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99/12/19(日)Learning Space(続)

IBMのプレゼンテーションは私には面白かったのだが、しらかわ夜舟でいびきさえかいている人もいたなあ。どんな工夫も関心のない人には無意味なものだなあとあらためて実感してしまったものだ。あるいは馬を水場に、のたとえかなあ。

LearningSpaceは大学などよりも企業内の教育に用いられている例の方がいまのところ多そうだ。ちょっと笑える(昔は「笑えない話し」と表現したなあ)話しとして、某企業ではLearningSpaceでつくった社内研修ソフトをビデオに録画して、社員にいついつまでに見てベンキョウしておくように、というようにも使用された例もあったそうだ。インフラの未整備のせいだろうが、せめてCD-ROMで配布しなければせっかくのインタラクティブな特徴は生かせないだろうに。

Learning Space のコンテンツ開発の様子が説明された。ある「教授理論」(教育・学習心理学の分野のR.M.Gagneのモデル)にそった「スクリーンタイプ」が用意されている。ちょうどパワーポイントのヒントに相当するような情報をもっと教育・研修に特化したような感じである。(余計なことだが、IBMのプレゼンということでプレゼンソフトはLotusフリーランスが使われていた。)

これらにそってコンテンツを配置・整理していくと「一定水準の品質の授業構成が簡単にできるように」なっている。教師のプランにそって、複数の人が分担して開発していけるように配慮されている。特に映像部分などは「教材プロデューサー」「教材ディレクター」とも呼ぶべき(専門)職員が担当できるようになると良いのだが、と思う。テレビ局などの大道具・小道具・イラスト・キャプションなどを準備する部門のような。

また、教室ですばらしい講義や授業が、電子的コンテンツにした場合にすばらしいとは限らないこと、また、公開できる講義とできない講義があると指摘された。

Learning Space には「コースルーム」という掲示板が用意され、受講者間・担当者間で質問や議論ができるようになっている。また、レポート受付、CAI的なサービスも可能になっている。コンテンツそのものはWebで閲覧できるが、コースルームやレポート受付などはパスワードで管理。

玉川女子短期大学の菊池助教授の「アメリカ文化史」の事例が「実験授業」として紹介されていた。菊池氏は長年、講義という形式では自主的な学習を促進することはできず、教育効果も感ずるところが少ないと述べられ、授業改善の一つとしてLearning Spaceのシステムに注目されたようだ。たぶん、受講者がいつでも学習内容にアクセスすることができ、予習・復習・他の学生や担当教員とのディスカッションや質問のやりとりができ、これらの環境では学習者個々人の関心や学習意欲をガイドできるのではないかと期待されたのであろう。受講者の感想も述べられていた。まあ「宣伝」であることを差し引いても、「本」や「講義」では得られないスピード感(即時性・対話性)を提供できることはたしかであろうと思う。

ただ、このような「講義」だけが「良い」講義なのかどうかは直ちには答えることができないようにも思う。げんざいの所は「設置基準」の関係でこのコースだけで「単位」認定はできないようだが、むしろ通常授業と並立したシステムであることが大切であると思った。玉川では学生にノートパソコンを貸与または特別価格で斡旋しているそうだ。大学全体の講義のうちのどのくらいの割合でLearningSpaceのコンテンツが提供されているのかは聞き損なった。


99/12/17(金)

エラーのパタン。例年この時期は卒論しめきりのため実験室のパソコンが学生に占領されてしまう。そして、「予期しないエラー」やなにかでデータを失う学生が必ず数名でる。これはWindowsそのものが悪いのであるが、たぶん非常に多くのファイルを次々開いて作業をしていることが一因ではないかと思う。一定時間か一定量の作業を終えたら必ず「上書き保存」なりバックアップをとるなどして、被害を最小にくいとめましょう。

パソコンソフトによる「被害」は使用契約でほとんど免責になっているが、これは正当な契約といえるのだろうか。パソコンには「予期しないエラーがつきものだ」といった「常識」は、急増している「コンシューマ」ユーザーによって通用しなくなることを願っている。

へんな例だが、電話による詐欺にひっかかったからといって、電話会社には責任はないが(そもそも電話という環境条件がなければこんな事件は起こらなかったハズだ、という主張はまあ受け入れられないだろうから)、パソコンソフトの場合にはソフトそのものの不具合により被害を受けるのだから、製造者責任がありそうな気がするのだ(もちろん自分で作ったプログラムでなにか損害を受けてもソフト会社に責任はない。)

昨日の日経新聞には「コーチ」ビジネスの記事があった。「コーチ」の場合には、ある目的にそった情報や手段を求めるという積極的な印象がある。たとえばプロのスポーツ選手が自らの技能をさらに高めるために適切なコーチを捜す、というような積極的な印象があって、これが受け入れられている要因だろうか。この意味では「自分さがし」も探し場所が不適切、という例もあるのだろう。シロートの印象としては、カウンセリングにはこのような具体的な側面が欠けているのではないかと思う。

今日は大学でIBMの遠隔教育システムソフトLearning space(Lotus Notesがベース)のプレゼンテーションがあって聞きにいった。いくつか大学の事例(玉川大学短期大学部、都立科学技術大学など)も紹介されベンキョウになった。遠隔教育の現実感も増してきていることを実感した。また、学内での講義の補助システムとしても有効であると思う。これはいいなあと思ったのは教材や資料などが標準化された形で蓄積されるという点である。この開発システムが、個人で手の届く価格帯になって教員がコンテンツ作成を始め、それらが集積されるようになればかなり面白い展開になると思う。

しかし、いまの所、実際に実施するとなると、インフラもそうだが、人的な資源が現状では不足するだろう。大学では教員に求められる「資質」が変化しつつあるが、同時に職員構成も変化しなければならないように感じた。職員は「事務方職員」であったわけだが、あらたに「教育そのものを助ける職員」(教員と学生の間にたって講義の展開、教材の作成を助けることのできる「技官」)が重要になるのではないかと思う。

コーチビジネスに「教育コーチ」サービスもすでにある?のだろうか。



99/12/16(木)

午前中の講義(知覚心理学)の「予習」をして、OHPを数枚追加。今日は嗅覚の最後で「香りの生理的作用」についての実験をとりあげた。この種の研究は産業界のものがよくある。効能は経験的に知られているものも多く、「科学的データ」として生理的な作用が提示されているものもある。香りに「薬効」があることが「証明」されれば、それは直接ビジネスに結びつくという側面があるので、ことさらにこのような研究が「宣伝」される傾向もあるのだろう。それにしても心理物理学的な研究法で地道な研究が必要だと思う。

午後から締め切り近い卒論相談数名。Iさんのデータは多次元尺度構成法では、背景にしている理論の距離関係を再現できないが、定性的には理論にあうデータが得られていた。

ゼミは3年のIさんが当番。イマジネーションの問題をあつかった本のなかから、概念を組み合わせた場合の創造性をあつかう実験の紹介。おもしろい話題。でも卒論ではやはり地道にカテゴリー識別の実験から開始するほうがよいだろうと思う。

自宅にもどるとマザーボードのサポートから、「こちらでチェックしてから、ご返事します」というファクスがはいっていた。


99/12/15(水)

午前中卒論相談1名。結果のほうはざっとみたところでは「期待された」効果はみられないようすだ。実験開始のおくれた学生で、残念ながら条件を変えてやってみる時間がとれなかった。延長戦やってみたらどうかなあ。Vゴールと。

ホワイトボックスのお世話。サポートに連絡する前にもう一度確認ということで再インストールしてみたがやはりおなじ。マザーボードの代理店に問い合わせのメールと電話。あたりまえのことなのだが、ちゃんと対応してくれて、妙に関心してしまった。夕方になってサポートより電話が入り、同時進行で動作をチェックしたが、やはりエラーがでる。結局初期不良の可能性があるということで販売店で交換ということになった。

帰りに販売店に立ち寄り事情を話したが、在庫がないこともあり、一応店で動作をチェックしてみるという。まあ動けばそれでよいので、預けて帰宅した。なるべく簡単に安上がりにということでi810のオールインワンボードを選んだのがかえって裏目に(組立自体はパーツがすくないせいもあり非常に簡単だ)。

午後から会議。帰りの車中は議事録書きはじめるが途中まで。


99/12/14(火)

午前中、集中講義の件で変更の事務連絡の書類を書く。つづいて卒論相談1名。データ処理方法の相談。データはあまりクリアではないが、この事象の本来の性質によるのだと思う。午後からの研究法の演習用例題のプリント作成をする。

昼食後すこしホワイトボックスのインストール作業の続きをしたが、同じ結果。これはどうも添付されているドライバーがWin98SE(OEM版)に未対応なのではないかと疑う。インストール手順のマニュアルにはしっかり98SEと表記してあるのだが。しかし、帰宅後サポートのWebサイトを除いてみたがそれらしいドライバーはみつからない。なんだこりゃ、ということでサポートにメールしてみなけらばならないなあ。

学部の研究法はやっとt検定の電算演習。来週は今日の演習結果の解説を普通教室で行う予定。学生の周りを巡回してみたが「理解度」は教卓までの距離に「反比例」している印象だ。演習では近くの学生と相談などするうちに「伝言ゲーム」状態になるおそれもある。学生の着席分布には「初期条件」がおおきく効いているのだろうが。

大学院の授業終了後Q棟電算室のM氏とB教授が雑談していたので、K棟電算室にマイクとスピーカがあると良いのだが、と提案してみたら、いえ設備してありますよ、との返事だった。まぬけなことにぜんぜん気がつかなかった。

ある会議の打ち合わせと事務連絡のため授業時間を10分ほど短縮せざるおえなかった。

大学院の研究法は分散分析の演習を終わり、要因配置の話題へ。来週2元配置の分散分析までなんとかいけそうだ。年明けはノンパラメトリック法を数回演習して終了の予定。

行動適応学は「健康と心理学」の話題でいくつか論文やホンを読んだ。医学的なデータと心理学的データとの対応関係について解釈が難しい。


99/12/13(月)

午前中4年生のTさんのデータの統計処理。SPSSでノンパラメトリック検定を利用した。研究法の授業ではパラメトリックな方法で教えている。検定の原理についてはパラメトリック法が「説明しやすい」が、実際の心理データではノンパラメトリックな方法が適切なことが多い。このあたりがちょっとしたジレンマになっている。結果は期待していたいくつかの項目で条件差が現れており、統計的にも有意な差であった。

午後から実験実習1。グループ別では最後のサイクル。カテゴリー弁別の課題であるのだが、実習課題を「一般化」することができないといった印象で、反応いまいち。

実験実習2は実験条件を変えて実験。

午前中から昼休み、授業の合間にホワイトボックスにWindows98SEをインストール。Windowsそのものは問題なくインストールできたのだが、マザーボード(i810チップセット)のドライバー類のインストールがうまくいかない。マニュアル通りにやっているのだが、マニュアルを真に受ける私がバカなのか?


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