大学往来 

■大学往来インデックス


2000/12/21(木)台北・四日目(12/15)

昨日夕方ころからやっと雨があがり、今朝は初めて快晴になった。朝食のあとホテルの周りを散歩した。ブラッドショウ夫妻?も散歩されていたのを遠くから散見。9時に空港にむかう予定になっているP大学生コンビを見送ろうとロビーにいった。ちょうど岡大の長谷川先生夫妻も帰国されるということでご挨拶。

■台湾の怪人・Yen先生

朝のセッションはイタリアの心理学の歴史と現状の話とか、フロリダの発達心理の話。つづいて台湾出身の怪人Yen先生の講演の時間。地元の学生向けにはなしたいということで、中国語でPSI(個人別学習システム)の話をされる。PSIの発案者であるF. S. ケラーのもとで学位をとられた方で、ケラーやスキナーと一緒のスライド写真を見せながら演技力豊かに話をされていた。

中国語のなかにときどき混ざる英語の術語から内容が想像できるところも多少はあった。ケラーのグッバイ・ティーチャーの話をしている様子である。将来先生になるかもしれない若い学生に諭すように、また、興味をそがないようにユーモアを交えたダイナミックな話し方は非常に印象的なものだった。中国語はまったくわからないのであるが、話しの様子や学生の様子などみているだけでもおもしろいレクチャーだった。たぶん学生たちは教師になったときにYen先生のことを思い出すのではないだろうか。

■Wei先生

昼食が今日も用意されていてWei先生と師範学院の学生さんの隣で。Wei先生は非常に気を遣われる方で恐縮。料理が運ばれてくるたびにいちいち取り分けてくださる。なんだか親戚のおばさんみたいな親しみを覚えた。手首に立派な翡翠のリングをしておられた。翡翠は高価でもあるが、中国ではお守りでもある。あとで知ったところでは料理を取り分けるのは中国式のもてなし方であるとのことだ。

■高雄の麗人・李博士

昼食後、高雄市からやってきたという若い先生にポスターのことで話しかけられる。(東洋人は若く見える、ということかもしれない。私もメキシコ人のC先生にせいぜい30歳くらいにしか見えないと言われた。)アメリカで学位をとられ現在は高雄市で英語を教えておられる。特に言葉の教育に行動的な考え方を取り入れたいということで、今回私が発表した系列課題は言語とも関連があると思うと言われて、いろいろ熱心に質問された。私の英語の問題で私の回答で納得されたかどうかわかないのではあるが。ちなみにパソコンの話になり、マッキントッシュユーザーだと言っていた。私のデジカメにも興味を示されて型番など控えていた。非常に理知的で魅力的な方であった。

午後からはYen先生がコーディネイトされたシンポジウムで、認知・行動療法の実践例について台湾側の発表者(3名)による台湾での薬物やたばこのコントロールの話。このセッションも学生むけに中国語で。

最後に閉会のセレモニーがあって、いろいろエライ人の話がつづいた。台湾側の人の挨拶の中で、会議は雨とともに始まり、晴天で終わった、というような意味のことをいわれた。話の形式が日本的な挨拶と似ていると思った(日本が中国式をとりいれたというのが正しいのだろうが)。

夕方からは台湾側主催者が招待してくださったフェアウエルパーティが(モンゴリアン・バーベキューの店で)あったのだが、私はこれにはでないで(私は立派な行動主義者とはいえないのが一つの理由と、もう一つは台北にきたら有名なレストランであるディン・タイ・フォンにぜひいきたいと思っていたからである。)パーティの時間までさきほど知り合いになった李先生とホテルの遊歩道を散歩しながらまたまた質問をいろいろされたのだが、十分に答えられない。その話題についてはs先生に相談されてみるとよいだろうなどとやや逃げ腰で。若くて熱心な先生で、ほかの参加者のかたにも熱心に話しかけていた。ふと私自身の若かった頃はどうだったか、などと思う。所属されている大学が規模の小さい大学でいろいろ苦労もおありのようだった。この点は私も似たような境遇である。

■ディン・タイ・フォン

夕方ホテル内の茶藝店に行って、ちょっとはりこんでお茶を買う。一昨日対応してくれたご老人が覚えていてまたまたお茶を試飲しながらいろいろ雑談した。このときの様子は昨日書いた。

タクシーであこがれれのディン・タイ・フォンへ。運転手が店の方を指さして教えてくれた。下町のふつうの商店街のなかにある。店の前はすごい人だかりだ。こりゃかなり待たされるかなあと思ったが、店の前でウエイターが伝票を渡しながら客をさばいていてすぐに案内してくれた。店の入り口には蒸籠が積み上げられていて、蒸気があがっている。店にはいると、小籠包などを作っている厨房になっていて、その中を通って2階へあがる。案内されたのは、込み合っているということもあって2階の店の隅の変な席だったのがちょっと残念だったが、ウエイターが片言の日本語で親切に対応してくれた。こちらの若い人はなんだかすごくよく働いている。

この店はニューヨークタイムズによって「世界の10大レストラン」に選ばれている。この種の情報にミーハーな私は一度どうしてもきてみたかった店なのである。内装や建物などは高級なものではく、テーブルクロスもかけられていない、ごくふつうのレストランなのであるが、ウエイターやウエイトレスのきびきびした立ち居振る舞いや客あしらいはなかなかよいものだった。リラックスした活気のある雰囲気は食べ物やとして最高のものである。

スープ(スープは鶏肉のスープを勧められた)と名物の小籠包、豆苗の青菜炒め、デザートで600圓(だいたい2000円くらい)。味はとても繊細で上品なものだ。酢は米酢でまろやか。これに生姜を千切りにしたものとしょうゆをすこしいれたタレをつけて食べる。とくに皮というのか、包んである生地がよいように思った。日本にも支店があるのだが、込み合っていてかなり待たされるらしいということで、日本の支店には行ったことがない。今回は一人だったのでメニューの種類を食べることができなかったのが残念だった。(日本語メニューあり。簡単な日本語を話す店員もいる。)

ホテルに戻ると、ちょうどパーティから戻られたs先生にさそわれてメキシコ人グループとバーへ。おなじテーブルでイタリア人の先生とメキシコ人のc氏が話していたのだが、同行のメキシコ人のlさんがかれらはそれぞれイタリア語とスペイン語で話しているが、簡単なことならなんとなくわかるから、と説明してくれた。お互いにそれぞれの方言で話しているような感じだろうか。フロリダの女性研究者が部屋へ戻る途中に我々の席によって、アメリカの学会は閉鎖的というかあまり「国際化」に熱心でない、というようなことを話していた。ちょっと驚いたことにはかれらが(イタリア人、メキシコ人、アメリカ人)たばこをかなりすっていたことだ。この会議は米国・アジア禁煙協会のYen先生の尽力が大きかったにも関わらずである。米国系の学者先生の間ではではめずらしい、と思う。

久しぶりにs先生夫妻としばらくの間世間話をして、部屋に戻る。この会議の日程は今日ですべて終了した。荷造りをして、明日は空港への移動時間まで故宮博物院を見物に行く予定。



 

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