資料:PCスキルの評価 ■ノートブック日誌インデックス


99/2/5(金)日経パソコン99/1/25号p.154-169

即物的なタイトルで申し訳ないが、企業側から「期待」されているPCスキルを把握しておくことも必要だと思われるので。

事務系ホワイトカラーの求人広告にPCスキルが必要と明記している会社にWeb上でアンケート調査した結果(485通の回答)。17項目のスキルについて「必要」「必要でない」という回答がちょうどガットマンスケール状に一次元的な推移をみせている。

上位からみると、(数値はグラフから読みとった概数)

で、「必要」(70%)と回答されている。この次に、

が続いている。

「必要」が50%程度と回答されているスキルは

あたりで、一般的な「PCスキル」概念の閾値であるようだ。この付近には、

が含まれ、エキスパートとしての習熟が求められる技能である。モバイル環境もやや専門的な技能と見られているようだ。実際には慣れや経験の問題なので、教育にとりいれれば修得にたいした困難はない。

「必要」が30%以下であるのは、次のような技能で、これらはまだまだ専門的な技能ととらえられていて、専門家とみなされる技能である。

現在のカリキュラムは上位のスキルを目標としていると評価できるので、一般的なPCスキルの達成という目標とおおむね一致している。

「専門家」とみなされる技能の中で、「ホームページを立ち上げる」技能そのものは実はそれほど難しくはなく、カリキュラムの中では学生ももっとも面白がってやる単元である。したがって、いまのところ「ホームページつくれます」というのはそれなりの技能として評価されるかもしれない。

この調査からみるかぎり、「対外的」には、現在のカリキュラム内容はおおむね妥当なものだ。ノートパソコンをつかった授業と、OSやソフトのインストール程度の実習が付加されればさらに良い。ただし、再三述べているように3、4年次のパソコン教育の「空白」が気になるところ。選択科目として、エキスパートしての習熟が必要なレベル(「閾値」付近の技能)をあつかう授業があれば万全。


もちろん社内の役職ごとに要求されるスキルは異なる。社会状況の変化やPCスキルはレベルアップしていく。いまのところごく一般的なスキル(先の尺度で上位5位くらい)があればいわゆる事務系ホワイトカラーでは大丈夫だが、業種によってはより専門的なスキルを一般社員に求める企業もでてきている。(統計パッケージのSASを一般社員もあつかえるようにしている会社の例が取り上げられている。)パソコンを使うことによってより高い成果が求められるようになっていく傾向を示している。
転職にはPCスキルはどの程度要求されるか。

外資系企業はほとんど中途採用の条件として「PCスキルのある方」という条件がつけられている。高度なスキルではなく先の尺度で上位5位程度である。しかし、「電子メールアドレス」をもたない人は「情報に対する意識が低い」と評価されてもしかたがないという担当者もいる。

派遣社員専門の会社ではPCスキルはかならずしも必要というわけではないが、時給や契約率に有利な条件とされている。派遣の場合PC専門家という需要が増大していて、この方面では上記尺度の「必要」(30%以下)のレベルのスキルが要求されるようになってきている。


しかし、現在のところPCスキルを客観的に評価する尺度はない。たとえば、パソコン教室の「中級」コースといっても講習会主体によってさまざまだ。したがって、大学として、できるだけ明確にパソコンスキルを明示して成績評価をすることが、就職時においては学生に有利に働くのではないか。 
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