わがはま日記

2003/4/22(火)開放感・インサイダー

 今年は大学院の方法論の時間が他の科目と重なっているということで、受講生3名と相談してセッションに回すことにした。それで火曜日の講義は学部の研究法だけになった。ここしばらく火曜日は3コマやっていたので、時間的に非常に余裕を感ずる。なにか新しいことがやれそうな感じがしてきたほどだ。
 研究法の今日の話しは調査法について。事例はだいぶまえになるが受験雑誌で行った大学の広告記事とタイアップして企画した「受験の負担と健康状態」についてのクーポン広告式のアンケートデータを材料にしている。受講生には身近な話題でもあるようで、毎年とっておきのネタの一つ。

昨日の朝日新聞の夕刊に「内部告発」についての連載記事があった(内部告発とアメリカ 2)。全米3位のたばこ「害社」の健康被害情報の隠蔽を告発した映画「インサイダー」のモデルとなったワイガンド博士のインタビュー記事だった。映画は実話・実名で制作されたものだとクレジットにかかれていた。氏によると事実関係はもちろん「メガネを動かすしぐさまで似て、あまりにもリアル」で、またきびしい体験でもあったので映画を見ることはつらかった、と述べられている。

職業人として「会社への守秘義務(法)」と「社会に対する義務(良心)」の間の葛藤を描いた非常におもしろい映画だった。かれはミシシッピ州政府が喫煙被害の損害賠償をたばこ会社に求めた訴訟で「会社側の健康被害情報の隠蔽を証言したのである。結局彼は「法による契約」よりも道徳的な良心に従って、「会社への忠誠」でなく「社会への忠誠」という厳しい選択をしたのだった。最終的には法的にも勝利することができた。この訴訟で当然というか守秘義務違反で解雇されたわけだが、訴訟のあとワインガント氏は高校の化学の教師となり全米の最優秀教師に選ばれてもいる。現在は世界各地を講演しておられるとのことだ。ワイガンド博士は「日本の会社員は会社に非常に忠実。西洋(アメリカ?)よりも高いハードルを越えなければならない」と言っておられる。「内部告発」と「ちくり」や密告が一緒くたにな状況でいまのところは個人の勇気としか言いようのないもので社会はかろうじて守られている。結局はこのような「うちわ」にとって不利な情報に対する一人一人の態度がやがてはその組織の命運をわけていくことになるのであろう。

2003/4/21(月)
実験実習2はSD法と因子分析の第2週目。データは昨年度の実習データを使用することにした。
実験実習の終了後新任教員の歓迎会へ。

臨光謝謝 このサイトの内容は私の個人的な意見や記録です。