インターネット通信大学の資料 日誌資料indexへ戻る

 

http://kogolab.edu.toyama-u.ac.jp/chiharu/mds/981130.html

1998年12月1日(火)来年の授業は「日記を書く」

 早くも来年度の授業案内の原稿依頼が回ってきた。私の大学では、すべての教官はどれかひとつの教養科目を担当することになっている。私は「言語表現」という科目を担当していて、これまで作文を教えてきている。

 さて、その授業の内容だが、来年度はどんなことをやろうか。実は授業を計画するこのときが一番わくわくする。どんなことをしようか。日記を書いてもらおうか。そうだ、日本に大学は数多くあれど、日記を書く授業はおそらくないだろう。日記を書かせる日本で唯一の授業を開こう。授業は週一回だけれども、日記だからもちろん毎日書いてもらう。半期の15週間毎日休まず書くとすれば、百日間以上書くことになるな。うん、いいぞ。そうしよう。

 というわけで、次のような授業紹介文の下書きを書いてみた。

言語表現---日記からエッセイライティングへ

 あなたは日記を書いたことがあるだろうか。毎年、12月になるとたくさんの日記帳が売り出される。だが「三日坊主」と言われるように、長い間日記を書き続けている人は少ない。そう、私たちは日記の書き方を習ってこなかったのだ。だから日記をどう書けばいいのか実はよく知らないのだ。もちろん日記の正しい書き方なんていうのは、ない。自分のスタイルで書くのが日記だ。日記の正しい書き方はないけれども、日記を書き続けるためのちょっとしたコツというのはある。それをこの授業で学ぼうと思う。

 日記を書くことによってどんないいことがあるだろうか。

 

* 日記を書くことによって、自分自身を見つめ直すいい機会になる

* 日記を書くことによって、書くことが苦手でなくなる

* 日記を書くことによって、1日の良い区切りになる

 

 この授業では、日記を毎日書いてもらう。平日はもちろん、土曜日、日曜日もだ。毎日日記を書く。これまで何度も「三日坊主」で挫折してきた人にも、毎日書けるように、初めは少しずつ書き、慣れてきたら少し長いものを、というように無理のないステップで書けるように計画する。こちらも三日坊主で終わらせないように工夫するので、受講生もがんばってほしい。百日間日記を書いたということをもってこの授業の単位を認定する。もちろん現在日記をつけ続けている人も大歓迎である。

 この授業の特色は、受講生に書いてきてもらった日記を互いに読み合うということだ。その日記を誰が書いたものであるかを伏せて、お互いに読みあう。プライベートなことを書くときには、個人名をイニシャルにすることによって特定できないようにする。なぜ、個人のものである日記を互いに読みあうのか? それはここで書く日記が、読者を想定した日記だからだ。つまり、読者を想定した日記を書くことによって、その先にエッセイなどの読まれるための文章をターゲットに置いているからだ。(だが、授業ではエッセイは書かない。書くのはあくまでも日記である)

 他人の日記を読んだ人にはそれについての批評は求めない。読むだけで十分である。もし、何かコメントしたいことがあれば簡単にメモしてあげることはできる。しかし、コメントすることはまったく義務ではない。したい人だけがしたいときだけすればよい。きちんと読んであげるということが大切なのだ。

 この授業はかなり特殊なものになるだろう。以上のような趣旨に心ひかれた人はぜひ受講されるようにお願いする。

 こんな感じ。はたして受講希望の学生はどれくらい来るだろうか。

------------------------------------------------------------------------


日誌資料indexへ戻る