心理学研究室伊田

臨光謝謝  

【日常生活改善委員会:空想心理学専攻】(2000/11/26)

 心理学と「焼き栗」:食行動

きょうは秋の味覚で、焼き栗である。やきぐりというと天津甘栗がおなじみだ。中国産の小ぶりの栗で、皮がきれいにむける、というのが焼き栗に向いているのかもしれない。日本ではやきぐりというのは商品としてはあまり見かけない。日本産のは焼き栗には向かないのだろうか。(ちなみに栗をつかった和菓子の最高峰は中津川の川上屋の「くりきんとん」だと思う。)写真はイタリア風の焼き栗である(栗そのものは日本産かもしれない)。焦げ目が付いていて、ナイフで切り込みをいれて、ただただ焼いたという風情である。雰囲気はやきいもににている。ヨーロッパ、特にイタリアではこのような焼き栗がこの季節にでまわるということだ。

このページの話題はなんとか心理学や人間科学と関係のある話にしたいと思っているので、なんとか関係づけなければならない。ということで、味覚の単元で話す実験の話。

目的。米国の研究で、肥満のひとと、統計的な意味での正常体重をもつ被験者がどのような食行動の特徴をもっているのだろうか。

方法。包装されたチョコレートと包装されていないチョコレート、殻付きのナッツと殻からとりだしたナッツなどの消費量を比較したものである。空腹になる昼の時間帯を実験時間に設定して、他の作業を行うという名目で被験者を頼む。作業中、テーブルにおいてあるチョコレートやナッツを自由に食べて良いのだが、食物は食べやすい条件(つまんですぐに食べられる)と、たべにくい条件(包装や殻付き)が設定され、各条件下で消費量をしらべる。

結果。正常体重のヒトは食物のたべやすさの条件間で差が見られなかったが、肥満のヒト(達)は、食事制限の状態が同等の場合で比較すると、たべやすい状態になっている食物の方をより多く消費するという。

考察。一貫した解釈が可能なほど一般的な現象なのかわからないのだが、肥満のヒトは食物の味やたべやすさに依存した食行動をとっているが、正常体重のヒトは空腹感に従った食行動をとっている、と解釈されている。肥満には複雑な要因がかかわっていると思うが、肥満のヒトのセルフコントロールとしては、食品を買うばあい、なるべく「たべにくい」状態になっている方を購入することが有効であろう。

電網恢恢?