心理学研究室伊田

臨光謝謝  

【日常生活改善委員会:人間科学と官能評価:空想心理学専攻】(2000/11/19)

  心理学と新酒

知覚心理学の味覚の単元で話しているお酒に関係した話。もうだいぶ前のことだが、S大学の実験助手をしていたUさんから聞いた話である。卒業論文に「日本酒の利き酒」をテーマにしたものがあって、いろいろな条件で「利き酒」判断を求め、それらを因子分析の手法によって分析したものがあった。卒論の主はJさんといって、日本酒に深く関心をよせ、「利き酒選手権」でなんと優勝するほどの味覚の持ち主であった。その後、業界では有名な酒屋さんに就職し、その後ワインについてのテキストを翻訳されたりしている。被験者はいろいろなお酒をいろいろな条件で飲んでみるのだが、条件によりこれが実に微妙に味がかわるように感じられるということだ。

心理学の分野では「官能検査(センソリー・テスト)」と呼ばれる領域の研究である。最近では食品関係や化学の出身の方がてがけられているが、本来は心理学の得意とする(としていた、というべきかもしれない)ところなのである。卒業論文でもこんな洒落っけのあるテーマにはなかなかお目にかかることがない。「余裕」がないように見受けられるのは少々残念なことである。

フランスのボージョレー・ヌボーは秋ちょうどいまごろ「解禁」になるが、写真の葡萄酒はオーストラリア産の新酒(ヌーボ)で、春に売り出されたのを買っていたのだが、きのう開けて飲んでみた。新酒とはいえ、すでにかなりしっかりしていてふくよかな味だった。