【ことばのコラム】「リンゴ→ゴリラ」が許せない
「しりとり」→「リンゴ」→「ゴリラ」→「ラッパ」→「パンツ」→「つみき」
よく聞くしりとりの定番フレーズです。「しりとり」の最後の「り」から始めると、こんな流れになることが多いようです。私も子供のころにそうした記憶がありますが、実はひそかに「リンゴ→ゴリラ」というつながりには納得できていませんでした。
よく聞くしりとりの定番フレーズです。「しりとり」の最後の「り」から始めると、こんな流れになることが多いようです。私も子供のころにそうした記憶がありますが、実はひそかに「リンゴ→ゴリラ」というつながりには納得できていませんでした。

「リンゴ-ゴリラ、リンゴ-ゴリラ」と何度言ってみても、私にはリンゴの「ゴ」とゴリラの「ゴ」が同じ音には聞こえないのです。試しに発音してみてください。違って聞こえる人はいませんか?
実は、鼻濁音を使う話者の場合、この2つの「ゴ」は発音の仕方が違います。ゴリラの「ゴ」は、口の中でいったん空気を止め、それを開放して発音する [ɡ] という音です。音声学では「有声軟口蓋破裂音」と呼びます。単独で「ガ・ギ・グ・ゲ・ゴ」と発音してみると、通常はこの音になります。
一方、「リンゴ」の「ゴ」を鼻濁音で発音する場合、その子音は [ŋ] になります。舌の奥で口からの空気の通り道をふさぐ点は [ɡ] と似ていますが、空気は鼻から抜けていきます。英語の sing の最後の ng と同じ「有声軟口蓋鼻音」です。
つまり、
リンゴ [riŋo]
ゴリラ [ɡorira]
となり、「ゴ」と書かれている部分の最初の子音は、実際には [ŋ] と [ɡ] で違うのです。それでも、日本語ではこの2つの音は同じ「ゴ」の仲間と捉えるため「リンゴ→ゴリラ」は成立することになります。
なお、現在では鼻濁音を使わず、「リンゴ」の「ゴ」も [ɡ] で発音する人が多くいます。その場合は、もちろん「リンゴ」と「ゴリラ」の「ゴ」の子音も同じです。
それでも鼻濁音を使う私としては、どうも納得がいきません。悔しいので、これからは「ンゴリラ」と発音してやります。
(コミュニケーション学科教授:千葉敦)
実は、鼻濁音を使う話者の場合、この2つの「ゴ」は発音の仕方が違います。ゴリラの「ゴ」は、口の中でいったん空気を止め、それを開放して発音する [ɡ] という音です。音声学では「有声軟口蓋破裂音」と呼びます。単独で「ガ・ギ・グ・ゲ・ゴ」と発音してみると、通常はこの音になります。
一方、「リンゴ」の「ゴ」を鼻濁音で発音する場合、その子音は [ŋ] になります。舌の奥で口からの空気の通り道をふさぐ点は [ɡ] と似ていますが、空気は鼻から抜けていきます。英語の sing の最後の ng と同じ「有声軟口蓋鼻音」です。
つまり、
リンゴ [riŋo]
ゴリラ [ɡorira]
となり、「ゴ」と書かれている部分の最初の子音は、実際には [ŋ] と [ɡ] で違うのです。それでも、日本語ではこの2つの音は同じ「ゴ」の仲間と捉えるため「リンゴ→ゴリラ」は成立することになります。
なお、現在では鼻濁音を使わず、「リンゴ」の「ゴ」も [ɡ] で発音する人が多くいます。その場合は、もちろん「リンゴ」と「ゴリラ」の「ゴ」の子音も同じです。
それでも鼻濁音を使う私としては、どうも納得がいきません。悔しいので、これからは「ンゴリラ」と発音してやります。
(コミュニケーション学科教授:千葉敦)


