空想科学 

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2001/6/3(日)臭気判定士

午後からTBS噂の東京マガジンを一部みる。今日の噂の現場は横浜市でもちあがっている悪臭問題だった(マンション内の飲食店の煙とにおいの問題)。あいかわらず「行政の怠慢」がうきぼりになる構成だったが、「法律がないのでどうしようもない」という行政側の言い分は「正しい」のかもしれないが、公僕たる行政サービスマンとしてはもうすこし頭を働かせ気を利かせることができないのかと思う。「苦情」にたいして「調査」をしたところまでは良いのだが、たぶん店舗の一番ひまな「午後3時半頃」調査したというのである。インタビューワーはあきれ・苦笑するしかないといった風情だったが、このように公の場で答えるお役人の心根というのも寒々しいものがある。

ところで、この中で話題になった「臭気判定士」は知覚心理学(秋セメ)の中でもとりあげているが、広義には知覚心理学に関係している。ちなみに国家資格です。

悪臭に関する法律の改正で、従来は(定められた物質について)機械測定されていた測定値を基準にしていたが、機械測定では対応できない多様な「悪臭」公害問題に対応するためにヒトの(官能検査による)臭気判定が正式に基準として採用されたのである。ただし番組の中でも触れられていたが、自治体によって測定方法の選択が行われているようでまだまだ徹底しているとは言えないようだ。番組の内容はこちらから2001/6/3号の「うわさの現場」のページへ


2001/5/31(木)日常

午前中、知覚心理学。新生児・乳幼児心理物理学、発達の初期段階での感覚経験遮断の影響、(ちょっと話は飛躍するが)関連した話題で成人での感覚遮断実験について。新生児心理物理学の研究風景はかわいらしい赤ん坊の写真が多くてみていて楽しいものである。話の内容は実験的なハードな内容で、むしろ固い話なのだが対象の魅力によって救われている面もある。感覚遮断実験については(きちんと調べたわけではないのだが)第二次大戦後の米国帰還兵が共産主義を讃える発言をして「西側」諸国を震撼させたことが背景にある、と読んだことがある。いわゆる「洗脳」の過程を明らかにしようとした研究の一部のようである。

ゼミは「知能測定」の章。後半、昨年度卒業したSさんの卒論紹介。時間がすくなくてわかりにくかったかもしれない。盲人と健常者の「認知地図」の性質について調べたもの。卒論を大学の外で実施する場合の注意点なども話した。「若者よ、書をすてて街へでよう」という言葉があったが(おトシがしれる)、「書はすてないで、街にでよう」と。

ゼミまでの空き時間に実験実習についての質問にやってきたふたり。A君は指定文献を読んでいるようで、質問も的確であった。Bさんは「聞きにきてやっとわかったわー」と言いながらほんとうにうれしそうに帰っていった。だけど、Bさんはたしかインストラクションのときには居眠りしていたような。

卒論は今日はNさん。話しているうちに「集団思考」の結果として「ヒトとのかかわり」ということをやはり考えていくことが必要だということになって、すこし発展。


2001/5/30(水)教育関係のテレビニュース

午後から長い会議。会議運営には、議案の整理だけではなく可能な案についても練っておくべきだと思う。そうしないと委員会が本来、検討すべきこと・決めるべきことを十分に議論できないからだ。それにしても新しい制度については教員間でも理解の仕方はさまざまだ。

今日のテレビニュースで「私立中学への進学熱」(TBS)と「インターネットを利用した大学授業(明治大学)」(フジテレビ?)の現状を知った。

私立中学への進学熱の方は、さきごろの「3割削減」問題で将来の進学競争への不安にかられて、という面と、私立各校の教育方針に対する(保護者への)説明会と口コミが重要な要素になっているとのことだ。私立中学への受験率は過去最高(13%?)に達しているということだ。私立は社会的な信頼や信用が非常に大事なので、この面の努力が公立を上回っている学校が増えているということだろう。

インターネットの方は「すべての授業」でインターネット上に講義内容が載せられていて、講義はこれの予習が前提になって行われているということだ。このような取り組みはおおむね好評のようだ。ある学生は「学生間で授業にたいするとりくみ方の格差が非常に大きくなってきている」という感想を述べていた。明治大学は数年前からこの準備をすすめていたことはネット上では知っていたが、成功しつつあるようだ。

柏駅ビルの店で夕食。隣の席が同業「他社」のグループだった。「聞き耳」状態で食事。同じような話題がでて、なんだが同じ大学のヒトたちのような気さえして、そのまま話に加われそうな。ただ、その中で、「中途の退学者」の増加傾向の話題があって、「痛みをともなう改革」の予兆である、との分析。「米100俵」の首相にはこの面の対策(たとえば、学生奨学ローンの実現)をぜひお願いしたいものだ。セーフティネットを考慮しない改革は暴力である。


2001/5/29(火)郵便より宅急便

午後、学部の研究法。基準化の補足と平均値のサンプリング分布の話。このあたりが統計的仮説の検定の山場になる。

授業のあと、N君と準備室のOさんとともに、今年度の学内予算で購入する色彩色差型について納入業者とメーカの方の説明を受ける。カタログに掲載されていないが、より購入目的にあう機材があることがわかり、こちらを選択することにした。

つづいて院・行動適応学と方法論。方法論は調査デザインの話題が一段落したので、統計的仮説の検定についての確認を今日をふくめて数回行う。これは受講生の予備知識がバラバラであるからやむを得ないのである。

夜、なぜかプロジェクト X をみる。今日は「宅急便」だった。会社の名もしっかり出ていた。運輸省の規制に苦しんだということを聞いていたが、そのシーンはややきれいごととして描かれていたように思う。このシリーズでは、「いい話」に矮小化されてしまう傾向もあるなあ、などとも感じていた。しかし、ともかくいろいろな苦労や困難を克服したということはよくわかった。とくに「すべての地域の人に同じサービスを」と考えた社長の言葉や広告そのままのような「愛情のこもった」荷物を運んだ方のことばは心に残る。

「すべての地域の人に同じサービス」を提供しようとしたのが、一私企業であったことは覚えておいてよいだろうと思う。企業の生き残り策とはいえ結局は公益となったのだから。まえまえから気に入っている「(いまはもうないが)国鉄より私鉄、郵便より宅急便、国立より私立」という言葉がますます気に入った。


2001/5/28(月)準備

午前中、学内用の書類書き。今日しめきりということだったが、提出については迷った書類である。時間的に余裕のないことが躊躇する第一の理由であるが、準備が全くできていないという気持ちによるものでもある。書類を書きながら、振り返る良い機会ではあった。しかし、いずれにしても私の都合でどうなるものでもないが、いくばくかの果たすべき責任があるのかもしれないと考えを変えた(って意味不明)。

午後から実験実習。今週は実験データを入力して集団データにまとめる作業と、生データの整理の仕方などの説明。つづいて基礎実験も同様。こちらは新しいプログラムでの最初の実験グループ。だいぶシンプルなデザインにしたつもりでいたが、説明しながら、まだまだ余計な条件がはいっているように感ずる。学期中に実験グループごとにデザインを変更するのは、教育パッケージとしては良いこととは言えないが、新しい実験プログラムの開発という面もあるのでご容赦ください。


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