ノートパソコン実験授業・日誌 ■ノートブック日誌インデックス


98/11/1(日)日経ネットナビ12月号をみていたら、「キャンパスはもうインターネット:第二回上智大学編」という記事があった。上智大学での学生のインターネット利用環境についての記事。

メールは最初留学生が頻繁に利用していたが、数年来メールアカウント希望者が急増してきたため全員に発行するようになった。語学教育で有名であることもあり、海外HPなど語学の勉強に利用している学生が多く、授業でも海外の情報を利用することが多いのでパソコンは必須のものとなっている。学内サーバーには学生のホームページも開くことができ、学生個人のホームページは現在100以上。身近な連絡、研究、教育にとインターネットは学内で欠かせないものになっている。(電子計算機センター談)。われわれの大学は情報教育やハード面では先行したが、学生の個人的利用上のサービスでは遅れをとりつつあるぞ。パソコン台数でいうと上智大学は学生およそ10000人であるからパソコン1台あたり37人。(電算機室は混雑しているとのこと)。一方わが学部ではパソコン台数はおよそ100台(電算教室2室)で、学生1600名として1台あたり16名で授業環境・ハード的には恵まれている。こちらも電算機室は授業コマでほとんど埋まっており込み合っている。教室稼働率は非常に高い。このため、授業外での利用が困難になっている。しかし、授業以外での学生の個人的利用サービスの面ではまったく遅れている。せめて、早朝と授業終了後(午後8時ごろまででも)解放して利用できるようにしたらどうだろうか。管理や防犯上の問題とかあるようなら、情報センターの方に自習室を設けて少数でもよいので(10〜15台程度)設置して、午後8時ごろまでは利用できるようにすべきではないだろうか。

学生のパソコン所有率は載っていなかった。インタビューに答えていた4人の(女子)学生のうち一人がノートパソコンを所有。1名は近々購入予定。二人は大学のパソコンを利用していると答えていた。


98/10/31(土)ちょっと一息

 今週の日誌を読み返してみた。プレゼンテーション式の授業が実際「教育的に」良いのかそうでないのかはいまのところ不明だが、講義を行う側の立場としては、授業内容の再検討や再構成の貴重な機会となっていることは確かだ。いろいろトラブルはあるものの、そろそろ、環境的には慣れてきたので、日誌の内容を整理しておくべきかもしれない。また、講義内容も一段落する頃なのでWeb公開をそろそろ準備。

 教室や設備機器、ソフトの簡単な「案内」があると利用しやすくなるかもしれない。どのような点に使いにくさや、困難があるのか、実際の体験はこの案内の資料になるだろう。この日誌を見て、「こんなにトラブルが多いのでは、やれまへん」ということになっては困るので、私が体験したトラブルを解決し、黒板やOHPなみに気軽につかえるようにするための「案内」をすることも、この実験授業の「任務」の一つかもしれない。もうひとつの「課題」は、先にのべた「教育的効果」(講義を受ける側から見た評価)の問題だが、これについては、秋セメスター終了時に、なんらかの「授業評価」を行えばよいだろう。また、学生がノートパソコンを所有した場合にどのようなことが起こるのか、という点についても、(少数であっても)学生に貸与して調査する必要があると思われる。来週はこれが可能かどうか担当者に問い合わせ、検討してもらおう。


98/10/30(金)電子メールでは伝わらないもの

 急折されたK君と仕事をされていたo大学のH先生のweb公開日記をM大C君に知らされて読む。昨日の日記はK君の葬儀と思いでについてものだった。H先生はK君が倒れて入院される4日ほどまえに仕事についてのE-メールがあって、そのときにもし電話であればなにか異変に気づいていたかもしれない、と悔やんでおられた。遠く離れている人でもE-メールによって連絡していると実際の「距離」を感じないということも事実である。E-メールはたしかに便利なのだが、反面、伝わらないことがあることを痛感されたということだ。

 この実験授業がはじまってからフリーメールのアドレスを登録してメールを利用するよう学生に「指導」している。先日卒論の4年生に「レジメを書いてきなさい」というメールを送ったのだが、受け取るほうからすると、高圧的なメールと感じるかもしれない。メールでは文面が短くなる傾向があるのでこのような点に気をつけなければ。

 昼休みB教授と教員談話室で雑談。国際部の実験授業の担当者はだれだろう、という話になった。どのような授業をされているのか参考にしたいと思い、事務方Mさんに聞いたところ、N講師とH教授ということだった。

登校時アクセスカウンター145


98/10/29(木)携帯型プロジェクターは良好・ファイル互換は大丈夫だった

 R003/4の教室のプロジェクターはちょっと暗いので、携帯型のプロジェクター(NEC PC-PR631、800ルーメン?)をテストした。心理準備室のT君が授業前にテストするというので、同行。これなら、部屋を明るくしても十分に見ることができる。しかし、セットする台が低すぎて、正面の立派なスクリーンに投影できない。しかたないので、移動型の(これも立派な反射式スクリーン)を利用し、OHPをメインスクリーンにつかった。(この組み合わせは最高です。)

 機材変更にはトラブルがつきものだ。今回は、音声ケーブルが短くて、コンソールのアンプまで届かない。携帯型のプロジェクターの音声入力・スピーカを利用したがやはり少々音量不足。今日は、音韻知覚のデモが多かったのでちょっと残念。音声刺激はやはり実際に提示すると、話が具体的になりわかりやすくなると思った。昨年度までは、OHPのみで説明していたので、なおさら。次回までに延長ケーブルを用意すること。どうも機器の「進歩・改良」と教室設備のテンポがあわずギクシャクという感じだ。

 もう一つのトラブルはプロジェクターのスイッチ表示の仕方の問題だった。プロジェクターの電源表示が「人間工学」を無視しており、再度T君の世話に。つまり、主電源スイッチとサブ電源スイッチがあって、サブ電源スイッチの「スタンバイ状態」がオレンジ色のLEDで表示され、「スタンバイ解除状態」の表示はグリーンのLEDで表示されることがわかったのだが、最初は、このグリーンの表示が薄暗くて、点灯していることに気づかなかった。オレンジ点灯で「ready」だと信じていたために、映像が出ず、焦った。このトラブルでT君を呼びにいったり、なんやかやで、15分ほど時間をロスしてしまった。この手の機器はスペースは十分にあるので、もっと動作のはっきりわかるスイッチや表示をつければいいと思う。また、「メニュー」キイ方式で機能を選択しなければならないのもわかりにくい要因になっている。いろいろ設定できるのはいいのだが、「おまかせ設定モード」をつけておくとよいのではないかと思う。

 肝心の授業の方は、プロジェクター性能が十分で快適であったので、なんとか持ち直したと思う。R棟プロジェクターの利用状況を聞いたところ、ほとんど使われていないということだった。たしかに機器類のセットやなにやに費やす労力を考えると、まだまだだろう。教室にセットしてあって、すぐに使えるようにしておかなければ、利用者は増えないかもしれない。(固定式のプロジェクターはりっぱなのだがいまとなっては性能的に満足できない。移動式のプロジェクタの性能は十分に実用段階であるから、利用者を増やすためには、リプレースしてもっと使いやすい環境を整えるべきだろう。いまのところは、利用者が増えるとプロジェクターの奪い合いになるおそれもあるので、しばらく内緒にしておこう。(ここに書いてどうする)。携帯型のプロジェクターは2台あるということだ。

 ファイル互換の件はぜんぜん平気だった。Macのパワーポイントのファイルそのまま(ファイル名等いっさい変更なしで)Windows98のパワーポイントでプレゼンテーションすることができた。

サイバースペース相談室へ、「暫定事務局長」Sさんより情報。相談はまだないようだ。もうすこししたらまた企画物をやりますか。

登校時アクセスカウンター135


98/10/28(水)ファイルの互換性

 ThinkPad235の落下・修理中のため、自宅と移動中にプレゼンテーションのファイルをつくれない状態。自宅のMacintoshにMS Office 98をインストールしてあることを思いだして、マック版のパワーポイントを使ってみた。操作はほぼ同じ。一応、メニューの用語はマックライクにしてある。「貼り付け」は「ペースト」、「切り取り」は「カット」という具合。自宅のPowerMac7300/166で、Mac OS 8.5にアップデートしてあるので多少きびきび感が増しているが、ThinkPad235(MMX Pentium233でやはり「一世代」前のCPU )と比べても、動作がやや緩慢な印象。やはり、MS OfficeはWindowsで使う方がパフォーマンスが高い。G3 Macだとこのようなことはないのだろうが。明日はファイルの互換性をチェックする。たぶんフォントの関係でレイアウトが多少変わる程度で、Windows98でもMacのファイルをそのまま読めることを期待(ATA Flush メモリーカード:PC format経由で)。

 学外からサーバーにファイルを送り、教室でファイルを読み出す、という程度の基本的な設備があれば、と思う。

思考実験室の2台のPowerMac8500/150にCCDカメラとマイクをセットした。卒論で「物語」の記憶実験に使用するため。

 ゼミの3年生Sさんに演習用の論文について準備室で受け取るように昨日メール。「おもしろそうな論文」との返事が来ていた。

 下校時国際部のF教授と一緒になり、さらに水戸駅で最近柏の近所に越されてきたI教授と一緒になった。かえりの車中、大学のことや、授業のことなど話す。以前にはみられなかったような問題が一部でてきているようだ。できるだけ小規模なクラスにすることで、かなりの問題を防ぐことができるのでは、と話したが、他学科では規模の点と負担コマ数の問題で、複数クラスの展開などは難しそうだ。しかし、今後は「偉い」先生が多人数相手にまとめて授業をやる、という状態はできるだけ少なくするべきではないかと思う。さいわい私の授業は多くても60名程度である。


98/10/28(水)

今朝メールを見たところM大C君よりK君の訃報。C君とK君はM大の大学院で同期で、その縁でK君とも知り合いになった。C君に言われて思い出したのだが7年前の学会で京都で3人で食事をした思いでと、一昨年、横浜の会議で研究発表している姿が最後の思いでとなってしまった。K君が大阪の大学院に進学したころ、いろいろなこと、コンピュータのことや、統計のことをよくメールでやりとりした。「スライドの正しいセットの仕方を教えてください」というようなメールもあった。しばらくメールがこないなーと思っていたところだった。メールボックスを見直したら、昨年6月に「ホームページ拝見させていただきます」というメッセージが最後だった。ちょうどホームページを作り始めた頃だ。いつごろまで見ていてくれたのだろうか。この秋から倉敷のS大学から四国のK大学に転出し赴任したばかりということをC君からのメールで初めて知った。新たな地ではりきっていただろうに。


98/10/27(火)宿題・電算室の空き時間

今日の授業は、またまた検定の話。OHPのブランクシートを持参するのを忘れたために、手で書いて説明する部分が少々不足。今日は修論の中間発表会ということで研究科の授業は振り替え休講。大学院の授業の一つはやはり心理学研究法で、学部と類似しているが、こちらは、統計の検定の仕方を数回講義した後、電算室で演習という形式で行っている。これも学生の方が慣れてきたので、講義を行い、「宿題」としてコンピュータ演習を課すことができそうな状況になってきた。学部の電算の授業もある程度進んできていると思われるので、宿題を出しても大丈夫だろうか?技能的にという意味ではなく、電算室は通常授業でほとんどあいているコマがないので、時間がとれるかという心配である。学生に宿題を出した場合、電算室をどの程度利用可能なのだろうか。

アクセスカウンター下校時121


98/10/26(月)日経MAC読者調査アンケート

日経MACをかなり長い間購読しているが、「読者調査アンケート」が郵送されていた。記事についての選択肢方式の質問のほかに、自由記述形式の「Macintoshのハード・ソフトに対するご意見、あるいは本誌の記事に対するご意見・ご希望のテーマなどご自由にお寄せください」という質問があった。以下のようなアンケート回答をした(概略)。内容は実験授業とは直接関係はないが、学校や大学などコンピュータを利用した教育や研究に熱心な人のなかにはMacな人も多く、また、CAIを考える上では「ハードウエアやソフトウエアの問題はいまのところ結構大きいので、間接的には関係するかもしれない。

 日経MACはいまはなき日経MIXとともに日本でMacの普及に大きな貢献をしてきたし、Mac関係の雑誌、あるいは、PC関係の雑誌を含めても、「あばたもえくぼ的美しき誤解」のすくない客観的な雑誌であったと思う。記事はたいへんに良いし、編集部もがんぱっているのだが、正直いって最近はあまりおもしろくない。ウインドウズ系の雑誌がおもしろい、という意味ではない。PCの雑誌の閉塞感やマンネリは日経MACの比ではない。これは編集部の責任ではなく、Mac(やPCあるいはひろく現在の形態のパーソナルコンピュータ)そのものの展望がかならずしも明るくない、ということに大きな原因があるように思う。今後は、広く、パーソナルコンピュータのあたらしい技術動向との関連においてMacをとらえてほしい。現在の私の個人的な関心は、ノートパソコンやモバイルパソコンにあるので、アップル社はこの方面には関心がないようなので、マッキントッシュに「わくわく」しない。

 これまでの「専門」雑誌のように特定機種の情報のみでは、ユーザーの必要や満足を満たすことができなくなっているのではないだろうか。現在では唯一発売が楽しみなコンピュータ関係雑誌は「PC WAVE」である(こちらは、発行・発売先が代わりちょっと心配でもあるが)。PC WAVEはマックには非常に批判的(しかし、愛憎あい満ちた)であったが、パーソナルコンピュータを発見し、「育てた」ような人たち(マックな人であれ、ウインドウズな人であれ)が興味をもつ新しいトレンドの発掘に成功していたと思う。

 Macのハードでは、やはり、最近の話題はiMacということになる。これの評価は、一オールドマックユーザーの立場からみると、制約が多く・閉鎖的であったためにその可能性を自ら閉ざしてしまった初代のマックのように思えてしまう。しろうとの私が考えても、従来のマックユーザの利用環境を、たいした意味もなく無視したものではないか、と思う。まあ、苦境のアップル社の足を引っ張るわけにはいかない、という気持ちは私にもあるが、批判することもできないというのでは、それこそ将来が危ういものになるのではないだろうか。


■ノートブック日誌インデックス