基礎・応用心理学実験実習 2008年度 秋セメスター

| index_syllabus |

秋セメスター(実習課題名)官能検査法の基礎と応用(予定) (担当者)伊田政司

秋セメスターでは実験グループ毎に課題を一つ選択し、グループで実験計画を立てて、実験を実施し、レポートにまとめる。これまで実習してきた課題はあらかじめ準備されていたものであるが、実験実習のまとめとしてグループで実験計画をたて、実験を実行する。この過程は実際の研究実施に近いものである。このような経験は各自の卒業研究・論文をまとめる際の準備となることが期待される。

感覚や知覚など人間の感性を研究・測定する方法として心理物理学的測定法および心理尺度構成法が体系化されている。今日ではこれらの手法は感性やイメージを客観的に測定する目的で心理学の分野を超えて広い分野で応用されている。この課題では官能検査法の基礎的手法を学び、その応用について実習する。基礎的な手法を参考にして、参加グループで相談の上官能評価法を応用した実験を計画し、実施する。(なお、測定対象についてはこの課題を選択したグループで検討し、社会的な価値の測定などを感覚・知覚的な課題以外を対象とすることも可)

 

(テーマ:2007年度実施例)
官能評価法を用い感性間の相互作用をテーマとして、カップの種類と飲み物の組み合わせによって官能評価法による味覚評価に違いが現れることを示した。

(テーマ:2006年度実施例)
応用例として感覚間の相互作用(視覚と味覚、たとえばチョコレートの色と味の印象の変化)をテーマとして取り上げた。
実際の実験では、感性間の相互作用が顕著にみられる現象として「大きさ・重さ」の錯覚をとりあげ、この現象を各種の大きさの発砲スチロールと重さの組み合わせで実験を行い、大きさ・重さの錯覚を心理物理的測定法により測定した。

(1)官能検査法の基礎的手法を学ぶ(9月〜10月)閾値の測定・弁別閾値の測定・心理尺度の構成(それぞれ単元毎に小レポート提出)
(2)感覚間の相互作用の測定(応用例・実習)(10月)
(3)グループ実験(参加グループで実験の計画を立て、実施する)(11月〜12月)
(4)データを整理し、最終レポートとしてまとめる (12月〜1月)

参考文献

  • 増山英太郎 心に浮かぶイメージを測る:SD法の理論と応用 ISS産業科学システムズ 1996
  • 増山英太郎・小林茂雄 センソリー・エバリュエーション:官能検査へのいざない 垣内出版 1989
  • 古川秀子 おいしさを測る:食品官能検査の実際 幸書房 1994
  • 松田隆夫 概念的基準の介在による判断の歪み:味に関する二つの実験事例 立命館人間科学研究