わがはま日記

2003/5/7(月)講座のコスト・相性診断

午前中の心理学の講義は「開眼手術後の視知覚の形成過程」のつづきと補足説明。途中、というか最初からワイヤレスマイクの電池切れのため後ろのほうは話しが聞き取りにくかったかもしれない。かり出したときはLED点灯していて大丈夫jと思ったが、電池は予備を用意するしかなさそうだ。この授業では毎回OHPとプロジェクターの鍵を借りてセッティングをしなければならない。これは意外とめんどうなものである。管理上の問題なのであろうが、もうすこしスマートな方法はないものだろうかと思う。

昨日の研究法はやや特殊な実験であるが、ローゼンハンの「入院実験」を取り上げた。この実験はいろいろな問題を考えるかっこうの素材である。統計的仮説の検定の基本的な「第一種の過誤」「第二種の過誤」の事例として話しておくと記憶に残るようだ。本務校での教室準備はKさんのおかげでまったく問題なしである。「授業改善」のかけ声はこのような環境面にも反映されると良いのであるが、教員個人の問題に矮小化されないことを願う。

気になった新聞記事が二つあった。ひとつは昨日の日経新聞(談話室で読んだため詳細不明)で授業の支援サービス(教材映像や資料、たしか話題)をビジネスとして始めたところがあるそうだ。関西のある大学の一講座の契約が成立したとのことだが、なんと500万円(記憶違いか?)ということであった。もしもマスプロ講義で500人が受講していれば一人あたり一万円ということだから案外安いというべきなのかもしれない。それはともかくとしても、講義の内容や材料については多方面の情報交換やアドバイスが得られうようにしていくことができれば、有意義であると思う。

もう一つは、「採用まえに相性診断」という記事(朝日新聞、5月7日夕刊)だった。入社してみたものの「社風」にあわない、とか「期待した人材でない」といったミスマッチを防ぐための「相性診断テスト」をリクルート社が開発したということである。記事から推測すると、目的変数を(社員集団で標準化した)「実績」において、ある程度「予測的妥当性」が考慮された心理テストのようだ。ただこの種のテストはテストを受ける人たちが標準化した集団と等質であって、環境状況が変化しなければ、という非常に大きな制約条件があるように思う。(記事では「社員もテストを受けるのが特徴、という意味のことが書いてあったが、これは標準化データを得るための手続きであろう)

「良品計画」では入社試験のスクリーニングに使われているとのことだ。本来企業にはいろいろな仕事があるはずなのにこのよう形で均質な人材確保をすすめてしまうのはむしろマイナスのようにも感ずるのだが、短い記事から推測するのは無謀なことではあるが、このような企業では入社してひとを育てていく、という余裕はすでになくなっているのかもしれない。私企業内でどのような人事管理をするかは企業のかってかもしれないが、「心理検査」で選別をするというのは大きな問題をはらむものだ。リクルートと良品計画という組み合わせは妙にマッチするイメージがあるのはなんでだろう。

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