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法律行政学科ニュース

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山梨ゼミが群馬県の女子少年院を参観しました


法律行政学科の山梨光貴ゼミナールの3年生9名が、3月中旬、榛名女子学園(群馬県北群馬郡榛東村)を参観させていただきました。

山梨ゼミナールは犯罪学・刑事政策を専門に扱うゼミナールで、犯罪に関連するトピックについての報告と討論を行っています。3年生はこれまでに、いじめ少年非行・少年法児童虐待などの少年にまつわるテーマを中心に検討を重ねてきました。個人およびグループでの学習と討論を通じて「非行(犯罪)を行った少年たちの実際について知りたい」という気持ちが強くなった学生たちから、施設参観に行きたいという声があがり、今回の参観に至りました。

今回参観させていただいたのは、群馬県にある榛名女子学園という少年院です。少年院については別の記事でも言及していますが(過去の学科ニュース「山梨ゼミが兵庫・大阪で施設参観を目的とする合宿を行いました」をご覧ください)、非行を行った20歳未満の少年を収容して、個々の少年の「特性に応じた適切な矯正教育その他の在院者の健全な育成に資する処遇を行う」施設です(少年院法1条)。

その名称からも明らかなように、榛名女子学園は、非行を行った少年の中でも「女子」を収容する、女子少年院です。女子少年院は全国に9庁設置されていています(このほかに、男女を分隔する少年院が2庁あります)。ここ数年、少年院に収容されることになる女子少年は年間120名前後で推移していますが、榛名女子学園には、そのうち40名前後の女子少年が毎年収容されるのだそうで、女子少年院の中でも規模の大きい施設ということになります。また、「更生支援パートナードッグ」との共同生活が行われているのも特徴のひとつです。

参観の際には、実際に少年たちの教育や社会復帰支援を行っている法務教官の先生から、榛名女子学園に収容されている女子少年たちの特徴や様子、そして榛名女子学園の概況などについて説明をしていただきました。

法務教官の先生から教えていただいた具体的なエピソードに言及することは慎みますが、榛名女子学園に収容される前の女子少年たちの生活環境や彼女たちが非行を行うに至った経緯についてのお話は、これまで非行少年のことについて専門的に学んできた学生たちにとってさえ、驚きをもって受け止められていました。

その後は、園内を回らせていただき、教育や指導を行う教室や女子少年たちの生活スペースを拝見しました。「少年院」と聞いてイメージしていた建物の様子と実際の園内の様子に想像以上のギャップがあったようで、学生たちからは感嘆の声が漏れていました。

榛名女子学園前にて
 

実のところ、少年法をはじめとして、非行少年に関する社会一般の認識は、誤解に基づいていることが少なくありません。それは学生たちも例外ではなく、今回、(女子)少年および(女子)少年院の実際を知り、これまでのイメージとのギャップを理解することができたことは、学生たちにとって大きな学びになったことでしょう。なかには、非行少年の教育や社会復帰支援を行う「法務教官」という仕事に興味がわいたという学生もおり、このことも、今回の参観が学生たちにとっていかに有意義なものであったのかを物語っています。

法律行政学科では、今後も、関連施設への参観などを通して、法律、行政、社会安全といった各分野の「実際」を学ぶ機会を作っていきたいと思います。

最後になりましたが、年度末の大変お忙しいところを、私たちの参観にご対応いただきました、榛名女子学園の関係者の皆様に、この場を借りて厚く御礼申し上げます。

施設参観を終えた学生の声(一部抜粋)

非行少年について

「…、少年院に入って来る少年達は元々悪い子なんか一人もいなくて、たまたま悪い要因やきっかけが、他の人より多く重なっていってしまい、他の人のよりもとても辛い思いをしたりして、非行に走ってしまうのではないかと思いました。そして、それは私達も関係ない話ではなく、一人一人がそういうリスクやきっかけを持っていて、もしかしたら、今隣にいる人や友達が、もしくは自分がそうなる可能性も全然あるのだと思いました。」(Wさん)

少年院について

「実際に院内を見てまわったときに、とても可愛い院内だなという印象を受けました。壁にカルタや絵、編み物などが飾られており、過ごしやすそうな居場所だと思いました。教育のサポートの手厚さにも驚きました。」(Mさん)

「施設内はとても綺麗で色んな教室や少年の皆さんが作った作品を沢山見れてとても素敵だなと思いました。また、セラピードッグがいるというのもいいなと思いました。セラピードッグと触れ合うことで少年院にいる少年のみんなの行動や心に変化が出るのは職員の方達とセラピードッグの力だと思いました。」(Wさん)

「これまで少年院のイメージは、未成年の刑務所というものだった。お話を聞いてみて、少年院は罰を受けるのではなく、これからどうやって社会に復帰するか、再犯しないためにどう過ごすのか矯正する全寮制の学校という印象に変わった。その中で入院している少年は親や学校、地域の環境に恵まれなかったり、とけ込めなかったりして、逸れた道に進んでしまった私達となんら変わらないという事が1番印象に残った。」(Nさん)

「少年院に対して、刑務所と同じようなどこか冷たく律しられた空間を想像していたが、実際榛名女子学園を参観させて頂き、実際に女子少年たちが生活を送っている場所を見て全然イメージと違ったのが印象的でした。民間の設計者が設計したとのことで、本当の家のような安心できる空間だなと思った。」(Sさん)

法務教官について

「今回の参観を通して、私は将来の夢が無かったのですが、法務教官というお仕事があること、そして仕事内容も分かりやすく説明して頂きとても興味が生まれました。将来の就職の選択肢として法務教官についてもっと詳しく勉強してみようと思います。」(Wさん)

「今回、お話を伺い、法務教官の難しさや、やりがいの様なものを感じました。一つの道として今日伺ったことを胸に止めながら考えていきたいと感じました。」(Mさん)