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2002/2/7(木)研究法の得点分布

昨日より入試業務。採点処理の時間待ちの間定期試験(心理学研究法)の得点分布を整理してみた。心理学専攻2年次より開講で、2単位(秋)必修科目である。「心理学」学生のもっとも苦労する科目かもしれない。登録者は47名(他専攻者も含む)で、受験者は40名であった。

満点を100点に換算した得点の分布はこのようになった。平均点48点、標準偏差値19点、最低7点、最高93点であった。30点未満は8名(うち1名は再履修)であった。再履修の一名をのぞき成績はD(不合格)とした。試験は講義で配布したプリント資料・例題を持ち込み可とした。試験内容は講義で行った範囲(一元配置の分散分析・相関係数)で、問題もほぼ講義で説明した内容そのままで、特にひねった問題ではなく、平均点は70点はほしい水準である。

もうすこしデータ区分を細かくして、男女別にデータをプロットしてみると2群の混合分布のように見える。ちなみに女子の平均値は53.2点(標準偏差値14.6点)同じく男子の平均値40.2点(標準偏差値21.4点)であった。

「心理統計」は学生も苦労するし、教える側も難しい科目だ。しかし昨年も同様の感想をもったのだが、「答え」があるだけ易しいと言えるのかもしれない。心理学の研究法にはいろいろなものがあって「心理統計」学はその一つの方法なのであるが、いろいろな研究データを理解する上で最低限度必要なものでもある。逆説的ではあるのだが、「個」の認識を深めるために、なんとか講義程度の内容までは理解しておくことが必要ではないかと考えている。

ここ数年は各単元毎に、(0)新聞などで報道された実際の調査例をマクラにして解説し、(1)あな埋め形式の「チャート式資料」にして配布し、それと同じものをOHPに提示して書き込みながら説明して、(2)演習問題を「手計算」でやり、(3)最期に演習課題を電算実習(SPSS)する、という形式で進めている。

統計的な知識・方法論の「必要性」を理解することが一番大切であるからだ。SPSSなどの高度なパッケージが簡単に利用できるようになっているから計算過程の負担はほとんどない。しかし、処理過程のブラックボックス化をさけるために、具体的なデータを用いて計算過程を示す必要があると考えている。

今年度は「授業評価アンケート」は実施しなかった。評定形式の「評価項目」は、授業改善にあまり役立たないと考えるようになったからだ。しかし、自由記述式のアンケートの情報は具体的な授業改善に有益であったので、こちらを中心にしてなんらかの方法で再開したいと考えている。


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