見学合宿・2006夏

ゼミ合宿日誌を読んで 2006/10/12 山崎


資生堂ビューティソリューション開発センターの感想

 
 人に受け入れられるような品物というのは、時代や流行によってその都度変化するものである。そのため、商品を製作する際には「いかに優れた品物を作るか」ではなく、「いかに消費者に受け入れられる品物を作るか」が大切なものであると感じる。しかし、どんな品物にもその品物独特の味というものが存在し、その味は品物の歴史や背景など、品物自身の根本的な性質を理解していなければ活かす事ができないだろう。平尾さんのプレゼンテーションでは、人間は何故化粧をするか、また、いままでの化粧の歴史の説明から始まり、化粧を使用することによって得られる効果や、現在行われている化粧の新しい効果の研究などを話してくださったようだが、これはやはり、その時代の人間の嗜好を理解するだけではなく、これまで品物が歩んできた歴史や傾向も同時に踏まえていこうとする姿勢の表れではないかと感じた。
資生堂を見学したことからは、流行などの「現在」のことだけではなく、その品物自身の源や背景となる「過去」も理解することが大切であると感じた。

航空医学実験隊の感想
 人間工学や適正検査、低圧状態での認知機能の変化や衰えなど、ここでは様々な人間の内面に関する研究が数多く行われているようである。航空機のなかでは絶えず変化する状況に対応する必要性があるため、状況変化に対応するための訓練を行っているようだが、そのなかで、認知機能についての訓練分野で心理学が活用されていることに驚いた。また、適正の話について、竹内さんの、「適性は本人にもわからない。パイロットの例でいえば、むしろ、明確な目標達成への意思が大切」という言葉に、やはり熱意を持って物事に取り組む姿勢を持つことが大切であるのだなと感じた。

全体の感想
 大学で学び始める前まで、私は心理学とは人の心を扱う学問であり、いわゆるカウンセリングや臨床心理といった専門分野でのみ用いられるものであると思い込んでいた。しかし、大学で心理学を学び始めて、人が物事を知覚する際にはどのような作用が働いているかとか、人間が自身の行動を行う時に環境などがどのように関わっているかなどを学び、心理学は比較的日常的な物事にも用いられているものなのだなと感じていた。残念ながら今回の合宿には参加できなかったが、合宿日誌を読んでみて改めて、心理学は様々な分野において用いられているのだなと感じた。人間の知覚や認知などを研究対象としている心理学にとって、人間が存在している場所、すなわち、社会の組織に心理学が少なからず活用され、影響を及ぼしているのは当たり前であるのかもしれない。社会にとって必要不可欠な立場に立つ心理学という学問について、その奥深さと難しさを感じると同時に、それらの研究を進めるやりがい、楽しさなどを改めて感じることができた。



臨光謝謝