ノートパソコン実験授業・日誌 ■ノートブック日誌インデックス


1998年10月17日 (土)コンピュータ学習についての調査報告をめぐる議論

先日のETS(Educational Testing Service)の教育でのコンピュータ利用の調査結果が米国で論議を呼んでいる。この調査結果を報ずる見出しは各紙で対照的なものとなった。「コンピュータは数学の学習に役立つ(New York Times紙)」。「コンピュータは数学の学習には役立たない(Washington Post紙)」。Miguel Llanos,MSNBC & ZDNet/USA ] http://www.zdnet.co.jp/news/

「教育」はティーチングマシンが自動的に行うものでもないし、「学習」はティーチングマシンによって自動的に生ずるものでもない。教育手段の一つの可能性という常識的な結論になりそうだが、教育の目的や教えるべき知識、教師に求められる資質が変化していくことが予想される。LL教室の挫折の要因と同じだろう。


1998/10/16(金)ファイルのバックアップ

音声や映像ファイルをつくるとプレゼンテーションのファイルがかなり大きなものになる。昨日のプレゼンテーションは「圧縮」していないせいもあるが、20メガバイトほどにもなる。映像を加えるとさらに巨大なファイルになるだろう。

バックアップはフロッピーでは容量の点で不足なので、FMVにSCSI-IIのPCMCIAカード(Rex 9530)経由でZipドライブを接続した。Windows98ではかなり多くのデバイスドライバーが装備されているのでハードの付加は簡単だった。ハード増設でトラブルがあると半日程度の時間をくうリスクもあるが、今回は問題なく終了した。たしかに多様なハードウエアに対応しなければならないWindowsにもそれなりの「苦労」はあるのだろう。ユーティリティ(Zip Tools)は手動でインストールした。

サーバーに保存しておいて、授業のときに教室からLAN接続してプレゼンテーションするのが、やはり一番スマートだ。プレゼンテーション教室にノートパソコンまたはデスクトップが設置してあれば、いちいちノートパソコンを運ぶ必要もない。しかし、サーバーがダウンする可能性もあるので、やはりZip程度の(容量とアクセス速度をもつ)記憶装置を装備しておくことが必要だろう。

プレゼンテーション用教室には

以前から聴覚心理学の話題で「音楽性」の研究(ちょっと古いのであるが、「白色と褐色の音楽」日経サイエンス78/6)をプレゼンテーションしたいと思っていたが、私が楽器を演奏できないために先送りしていた。「ホワイトノイズによる音楽」、「1/fノイズによる音楽」、「ブラウンノイズによる音楽」の楽譜を「音楽ツクール95プラス」というソフトに一部入力して、ピアノ演奏で聞くことができた。これまで授業では楽譜を見せるだけだったので、実際の演奏を示せば実感することができるだろう。実験授業の機会によってやっと重い腰をあげることができた。

にふぃてぃさーぶのノートブックパソコンのフォーラム(fibmtp2 )を見ていたらWindows98環境ではワード98で漢字変換がうまくできなかったり、もとに戻ってしまったり、というようなトラブルがあるということだ。ワード98がWindows98に対応しきれていないとか書いてあったが、なんのこっちゃ。もっとも基本的なものだけにちょっとひどい。


1998/10/15(木)プレゼンテーションは成功(自画自賛)。

今日の知覚心理学の授業は前回トラブルでうまくいかなかったプレゼンテーションをなんとか行うことができた。聴覚の現象に関するテーマだったので、デモ素材も適切なものがあり、「マルチメディア」なノートパソコン授業としてはぴったりのもので、授業自体もうまくいったと思う。毎回このような楽しい気分で授業したいものだ。授業後普段はあまり質問がないのであるが、1名授業内容についての質問に来た学生があった。しかし、毎回このような「ぴったり」のテーマは望めないだろうし、プレゼンテーション素材も適切なものを用意するのはなかなか困難でもある。また、あまり関心のない学生・聴衆にとっては単なるお遊びに映るかもしれない。教室のアンプ・スピーカーは刺激素材の50Hzの音は映画館のような低音で聞こえ、応答している。高い方は16000Hz付近が限界のようだが、かなり再生範囲は広い。

今日はプロジェクター用のスクリーン(正面)と補助のスクリーンを置いてOHPを投影した。こちらはシャープなのだが、小型のためちょっと見にくい。また、OHPの冷却ファンから金属的なノイズ音が発生している。R003とか004はなかなかこった設計の教室で、講義もしやすく気に入っているのだが、こんなちょっとしたところから、利用者の側からみると、実際には講義をしたことのない人が設計をしたのではないか、と感ずることもある。音声ファイルを再生中に教室の横からスクリーンの見え方を確認した。やはり、正面にくらべるとかなり見にくい。しかし、もっと見やすい席も空いているのに、あえてその席を選んでいるのはなにか理由があるのだろう。

ゼミの4年生からフリーメールサービスに登録したというメール。これでゼミ4年生(9名)でまだメールアカウントをもっていないのは2名だけになった。3年生の学生が実験実習のことで昼休みに質問に来た。私の担当テーマではなかったのだが、担当者が月曜日しか登校しないため、不明な点を聞きにきた。わかる範囲で答えた。例のフリーメールを紹介しておいた。こういう時こそメールが役立つのではないだろうか。さっそく登録して利用してくれればよいのだが。


1998/10/14(水)週刊メールマガジンの発行を企画・999ドルノート・サイバースペース相談室開店

10月12日の朝日新聞にメールマガジン(いとうせいこう:メールマガジン、ネットで育つ巨大市場)についての記事があった。メールマガジンは、従来の「ミニコミ誌」がいちばん類似していると思われる。電子メールによって「ミニコミ誌」を配信するものである。ほとんどの「雑誌」は個人で制作され、インターネットをメディアとして流通している。各種メールマガジンが配信されており、なんと多い日には100万人以上に配信されているのだという(「元締め」である「まぐまぐ」集計で)。メーリングリストに近い利用法であり、とりたてて新しいものではないのだが、ミニコミ誌の制作・配信の業務を提供したところがアイデアなのだろう。情報としては玉石混合なのだろうが、マスコミではとうてい伝えることのできない情報も多いようだ。ただし、ミニコミとはいっても「まぐまぐ」での配信ランキング第一位の「MSNニュース&ジャーナル」誌の登録読者は10万人に近いのだそうだ。

この記事を読んで、個人的にメールマガジンを発行するとおもしろいのでは、と考えた。特に「講義」形式以外の「通信教育」の手段として有効なのではないだろうか。あるいは、個人的なコミュニケーションの手段としても。掲示版に各教員のメールマガジンの内容を紹介し、希望者に配信するのである(学内に限定する必要はなく、OB/OG、生涯学習登録者等々もメールアドレスがあれば「購読」できる)。メール取得者を対象にして、週刊メールマガジンを試験的に発行してみようと思う。内容は、継続して発行できるかどうかということを考えると、「趣味」的な内容のものが気軽で楽しいのであるが、このこころみは実験授業という「任務」があるので、アカデミックな内容で、遠隔教育の一環として考えてみよう。(はたして読者は得られるか?)

昼休みにA教授とN講師に合ったので経過を尋ねたところ、A教授のコンピュータは修理から戻ってきていて、現在はLANカードの入荷を待っているとのこと。学生がコンピュータのことを良く知っていて助かると話しておられた。パソコンについては、それほど難しくはない、との感想であった。プリンターの購入も計画されているようだ。小型のレーザープリンターはいまや3万円ほどで購入できるし、カラーのインクジェットプリンターも同じくらいだ。プリンターは本当に安くなった。N講師は実験授業開始は11月にはいってからになりそうだ、とのことであった。

ノートパソコンについては良いニュースがあった。Newsweek(Oct 19)に999ドルのノートパソコン登場のニュース(http://www.winbook.com/)。スペックは、233MHzPGA MMXPentium, 12.1Passive matrix screen,1.6GBHDD,20XCD_ROM,16MB Ramというもので、メモリー以外はWindows98を快適に使えるレベル。ディスプレイがパッシブという点がちょっと気になるが、"very bright"と書いてある。ただし、64MBRAM,56K Modem,より大きいHDDはオプションで300ドル。実用的には1300ドルかかる。それでも、学生の手の届く範囲に意外に早く落ちてきそうだ。

10月8日に設置したアクセスカウンターは28になっていた。カウンターをつけていない時は全く気にならなかったが数が表示されるようになると妙に気になる。おまけに数を増やそうなどと思うようにもなる。数値とはこまったものである。ちなみにこのカウンターは設置されたページ(私の場合にはホームページの「表紙」)を経由しないとカウントされないそうだ。累積記録をかいてみよう。本質的な累積記録はむしろページ数と更新回数だろうか。

今日、午前中、OBが企画していた「サイバースペース相談室」を新規開店することができた。いまのところ就職や面接の体験・対策ノウハウの情報を主として掲示している。質問や疑問、相談のメールにたいして、ボランティアの相談員がアドバイスができれば、という趣旨である。質問内容・回答はボランティアののOBが作成し、ページの簡単なデザインとファイルのアップロードが私の分担である。(こちらもどうぞごひいきに(広告モード))


1998/10/13(火)学生アンケート

今日の「心理学研究法」はトラブルなく終了。統計の話をしなければならないので、アウトラインをノートパソコンでプレゼンテーションし、こまかい点はOHPに手書きで説明した。やはり教師が直接絵や文字や数式を書いていく、というプロセスは、どんなにパソコンや情報機器が進歩しても、なお、本質的な要素として、必要で、残るものと思う。教える側のリズムやテンポは「考え方」をガイドする非常に大切な要素であるように感じられる。

まえに登場した、この日誌の数少ない読者であるC君から、かれの所属するM大学の研究室(心理学)でのパソコンについてのアンケート調査結果が届いた。アンケート対象は心理学専攻の学生1年生70名、2年生31名の合計101名。以下はメールの引用。

「1.パソコン購入にあたっての負担額(101名中82名が回答) パソコンに関心のない学生はなく、ほとんどが関心あると答えています(82名 中75名)。その上での負担額は平均13万円でした。実は、このとき学生から、パソコンの価格がわからないという質問がありましたので、かなり乱暴ですが、 デスクトップで20万円、ノート型で30万円と言いました。

2.パソコンの所有(101名中94名が回答) 1年は34名、2年は14名と、約半数がパソコンを所持しています。

3.インターネットの利用(101名中93名が回答) 大学では学生がインターネットを利用できる環境が用意されているため、ほぼ 全員が利用していると答えました(利用しないと答えたのは4名のみ)。ただ、 自宅で利用していると答えた人は11名です。」

こちらの大学より「普及率」が高いようだ。インターネット利用については、学生の利用率はかなり高いが、自宅で接続できるのは10%程度。だんだんこの率は高まるものと予想できるが、「学生全員」パソコン所有し、インターネット接続、という状態へもっていくには、大学側でかなり強力にプッシュすることが必要だろう。経済的負担は13万円。現在の平均的なノートパソコンはこの価格帯ではちょっと届かない。デスクトップであれば、なんとか届く。ノート型がもう一段安くなれば、可能だろう。


1998/10/12(月)心理学実験実習でのノートパソコン利用

秋セメの私の担当は「いき値の測定」に関する実験である。実験はAVタキストスコープを利用しているので、Windows95のデスクトップを使用。データの処理にノートパソコンを利用した。デスクトップは実験室においてあるので、実験終了を待たなければならないし、データ処理のために演習室にいちいちコンピュータを移動するのは結構面倒なものであった。ノートパソコンであれば、移動も楽で、実験終了を待たずに、データの入力や処理をすることができるので、大変便利であった。ただ、演習室にはディスプレイがないので、小型モニターを接続してみたが、いかに演習室が小さいとはいっても、ちょっと見にくい。大型モニターがいくつかの教室にあると便利なのだが。


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