見学合宿・2006夏

ゼミ合宿日誌 2006/8/31 味の素川崎工場


見学二日目

味の素川崎工場

 午前中は「味の素」川崎工場の見学にでかけた。初めてだったので一般見学受付を通じて申し込みをした。一般の工場見学をひろく受け入れている様子で申し込みの際には広報担当のMさんに非常に丁寧に対応していただいた。見学の要望ということで「官能評価」についてのリクエストを検討していただいた。しかし、当日は官能評価関係の方の都合がつかず、簡単な「食味実験」と官能評価の入門的な文献を準備してくださる、ということになった。

味覚による評価
 川崎工場は川崎大師にちかいところにあり、京浜急行・大師線・鈴木町駅すぐであった。駅名は創業者に由来するものとのことだ。広報担当のTさんとKさんが出迎え、対応してくださる。最初に、味の素の企業説明のビデオをみたあと、「味の素」の「効果」を実感する簡単な味覚実験のデモンストレーションがあった。単におみそをお湯で溶いた「みそ湯」とこれに「味の素を少量加えたもの」を比較し、味の変化を体験するという簡単なものだが、これはいろいろ工夫をすると心理学実験実習の課題にもなりそうだ。「官能評価」についてのレクチャーについては、当日関係部署の方の都合がつかない、ということで、一般的な基礎知識として文献資料を準備していただいた。

工場見学

 このあとマイクロバスで工場内を移動しながらCookDoの工場、味の素記念館を見学した。
 一般の見学について広報上力をいれている様子で、見学ツアーのプログラムが用意されていた。見学したクックドゥの製造ラインは、モニター室は別にあると思われるが、ほとんど無人で稼働していた。川崎工場では4000人あまりが働いているということだが、このうち3000名が研究要員で、製造そのものに関わる人の割合は予想以上に小さい。知識・技術集約的な現代的工場の特徴かもしれない。
 見学ルートの最初のところに「幸運(幸せ?)のドラム」があって、一種のアトラクションになっているが、同時に見学者があるということを知らせる機能を兼ねているのかもしれない。見学ルートの随所に赤色系・暖色系の中華風の装飾やおいしそうなサンプル料理が展示され、いかにも工場という雰囲気を和らげようとする工夫が施されていた。
 続いて、所内をマイクロバスで移動。医薬品部門の研究棟があった。工場の中でも大きな割合を占めている。途中、配送センターの説明があった。ここではさまざまな大きさ・重さ・形の多品種の商品をトラックに積み込む作業が行われていたが、その際、トラックの積荷が最適な「荷姿」になるように「学習するコンピュータシステム」によって制御・管理されているという説明があった。

味の素記念館

 味の素記念館の見学。創業当時の写真や歴代の「味の素」が展示してあった。子どもの頃見た記憶のあるブリキ缶のパッケージや特徴のあるガラス容器、創業時につかわれていた甕(かめ)などが展示されていた。おもしろいことに模造品も展示されていた。記念写真をとるコーナーもあった。「ガイド」の方は写真をとるときに「ほんだしー」というフレーズをつかっていた。

 記念館を出る際には、見学記念品まで用意されていた。このあと工場内の売店で見学コースは終わるようになっていたのはちょうどパッケージ旅行のようだった。
 この売店はなかなかおもしろく、味の素で開発された肌年齢測定器、血管年齢測定器など美容や健康関連の製品が並んで、自由に試すことができるようになっていた。しばらくいろいろなモノをみていたのだが、その間にも、見学者に化粧水の試供品やうまみ調味料のサンプルをおみやげとして配布していた。

感想
 菊田博士が「湯豆腐を食べながら、そのうまみ出汁(だし)の味の成分はなにか」 と疑問におもわれたことが研究のきっかけになったというエピソードが紹介されていた。「うまみ」成分は昆布出汁の成分を科学的に分析し、発見されたものである。日本の伝統的で身近なことがらに取り組まれたユニークな研究であるといえるだろう。その「うまみ」成分を手軽に利用できることはある意味で画期的な発明品と言えるかもしれない。「うまみ調味料」に対しては嗜好の点でも賛否両論のあることも事実だ。場内の説明ではこれらに配慮してか自然の材料と発酵によって製造されていることが強調されていた。
 「味の素」は現在では食ばかりでなくアミノ酸を中心にした医療・健康や美肌(化粧品)へのとりくみを強めているようであった。 官能評価関係のもう少し詳しい見学ができればよかったのだが、これについては他のメーカの見学を含めて、次回以降の課題としよう。

 「盤」の字がちがうけれど。前に置いてあるのは昆布と写っていないが、味の素ができるまでの中間製品が並べられていた。


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臨光謝謝

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