大学往来 

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99/08/05(木)見学合宿(8/2初日分)

昨日二泊三日の見学合宿から戻る。今年度は4年生もほとんど参加してくれて3年生6名と4年生6名の12名が参加した。(長くなるため合宿二日目、三日目は明日以降に書きます。また、レポートはあとでまとめる予定です。)

見学先は、初日は航空医学実験隊(立川市)、二日目はA化粧品研究所(五反田)および科学技術館、最終日は鉄道総合技術研究所(国立市)である。心理学と社会での産業や諸研究との「接点」を見いだすことができればということで昨年度からの企画である。さいわいこの方面の専門家である拓殖大学の増山先生のグループと共催が実現した(今年は増山先生のグループでは院生のTさんとM君が部分的に参加してくれた)。

初日(8/2)は午前中上野駅に集合して最初の見学先の立川(航空医学実験隊)へ移動。正午予定通り到着し、所内で昼食をとる。T大のMセンセイと院生のMさんと合流。旧知のT氏に案内していただく。立川は研究訓練施設なので大学の工学部のような印象。しかし、受付には制服の方や訓練中の制服組の人たちが散見されやはり自衛隊であることを実感する。見学スケジュールは午後1時から4時半までとかなり充実したものだった。

ここでは「遠心力発生措置」、「低圧訓練装置」、「空間識実験装置」、「POWERS(訓練飛行シミュレーター)」を見学した。

ここは訓練センターでもあるのでいわゆる「応用」研究が主であるが、基礎研究の見方をすると「人間的条件の限界とは何か」を対象にしていると言えると思う。このような「限界」的な状態で人間の知覚能力や認知・判断能力の問題が問われる。このあたりの課題は心理学と関係するものだ。いずれもかなり大規模な装置で、見ているだけでも「酔い」そうな感覚になるが、パイロットというのはすごい訓練をしているのだなあと思う。

最後のPOWERSの見学では訓練機の簡単な計器類の見方を教わり、学生2名が「飛行」した。一機は一度墜落。入間基地から富士山付近で旋回と「宙返り」をして、名古屋空港に着陸するというコース。先日あったハイジャック事件を思い出したが、「ハマル」要素がたしかにあるように感ずる(人間の最高の能力が発揮されているコトガラには、その世界にはいりたいという麻薬的な魅力がある。「正常な」ばあいには挑戦ということになるのだが。航空管制などのシミュレーションを見ていると、ある個人の限界的な能力は多数の人のサポートの上に成り立っていることがよくわかる。)

現在の操縦はかなりトラッキングに近いものになっているようだ(人間の感覚知覚能力にたよれない領域に入っていて、人間が追従可能な情報に変換してやらなければならない)。増山センセイが長年おやりになっていたトラッキング特性の研究を空間・時間的に拡張して行うことが重要になるだろうと思う。また、技術的な進歩でパイロットの「適正」も変化してくることが予想される。

われわれは女性参加者が多いのと体力的に自衛官向きではないので、当日はちょうど音楽隊部門の選考日だったらしくもそちらの応募者かと最初間違われた。旧知の竹内氏に見送られて実験隊を後にして、八王子の大学セミナー・ハウスへ移動。大学セミナーハウスではいろいろハプニングがあったので、まとめて書いておこう。

大学セミナーハウスでのハプニング

まず最初は宿舎のゴキブリ騒動。セミナーハウスは設立の趣旨として「plain living and high thinking」をかかげている。しかしplainという意味には清潔さも含まれると思う。ちなみに私の部屋はカビくさくて換気につとめた。3年生のMさんたちの部屋にはなんとゴキブリ。二日目にもまだ退治できない様子で私とK君でベッドをひっくり返してやっと退治した。参加した女子学生はちょっとショックだったようだ(ゴキブリくらいこわがっていかんぞ、とは思うが。このような虫嫌いは何にゆらいするものなのだろう)。食事や寝具については質素で清潔であったので、部屋の管理や維持を改善してほしいと思う。

二日目の朝、比較的早く移動しなけらばならないので7時に朝食をとりにいったのだが、朝食は8時からだという。まえもって依頼すれば早くにもできるということらしい。当日は結局朝食抜きで移動。京王線・北野駅前のMacで朝食。翌日の朝食は割り増し料金100円を払って7時からに変更してもらうことができた。最後のハプニングは最終日のチェックアウト。これまたまえもって依頼しておかなかったために受け付けは9時から事務処理開始という。最終日も8時すぎには出発しなけらばならなかったので、こまった。

しかし、最終日は参加した4年生は昨年度見学済みの鉄道総合技術研究所(国立市)だったので、見学済みの4年生の一部が残ってゴミ処理や精算をすませますと言ってくれたので、3年生と昨年度見学していない4年生は予定道り移動することができた。2日目の懇親会のあと始末といい4年生はしっかりしている。

たしかにセミナーハウスは滞在型の施設であるから、今回のわれわれの合宿のような利用法は不適切なものかもしれないのだが、朝食時間や事務関係の開いている時間がやはりちょっとという感じだ。

と、まあいろいろあったのだが、各見学先では興味深い研究を多く知ることができ、また、心理学を学部や大学院で勉強した人たちの社会での活躍や苦労を知ることができた。また、社会で心理学の知識がどのようにして生かせるのか、という問題については、共通して述べられていたことは、「社会の中では、解決すべき課題は学際的に現れてくる。その解決には学際的協力が不可欠である」という点であった。また、心理学の学生へのアドバイスを求めたところ、心理学のみでなく、関連する他分野への関心を失なわず、幅広く勉強することが良いのでは、ということで共通していた。

4年生のSさんから、精算など問題なくできましたとのメールで、「とても楽しい合宿でした」とのコメント。ほっとした。


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