わがはま日記

2003/6/23(月)microexpressions 表情から嘘を見破る

メディアの中の心理学。比較的最近のNewsweek (June 9, 2003) p.45に顔の表情についての研究紹介記事があった。もとの研究はPaul Ekman (UCLA)氏が、嘘を見分ける能力にきわめてすぐれた警察署員J.J.Newberry氏を研究したものである。その結果、Newberry氏は組織的な質問に対するびみょうな表情の変化を識別しているらしい、との結論に達した。通常の表情変化よりもさらに細かい、表情の微細成分"microexpressions"とEkman氏が名付けた、表情に注目して嘘の判定をしているのではないかという。EkmanはこれらをFacial Action Coding Systemとして体系化(1970年代)している。

研究自体は比較的古いものだが、最近のコンピュータシステムの発達と社会情勢の変化から、これらを組み合わせれば、セキュリティ対策に応用できるのではないか、という紹介記事である。現在のところ実用にはいたっていないようだが、空港などで一連の質問に答える際の表情をコンピュータで分析するようなシステムの可能性があるのだという。(コンピュータソフトと訓練を受けた人による判断のどちらが検出力が高いのだろうか。)また、別の応用としては医学上の診断やマーケットリサーチにおける新しい行動測定法としての可能性もあることが示唆されている。

実験室を出た実験心理学といえるかもしれない。実験室的手法がきちんととられている(と推測される)ところがよいなあと思う。

 Newsweek, June 9, 2003, p.45.

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