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1999年度・授業評価アンケート結果

「大学往来」(file:ar2k0111.html)より抜粋


心理学研究法

授業評価アンケートの集計結果(1/18心理学研究法)受講登録者59名。受講者は大部分心理学専攻の2年生である。昨日公表の知覚心理学特講も受講している学生が多い。両科目を履修している学生にとっては2回目のアンケートということになる。心理学研究法は心理学専攻の必修科目で、知覚心理学特講は選択科目である。

質問項目は先週実施の知覚心理学特講、昨日の大学院の研究法と同じ「K学部授業評価アンケート用紙」による。質問は下記のような内容で各5件法で回答する。1点が「最低」、5点が「最高」である。自由記述欄がもうけられている。各質問項目群内の平均値と標準偏差をもとめた。次のような結果だった。

得点の分布は下に示すようになった。他の講義と異なるのは「最低」という評価値が少数ながら見られることであった。「内容」についての質問群(Q1)でこれが目立つ。

秋は統計的方法がテーマになるので、実は講義の時の印象から判断してもっと悪い評価になると思っていたのである。前に示した結果よりは低調であるが、分布からはなんとか合格範囲に入っているといえるだろうか。(Q1は質問4個からなるので度数が他の質問グループよりも多い。)

学生自身の授業への「参加度」(自己評定)は平均値3.2標準偏差1.1となった。この分布にも「最低」と評価した学生がいた。過日公表したアンケート結果ではみられなかった点である。自己評定5の人数は変わらないが、4の度数が低く評価3が最も多かく、下の図のようになった。「意欲をもって参加している」学生はおよそ1/3というところだろうか。

下の図は「参加度」と個人毎にQ1,Q2,Q3を合算してもとめた平均評価値との関係をみたものである。どちらが独立変数というわけでもないのだが、横軸に「参加度」の自己評定値、縦軸に各自の平均評価値をとって示した。参加度3以上ではだいたい平均評価値は増加している。しかし、参加度2以下でもそれほど平均評価値が低下せずむしろ良い評価をしてくれていることがわかる。(参加度評定値0は「参加度」について「わからない」と答えたケースである)

 

自由記述欄に記入してくれたのは6件で、内容的には「声が小さい」というもの、設備に関するもの、講義内容についてで、以下のようなものであった。

電算室はパソコンの発する音や部屋の構造から声が通りにくい。また、「声」の問題は私の肉体的欠陥でもあるので機器で補うことにする。実は電算室ではヘッドホンを通じて各学生へ「放送」できる設備があるのだが、ちょっとうっとうしいのでつかわなかった。また、恥ずかしいことに最近になってやっと、PA装置があることに気がついてこれを利用するようにしているので来年度は改善できると思う。

「計算方法」についてはテキストをつかわなかったことが問題かもしれない。1年次に「基礎統計学」と「応用統計学」という科目が必修になっているので、たぶんその担当の先生がテキストを指定されていると思われる。このためテキストは指定しないようにしてきている。もちろん基本的な内容は同じなのだが、数式・説明の仕方などにちがいがあると混乱要因になると考えているからである。これについては心理学研究のデータによるプリント資料を充実させることで対応しようと思う。

以上の結果で思ったこと。教室での「反応」があまり良くない場合でも、評価値がそれほどは低下していない。この「解釈」として、大半の学生は先にアンケートを求めた「知覚心理学特講」も履修しているし、実験実習1も履修していることから、「単純接触効果」が効いている可能性もある。あるいはこの種のアンケートでは「認知的不協和」により自分の行為を擁護するために良い評定を与える可能性もないわけではない。(しかしこれらの解釈は社会心理学理論の悪い面、すなわち恣意的事後解釈の例だろう。)心理測定における「反応の心理」によれば、評価平均値は3に近いことから、単に態度保留ということかもしれない。

評価値はあまり良くないのだが、なんとか分布は比較的良好な方向へ偏っていること、「統計的な授業内容」という「ハンディ」を与えることにして「自己点検評価」を「B+」としたい(勝手にハンディを決めるのはルール違反だという声が聞こえるが、でもこの点は多くの諸先輩、大先生も告白されているところでもあるので)。なによりも先決なのは「心理学研究法」についての私自身のジレンマを解決することだろうと思う。


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