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常磐大学硬式野球部 新監督インタビュー


「一日一生」  - 母校を、もう一度 “勝てるチーム” へ -

進藤 実 監督

埼玉県熊谷市出身の元プロ野球選手(投手)。右投右打。

≪スポーツ経歴≫
  • 常磐大学硬式野球部
  • NTT東北野球部
  • 読売ジャイアンツ
  • シダックス野球部


Q1 監督に就任された率直な今のお気持ちを教えてください。

「母校のユニホームを、今度は監督として着ることになる」 その喜びと責任を、強く感じています。私が現役時代の常磐大学は、リーグ戦で優勝争いをする力のあるチームでした。就任の話をいただいた時には、まず現在のチームの戦績を調べました。そこで厳しい現状を知り、「本当に自分に立て直せるのか」という不安を抱きましたが、母校から声をかけてもらった以上、迷っている場合ではありません。「もう一度、優勝争いができるチームへ」 その思いを胸に、今は一日一日、チーム改革に取り組んでいます。

Q2 これまでの野球人生について、改めて教えてください。

父が野球好きで私も自然と野球をはじめていました。地元の埼玉県熊谷市はソフトボールが盛んな地域で、小学3年生からソフトボール、中学では軟式野球で汗を流していました。

私はずっと、三塁手として試合に出ていましたが、高校2年生の時、監督から「ピッチャーをやってみないか」と声をかけられ、投手へ転向しました。あの時のオファーが、自分の野球人生の転機だと思います。

大学野球、社会人野球、プロ野球を経験し、今改めて振り返ってみると、これまでの野球人生は自分一人の力でつくり上げてきたものではないと強く感じます。チームメートはもちろんですが、監督やコーチ、家族、応援してくれた人たちがいたからこそ、ここまで続けることができたんだと思います。

今度は指導者として、常に「周囲への感謝」と「恩返し」という気持ちを大切に、私が支えられてきた温かい想いを次の世代へと繋いでいきたいと思っています。

Q3 指導者を目指すようになったきっかけは?

指導者という道を意識したきっかけは、巨人を退団後の2003年、社会人野球のシダックスに入団し、当時チームを率いていた野村克也監督と出会ったことです。

野村監督は、経験してきたことについては、とことん追究します。その一方で、自分が経験していないことについては「分からない」とはっきりと伝え、コーチを信頼し、指導を任せる謙虚な姿勢がとても印象的でした。

私は投手として、今でも印象に残っている指導があります。

「投手陣は今持っている球種の他に、自信を持って投げられる球種をもう一つ増やす事、そしてアウトコースへのコントロールを身につける事」との野村監督の言葉です。投手陣の中には、プロの舞台を経験した選手もおり、それぞれがプライドを持って得意な球種を投げています。しかし、野村監督は、更にもう一種類増やすように指示し、私たちの成長と可能性を広げる指導をしてくださいました。どの立場でも、どのステージに立っていても、常に努力し、成長しようとする気持ちを持つことの大切さを、改めて学ばせていただいた貴重な経験です。

プロ野球で、選手、監督として多くの実績を残した野村監督が、アマチュアの選手たちを指導する姿を間近で見て、「自分もいつか、こうして次の世代を育てたい」と思うようになりました。当時シダックスで野村監督の指導を受けた仲間たちの中には、現在、全国各地で高校野球の監督や大学の講師など、指導者として活躍している人もいます。野村監督から受け取ったものを、自分なりの形で次の世代へ渡していきたい。それが指導者を志した原点です。

Q4 これまで、どのようなチーム・選手を指導してきましたか?

これまで、野球教室などを通して、子どもたちへの指導にも携わってきました。

指導で大切なのは、「相手によって伝え方を変えること」だと思っています。小学生には、まず野球の楽しさを知ってもらうこと。中学生や高校生には、楽しさに加えて、技術を身につけることの面白さや、努力することの意味を伝えることです。

大学生は、技術だけではなく、自分自身で考え、行動することが求められる年代です。監督としてただ答えを与えるのではなく、「なぜ、この練習をするのか」「どうすればもっと良くなるのか」を選手自身が考えられるような指導をしています。

野球を通して成長する。その先に、人としての成長がある。これからも、そこまで見据えて選手と向き合っていきたいと思っています。

Q5 このチームをどんなチームにしたいですか?

まず目指すのは、人間力、主体性、チームワーク、礼儀を備えたチームです。

ただ優勝争いができるチームではなく、人としての礼節を備えた選手が揃い、みんなに愛されながら優勝争いができるチームにしたいんです。

大学を卒業した後、社会人野球など次のステージで活躍できる選手を育てることも大切ですが、全員が野球を続けられるような甘い世界ではありません。だからこそ、野球を終えた後も社会で信頼される人間になってほしいんです。学生であるこの貴重な瞬間に、自分を磨いてほしいと思っています。

そして、もう一つ大切なのが学業です。「野球は大事。でも、単位もしっかり取る」。大学生の本分は学問です。朝練も8時30分には終え、1限から授業に出られるようにしています。学業と野球、その両方に真摯に向き合うことが、人間としての成長につながると考えています。

Q6 現在のチームのどこを伸ばしてあげたいですか?

一番伸ばしたいのは、メンタルの強さです。

現在、プロ野球選手が実際に取り組んでいる練習も取り入れています。プロの選手でも苦しい練習をしていることを知れば、「自分たちは、ここからさらにやらなければ上には行けない」と気づくはずです。

選手たちは、私が練習メニューを提示すると、素直に一生懸命取り組みます。その「頑張れる力」を自信につなげてあげたいと思っています。

苦しいことから逃げず、乗り越えた経験は、必ず野球以外の場面でも生きてきます。練習を通して成功体験を積み重ね、「自分たちはできる」という自信を育てていきたいです。

Q7 今シーズン、チームとして掲げている目標は?

まずは、勝てるチームにすること。そして勝率5割を達成することです。

いきなり大きなことを言うのではなく、まずは一つ一つの試合で勝つ。その積み重ねが、チームの自信になり、やがて優勝争いにつながっていくと思っています。

常磐大学硬式野球部は、関甲新学生野球連盟1部リーグで戦っています。大学公式サイトでも「一球集中」を掲げています。だからこそ、目の前の一勝を大切にしたい。

勝つためには、技術だけでは足りません。日々の生活、練習への取り組み、仲間との関係、学業への姿勢。すべてを含めてチームを改革し、「勝つ」という結果にこだわりながら、選手一人ひとりが成長できるシーズンにしたいと思っています。

Q8 監督ご自身が、指導者として大切にしている言葉はありますか?

「一日一生(いちにちいっしょう)」です。
一日一日を大切に生きる。そして、一日一日を一生懸命やる。

野球でも人生でも、先のことばかり考えていては、目の前の大切なことを見失ってしまいます。今日の練習をどう取り組むのか。今日、仲間にどう接するのか。今日の授業にどう向き合うのか。そうした一日の積み重ねが、最終的に大きな結果につながります。選手たちにも、いきなり「優勝するチームになれ」と言うのではなく、まず今日できることを一生懸命やろう、と伝えていきたいです。

Q9 監督として、選手からどんな存在だと思われたいですか?

監督と選手という関係ですから、野球については厳しく言うこともあります。しかし、グラウンドを出たら、プライベートなことでも相談できる、選手にとって心強い存在になれたらいいと思っています。

大学生という年代は、勉強や進路、人間関係など、さまざまなことに悩む時期でもあります。「何かあったら監督に話してみよう」と思ってもらえるような関係性を築いていけたら、このチームはもっと強くなる。そして、最終的には「常磐大学で野球をやってよかった」と思ってくれるはずです。

Q10 野球部が、大学や地域にとってどんな存在になってほしいですか?

「学生から応援されるチーム」になってほしいですね。とにかく、同じ大学に通う仲間に見てもらいたい。

求めるだけではなく、野球部からも積極的にアプローチしたいと考えています。

例えば、大学のイベント、学園祭やオープンキャンパスなどにも参加して、野球部の選手が他の学生と交流する機会を増やしたいです。部活動の垣根を越えたつながりができれば、「あの選手を応援したい」「野球部の試合を見に行こう」という気持ちも生まれてくると思うんです。

常磐大学には、本格的な野球場を備えた小吹グラウンドがあります。公式戦にも利用できる環境です。そうした恵まれた環境を生かしながら、グラウンドの中だけではなく、大学や地域に飛び出していきたいと思っています。

Q11 これからどんなチームにしていきたいですか?

目指す先は一部リーグ優勝です。

そしてもう一つ、「高校野球の選手が憧れる硬式野球部」にしたい。「常磐大学に入れば、自分の可能性がもっと広がる」 高校生にそう思ってもらえるチームにしたいです。

現在、常磐大学では部活動などの課外活動を通じて、学業と競技の両立を図りながら、社会で役立つ人材を育成することを掲げています。

だからこそ、単に野球が強いだけではいけないと思っています。野球を通して成長できる。仲間と出会える。社会人として必要な力を身につけられる。そして、卒業後にも自分の可能性を広げていける。そんな場所になれば、高校生にとって「ここで野球をやりたい」と思える大学になるはずです。

Q12 最後に、選手たち・大学関係者・応援してくださる皆さんへメッセージをお願いします。

とにかく選手たちを見に来てほしい、声援をおくってあげてほしい、それだけです。

これから選手たちは、練習でも試合でも、さまざまな壁にぶつかると思います。それを一つずつ乗り越えて、見ている人に勇気や元気を与えられるような存在になります。

常磐大学硬式野球部は、これから変わっていきます。勝てるチームをつくることはもちろんですが、地域の方々から愛され、大学生からも応援され、高校生からも憧れられるチームになります。

その成長する姿を、ぜひ球場で見てほしいと思います。選手たちの力だけではなく、大学関係者の皆さん、そして応援してくださる皆さんの力が必要です。


一日一生。まずは今日を一生懸命に。


選手たちと一緒に、一歩ずつ前へ進んでいきます。ぜひ、これからの常磐大学硬式野球部に期待してください。