常磐大学心理臨床センター主催 第32回公開講演会を開催しました
カウンセリングにおける
「今、ここ」とエクステンド
「今、ここ」とエクステンド
常磐大学心理臨床センター主催の第32回公開講演会が、7月27日に開催されました。講師としてお招きしたのは茨城大学人文社会科学部特任教授で、公認心理師、臨床心理士の正保春彦先生。臨床心理学の第一線で活躍する正保先生が、カウンセリングにおいて「今、この瞬間」をどう捉えるかについて自身の体験を交えて語りました。
冒頭、正保先生はロジャーズやパールズといった心理療法の大家たちの理論を紹介。「カウンセラー自身がその瞬間に流れる感情や態度を自覚し、クライエントに対して常に肯定的な配慮と共感的理解を持つことが重要」と述べ、「今、ここ」を重視する視点が、複数の心理療法に共通していることを指摘しました。
こうした理論的な理解が実感を伴って深まったのは、正保先生が出会った「インプロ(即興演劇)」の体験です。プロットのない即興劇では、出演者同士が「今、この瞬間」に集中しながら物語を紡いでいきます。その中で出てくる重要な考え方が、「エクステンド(状況の明確化・深掘り)」と「アドバンス(次の展開への推進)」です。「カウンセリングではアドバンスよりもエクステンドが重要」と正保先生。例えば不登校の子どもに「学校に行ったほうがいい」と促すのはアドバンスだが、「毎日どう過ごしてるの?」と耳を傾けるのはエクステンド。そこに「それはつらいね」とカウンセラー自身の感情を開示することで、より深い信頼関係が築かれるといいます。
「カウンセラーの仕事の多くは、相手をエクステンドし、自分もエクステンドすること。アドバンスは少しでいい」と語る正保先生は、「答えるのではなく、応えることが大切」と講演を締めくくりました。
理論と実践を融合させた今回の講演は、カウンセリングの本質を再確認させてくれる内容となりました。
冒頭、正保先生はロジャーズやパールズといった心理療法の大家たちの理論を紹介。「カウンセラー自身がその瞬間に流れる感情や態度を自覚し、クライエントに対して常に肯定的な配慮と共感的理解を持つことが重要」と述べ、「今、ここ」を重視する視点が、複数の心理療法に共通していることを指摘しました。
こうした理論的な理解が実感を伴って深まったのは、正保先生が出会った「インプロ(即興演劇)」の体験です。プロットのない即興劇では、出演者同士が「今、この瞬間」に集中しながら物語を紡いでいきます。その中で出てくる重要な考え方が、「エクステンド(状況の明確化・深掘り)」と「アドバンス(次の展開への推進)」です。「カウンセリングではアドバンスよりもエクステンドが重要」と正保先生。例えば不登校の子どもに「学校に行ったほうがいい」と促すのはアドバンスだが、「毎日どう過ごしてるの?」と耳を傾けるのはエクステンド。そこに「それはつらいね」とカウンセラー自身の感情を開示することで、より深い信頼関係が築かれるといいます。
「カウンセラーの仕事の多くは、相手をエクステンドし、自分もエクステンドすること。アドバンスは少しでいい」と語る正保先生は、「答えるのではなく、応えることが大切」と講演を締めくくりました。
理論と実践を融合させた今回の講演は、カウンセリングの本質を再確認させてくれる内容となりました。