やはり固いので、座布団などをつかっていたのだが、滑るし、柔らかすぎてどうも具合がよくなかった。しかし、このクッションは固めで「クッション面が水平で底まで沈まないので、尻部が圧迫されません」とのことで、裏面の滑り止め生地も有効でなかなか快適。

中教審「初等中等教育と高等教育との接続の改善に関する小委員会」が高卒時に「到達度試験」をおこなう答申をするとの記事(東京新聞)。「大学入試とは関連づけない」「それぞれの高校で、卒業時の、、絶対的学力ではなく、3年間の基礎学力の伸びを問うもの」を想定している。具体的な方法は「2001年から政策機能を強化する予定の国立教育研究所で検討するように求めている」ということだが、政策機能を強化するというのはどういう意味だ?

文部省令改正のニュースで「大学院に一年コース、学部は年間単位に上限」(朝日新聞)。今回の改正は大学院および大学の設置基準で6つの省令が改正された。改正は審議会の答申に基づいているようだが、審議会やお役人はだれに信任されているのだろう。

大学院の一年コースは大学院の短期化という意味で賛成であるが、すでに存在している大学院の修了期間も修士は1年で修了できるようにし、博士コースは(修士の上にのっかるのではなく学部卒後)3年にすべきだというのが私の個人的な意見。これは以前読んだ本のなかで書かれていた博士前期・後期5年間という長期にわたる履修期間は「世界的にも例がない」という見解に習ったもの。

学部の年間単位の上限制にはむしろ反対で、124単位(設置基準による)を履修し終えた時点(最短2年間、最長4年間)で卒業できるようにするというのが私の個人的な意見だ。刑罰にたとえるのは不謹慎だが、時間刑から課題刑へ移行するのが勉学の動機付けの面からも良いのではないかと思う。


99/09/14(火)「クレーム・サイト」

(週間アスキー9/29号、9ページ)「続々登場するクレーム・サイト」という記事の最後に「一方的な意見が社会的にまかり通ってしまうと、インターネット自体が、落書き程度のプライベートな”告発”用メディアになってしまう危険がある。」

しかし、告発には危険がともなう。同誌「個人サイトで町長批判した町役場次長が諭旨免職に」(山川氏記事)。次長は町長や町幹部を批判したメール(「投書」されたもの)を自分のホームページに掲載し、町長への名誉毀損と公務員法に違反するとのことで処分されたということだ。しかし、このサイトにはパソコン納入業者と町職員の会食写真が掲載されており、「癒着」ではないかということで、町長以下24人が減給処分などをうけることになったそうだ。前後関係はわからないのだが、今後展開があるかもしれない。でも週間アスキーってけっこう常識的でTBSのニュースキャスターみたい、なんですね。

ASAhIパソコン(10/1号)編集後記にはインドネシアから送られてきたメールの話。こころあたりのない名前とアドレスでメールが来たという。これはインターネットカフェでつくったウエッブメールのアドレスで登録したインドネシア人のジャーナリストから来たものであることがわかったそうだ。検閲をおそれてということだ。


99/09/13(月)独立行政法人化

昨日話題にした池内氏(名古屋大学・宇宙物理学)が国立大学の独立行政法人化への反対意見を表明されていた(東京新聞9/13夕刊、「国立大学の独立「行政」法人化を問う」。大学は「行政機関」ではないという違和感と、国家公務員の定数削減数はなんら根拠がなく恣意的なものであるという憤りである。「将来、大きな禍根」を残すことになる、「国家は知の継承発展を放棄」するな、と訴えておられる。


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