空想科学 

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2001/10/26(金)教科書

今日は某委員会業務のなかで、高校の教科書を見たのだが、「薄くなった」なあというのが第一印象だった。担当の先生にも聞いたのだがやはりかなり内容は削減されているということだった。教える内容や範囲を決めるのは難しいことだと思うが、「本質」的な内容を残した、というよりも全体的に内容を薄くしたという感じだ。「検定」には紙幅や意匠の制約も加えられているのだろうか。「教科書的」ということばには「面白みに欠ける」というような連想がわく言葉でもあるが、もっと魅力的な教科書が提供されるようになれば良いのにと思う。

大学でも良い教科書を必要としている。授業の際にはいろいろな参考文献を示しているのだが、「難易度」はさまざまである。これらの内容を解説付きの教材集のような形で提供すれば自学自習の助けになるかもしれない。

山梨工科大で「早期退学勧告」のニュースがあった。最低基準を満たさない学生に退学勧告を行ったという。各学年で5%程度らしい。ただし、いったん社会にでたあと復学は可能であるようだ。

「社会人」(学生も当然社会人なのでこれは変な表現だが)の大学院生などと接すると、学習態度に「一般学生」とかなり異なる印象をもつ。大学はこれまでは「一般的な準備」としての教育サービスが主なものだったが、今後はこのような「必要な学問を必要な時に」提供できるようなサービスを充実していくことも重要だと思う。


2001/10/25(木)MS二題

Windows XPのOEM版が発売されるらしい。ネットニュースでみたところ、あいかわらずの「だきあわせ販売」になっている。おまけにその組み合わせはHDDやフロッピーディスクは可で、ビデオカードはだめ、といようなものだった。どんな訳があるのだろう。単にこのパソコンショップが「だきあわせ販売」しているだけなのかもしれないのだが。

ユーザー認証のしくみまでつくったのだから、ソフトだけ買えるようになるのかと思ったのだが。製品版とOEM版を分ける根拠はなくなっているように思えるし、これって公正取引委員会の出番なのでは?。

夜のNHKのニュースでニムダのことをやっていたMS IEの欠陥に由来するというのがおおかたの認識だと考えていたのでNHKはどのように報道するかと思って聞いていた。「ソフトの弱点をついたプログラム」という言い方もしていたが、はっきりと「ソフトウエアの欠陥によって広まった」と報道していた。ちょっとタイミングがおそいけど。最期に「メーカーはソフトの弱点や欠陥を告知して、対処法を公開している」とも報道していたので「客観報道」になっているのだろう。

ある学生につらい話。立場は変わったが、私も味わったことのある苦い思いをふたたび追体験しなければならなかった。あるときSセンセイは「人生万事塞翁が馬」といっておられたことをふと思いだした。いまはなんのなぐさめにもならないかもしれないが、でもこのことわざはほんとうなのだ、と思う。


2001/10/24(水)外見

午後から会議三つ。昼休みにラジェンダを購入予定だった Aセンセイは「(期待に反して)安っぽい」ということで断念された模様だ。11月末のNECを待つことにされたという。私は個人的にはカシオ的安っぽさには魅力を感じているのでそんなに悪くないとは思うのだが。カシオのデザインでは、現在のデジタル時計の黒いプラスティックに黒いゴムバンドというスタイルは新しい製品にふさわしい新しい意匠だったと思う。贅沢でなく華美ではないが魅力あるデザイン、というのが難しいところなのだろう。ともかく毎日携帯するものだからデザインは重要な要素になる。たとえば、私のつれあいはPDAなどには全然興味をしめさなかったが、なんとルイビトンのケースにはいったPalmには俄然興味を示して、毎日持ち歩くようになった。使い続けるかどうかはその本質が関わるので、実際にはPalmが簡単に使えるものだったということが大切なところなのだが、使ってみるきっかけとして外見的な魅力が必要だったということだ。

ってなんの話かと?実は某委員会で面接の話題がでてちょっと似た話だなあと。


2001/10/23(火)被験者プール

午後から学部・研究法。一元配置の分散分析完全図解。これ以上の(チャート式実用新案)図解はありません(まあこれは文系統計のおおらかな「特色」だなあ)。後半の時間を借りてYさんの卒論アンケートを実施。私も個人的に関心のある分野なので、データを授業で利用すれば受講者に「還元」できるものと考えたのである。調査系の卒論はデータ集めに悩むところである。特に比較的小規模な本学のような場合十分な資料数を集めることができない場合もある。同じように実験研究の場合にも被験者確保の問題が生ずることがある。

講義の中での「調査」実施は「講義を受ける権利」という面からは問題あるかもしれない。しかし、講義の内容に深くかかわること、調査を受けた経験が(卒論などに)生かせること、データを講義に「還元」できること、などの条件が満たされれば実施してもよいのではないかと思う。私が学生のころは「被験者をやることも大切な勉強」という雰囲気だったので、この方面の「権利」意識は希薄であった。もしも、卒論研究などに無関心な学生が増えるようだと、そんな雰囲気の研究室というのはちょっとさびしいものになるのだろうなあ。

実験の場合にも同じような問題があるので、被験者プールの問題は具体的に考えておく必要がある。米国式に「被験者」を単位にくみこむ、という方法もあるが、どのような方法がよいだろうか。


2001/10/22(月)実験実習

午前中、てゆうか昼休みにおくれていた実習2の配布資料をつくった。結局時間ぎりぎりになってしまったのと文書ファイルが見つからず結局TAのKさんに頼んで清書することに。 Thanx 。プリントだけではちょっとわからない点があるかもしれない。院の方法論はそろそろ因子分析に入らなければ。今回のグループからは実験が正常化したので結果資料を口頭で説明できる予定。

実験実習1は前回グループと同じ条件でマッカロー効果。マッカロー効果はかなり頑健な現象だと思うのだが、条件を変えているためか、年によりグループにより結果にばらつきがでる。知覚現象も予想以上に個人差が大きいのかもしれない。

つづいて実験実習2。夕刻から雨模様。香り試料として市販の精油をつかって「においのイメージマッピング」を作成する実習。SD法と因子分析という定番の課題だが、因子分析そのもののを理解するにはおよそ時間不足であるが、全く知らないというのも「問題」なので。でもこの古典的な方法はいまでもマーケティングやイメージ調査では有力な官能検査法だと思う。なんであれ人間が使う製品(では最終的に人の感性判断が決め手になるので)メーカをねらっている人はこのあたりの「心理技術」がひとつの狙い目。心理学の分野以外でも最近は工学部の建築関係や都市景観関係の研究のなかで多用されている。


2001/10/20(土)変わらないもの

昨日はひさしぶりに秋葉原へ。一つはPalm m505用の通信アダプターとホットシンクケーブルなど。Palmは単体だと非常に完成度高いが、アダプター類を拡張するとどうもバランスが崩れる。このあたりは後発のCEが有利だが、やはりそのぶんかさばる。最近はいろいろ話題になることが多いPDAであるが、身の回りではその普及は遅々として進まないように見える。今度、Aセンセイがカシオの新しいラジェンダを買う予定ということで普及率は学部教員40名ほどで2名だからきわめて低い。

(ラジェンダは組込型windows CE機。拡張スロット内蔵型ではたぶん最軽量。PalmではVisor DeluxやHandEraのサイズに近い。PHS通信カードに限定した用途に実用的だと思う。問題があるとすればCE用ソフトの互換性がどの程度確保されているか、というところだろうか。)

新しいモノがでてくると、ごく少数の「あたらし」モノ好きとこれまた少数の懐疑派が現れる。モノにもよるが懐疑派はその後絶賛派に変身することがある。携帯電話ではこのパターンが顕著だった。パソコンについても類似した経過を経験した。PDAについてはどうなるだろうか。いまのところ談話室ではモノ好き派2名と懐疑派数名というところ。

ひさしぶりに「藪(やぶ)そば」へ。開店まえにいったので席を確保できたが、昼頃にはかなり長い待ち行列ができていた。気軽に立ち寄れないのはこの混雑の所為なのだが。なんと前に来てから10年くらい経つだろうか。店の雰囲気はそのままだったし、満足できるものだったが、「そば」の色が記憶の中では、やや緑がかったくすんだそばの色だったのが、なんだか緑鮮やかなものになっていた。「生地」が白くなったのかもしれない。あなご焼きや昔風のかまぼこ、季節の「かきそば」も以前のままだった。あたたかいそばを後に出すかどうかもちゃんと確認してくれる。これも以前のままだ。客がちょんまげや和服をきている様子を想像してもちっとも不自然ではない。ついでに「竹むら」をはしご。こちらはやはり江戸風の甘味屋さんだが、甘党のサラリーマンがけっこう多く来ている。気に入っている「あわぜんざい」を注文。こちらも以前のままの味。このように完成されてしまうと、もはや変わらないことが大きな価値だし、変わらないことはそれなりに難しいことなのだろう。


2001/10/19(金)校正

夜Bセンセイより電話で論文の校正についての相談を受ける。Bセンセイはパソコンをつかえないために校正作業に人を頼まなければならないので、だれかやってくれる人はいないだろうか、という相談だった。論文をかくときに、以前はこのような障碍はなかったわけだが、パソコン環境に変化してしまったために生じたものだ。


2001/10/15(月)実験実習再開

午後から実験実習(2年生)。振り替え休日をはさんで最初の実験グループの2回目。きょうは2週間後のポストテストを実施したあと、インストラクションとデータ処理。マッカロー効果の実験を知覚学習の面から検討するように計画した。しかし、まだ条件設定に「無理」があるかもしれない。ともかく結果はいかに。

つづいて実験実習(3年生)は「嗅覚」についての実験。といっても、10種類の香料試料についてSD法の評価を求め、因子分析または主成分分析で「においのマップ」をつくる、という課題(某研究所での実習内容とほとんど同じ。実験キットを「おとなの科学」の付録につけられないかなあ。検討してみて、N君)。においの実験は試料や実験室の関係で十分な条件をもうけることができないのが残念だが、実験実施上いろいろ工夫できる点も多いので、「考察」ポイントは豊富にあるだろう。嗅覚実験は数年ぶり。このときはオルファクト・メータという嗅覚感度の測定を主として実施した。



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